第九話「嗚咽」
前回までのあらすじ
隣のキメラフィーネ女学院の生徒会副会長、鏑木マリアと知り合いになった飛鳥。
彼女に勉強を教わることになったのだが・・・?
第九話「嗚咽」
飛鳥(鏑木さんが来て以来、彼女が俺の勉強を見ることになった。本当言うと、兎影と一緒に勉強したかったんだけど、それは鏑木さんも一緒なわけで。彼女も本当は鼓舞象会長と一緒にいたいと思ってるに違いない。俺はそう思って、今は勉強に集中することにした。)
飛鳥(今日は日曜日。本当は一日ゆっくりしていたいんだけど、そうも行かず。その証拠に、今日も兎影達は会長のところへ行ってしまったし、鏑木さんは本当は休みたいところを、わざわざ来てくれた。今日の服は、水色の長袖ワイシャツ+黒のフレアスカート(細めのレザーベルト付き・色は青)+黒のニーハイだ。クラウンモチーフペンダント(クラウンのデザインは、ディアクラウンのシンボルと同じ)を首にかけている。さすがお嬢様。俺は赤のタートルネック+黒のジーパンだ。)
マリア「こうしてイギリスとフランスは、100年間の戦争状態に入った。」
飛鳥「ここまでは人間の歴史と同じなんだよな、その後がちょっと違うんだよな。キメラの英雄が現れたんだっけ?」
マリア「ラ・キマイラ・ド・マルセイユ。彼が現れなければ、フランスはずっと劣勢に立たされていたんです。」
飛鳥「それからイギリスの英雄、ジョン・グリフォン。これも俺は初耳だ。っていうかやっぱり違うな、人間の世界の歴史と。聖女がいないもの。」
マリア「私があなたの世界にもしも行ってしまったら、あなたみたいになってしまうかもしれませんからね。」
飛鳥「でも、俺は鏑木さんがいてくれたから、こうやって分かりやすく勉強が教われるわけで。感謝してるよ。」
マリア「そんな・・・、それじゃ次、1431年、火あぶりにされたのは誰?」
飛鳥「ジャン・・・マルセイユだ!」
マリア「分かってきましたね。でも混乱してこないですか?そちらの歴史と。」
飛鳥「やっぱり混乱する。でも、何とか大丈夫。持ちこたえてる。」
マリア「ならよかったです。」
飛鳥「でもなんか疲れた。このまま寝ちゃいそうだ。ふあ~。」
飛鳥(俺はすごく眠かった、疲れがかなりたまっていたのだ。このままテーブルに突っ伏して、寝てしまいそうになる。あくびもしたからなあ。と、そのとき。)
ららら~♪
飛鳥「鏑木さん?」
飛鳥(鏑木さんが歌っていた。よく見ると、コウモリの羽が生えていた。キメラ能力だ。そういえば、鏑木さんはチスイコウモリのほかに、カナリアのキメラだって言っていたなぁ。)
飛鳥「それにしてもいい歌だなあ。心がきれいになるというか、疲れが吹き飛ぶというか・・・って、あれ?眠くない!!」
マリア「私が歌で、あなたを癒してあげたんです。これでまた、勉強に集中できるでしょう。」
飛鳥「あ、ありがとう。いつか、会長にもこの歌を聞かせることが出来るといいな。だって、きれいな歌だったもの。」
マリア「私の歌がきれいだなんて・・・。」
飛鳥「本当のこと言ってみたまでだよ。兎影にも聞かせたいな、鏑木さんの歌。」
マリア「そう。それじゃ、続きをやりましょう!」
飛鳥「おう!」
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飛鳥(俺たちがこんなやり取りをしている頃、2年生の寮では、こんなことが起きていた。)
ヒャクエ「うわああああああああああん!どうして教えてくれないの!?カネム君!」
カネム「君に教えても、絶対分からないから、あえて教えないんだ。迷惑なんだよ。他を当たってくれない?」
ヒャクエ「何だよ、自分だけ分かるからって答えを自分の物にしちゃって、そういうのものすごくずるいと思うよ!」
カネム「だって、テストの時は敵同士、だから自分の答えは絶対に他人に教えてはならない。常識じゃないか?どうして敵である君に答えを教えないといけないんだい?」
ヒャクエ「何でだよ!僕と君は友達じゃない!普通は教えあうって言うのが友達ってことじゃない!こんなの絶対おかしいよ!」
カネム「もう、目障りだから、どこか違う場所で勉強してくれないかな?」
ヒャクエ「僕の気持ちを裏切ったな!いや、嘘だそんなこと!」
カネム「本当だったらどうする?」
ヒャクエ「うわああああああああああん!!!」
飛鳥(2年、生徒会会計の桐山ヒャクエ先輩 (ムカデとキリンのキメラ)が、同じ部屋の櫂真カネム先輩 (メガネカイマンとゴールデンレトリバーのキメラ)に締め出しを食らっていたのだ。)
ヒャクエ「カネム君の馬鹿!僕はどこで勉強すればいいんだ・・・。」
飛鳥(走りながら先輩は思った。こんな哀れな僕を助けてと。そして、先輩は偶然にも、真城先輩達の部屋にたどり着いてしまった。)
ヒャクエ「!この部屋は、真城ウニと亀貝ホロのいる、通称「開かずの間」。堂々と関係者以外お断りの札が下がってる場所じゃないか。ぶっちゃけあの二人は、信用できないけど、この際仕方ない。2年生で知り合いはあの二人しかいないから、だめもとで当たってみよう・・・。」
飛鳥(そういって先輩は、その部屋のドアノブを握り、ゆっくり開けた・・・。)
ウニ「誰?」
ホロ「敵?」
ヒャクエ「あの・・・勉強、一緒に、やらない?」
続く
いかがでしたか?
実は、オリジナル版ではマリアの歌はちゃんと歌詞がありました。
しかし、大人の事情でカットさせていただきました。ご了承ください。
次回は飛鳥以外の生徒の、勉強中のスナップを描きます。