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達成編


私の名前は山野凪子。


お忘れだろうか、港慶介に一話目にして告られていたモブである。

あれから、高校を卒業してから数年たった。

私は今、専業主婦をしている。

高校の時に振った、港慶介と似た男性と。

もちろん、今の港慶介ではなくダサかった方と雰囲気や見た目がよく似ている。


思春期にありがちなことに私は派手な男に惹かれていた私は彼の告白を断った。

しかし、結婚するなら真面目そうな男性が一番というわけか。

彼とは、職場結婚でお付き合いをして求婚された。

そんな平凡かつ平均的なルートだったが、十分私は満足している。

結婚式には彼は来なかったが、忙しいし仕方がないだろう。


そう、彼は紆余曲折の上ハリウッドスターになっていった。

これには、クラス全員が驚いた。

彼は、医者の家系だったし、がり勉だった。

当然、彼も医者になるんだろうとみんな思っていたのだ。

ただ、芸能活動は高校のときにはしていた。

そちらの方の活動が段々忙しくなり、学校を休みがちになっていった。

彼と仲が良かった大海君もずいぶんと寂しそうだったし、

途中入部のくせして休みがちになるなんてとサッカー部のみんなも怒っていた。


噂では、期待の息子の豹変ぶりに驚いたご家族と絶縁したらしいい。

なんでもあなたたちのような生き方はしたくないと面と向かっていったとか。

以前の彼からは考えられないようなことだ。

それでも彼は、過酷な芸能界で少しずつ活動の場所を広げていった。

なんでも岩にでも食らいつくような迫力があったらしい。


そうして、芸能活動や株で稼いだお金を使って彼はアメリカに行った。

皆はあいつ夢見過ぎてるとか、勉強しすぎて頭おかしくなったんじゃないか

と彼のことを笑ったものだ。


しばらくたち、映画の端役としてぽつぽつと出場するようになった。

なんでも映画監督と関係をもったとかそういった噂すらあった。

そういったゴシップは有名人につきものだが彼の場合笑えなかった。

それぐらいしてしまいかねないような勢いがあったのだ。


それ以降、彼は映画俳優としてのキャリアを築いていくことになる。

この間とうとう、主演男優賞として何かの大きな賞をもらっていた。

その時のインタビューのコメントがこうである。


「まだまだ、僕の理想には程遠いいいですが、これは一種の達成であると思います。」


彼の理想とはなんだろう。

知らないが、きっと高尚なものなんだろう。


私は俳優の港慶介に告白されたんだよというと大体の場合信じてもらえない。

それで構わない。

私は私の平凡な人生を気に入っているから。


彼の人生はどこに行くんだろう。

彼は、きっとそこらの女の人じゃ我慢できないだろうな。

きっと年を取ってから、娘みたいな年頃の女の人と結婚して苦労するのかもしれない。

そんなことを性格の悪い私は考えた。









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