決心編
「ごめんなさい。あなたとは付き合えないわ。」
この言葉が話のきっかけとなる。
俺は、港慶介。高校1年生で俗に言うがり勉である。
つるんでいた奴には、慶介ってテストの点数がいいのだけが取り柄だよなー。
とか冗談で言われるぐらいのがり勉である。
いや冗談だよな?俺の中では冗談ということになっている。冗談ということにしておこう。
仕方がないじゃないか!医者の家系の生まれで一族皆、勉強大好き人間なんだ。勉強=LOVEというのが遺伝子の奥深くまでしっかりと焼きついてしまっているのだ。
「港君て、頭がいいし、真面目だし・・・・。私よりもっとお似合いの人がいるんじゃないかと思うの。
私、もっとチャラチャラ人が好きだし。」
本当にごめんなさい。そう続けた彼女を俺は呆然と見送った。
チャラチャラ?チャラチャラとはなんんだ。
港慶介16歳は自分の解けない問題に初めてぶちあったった。
チャラチャラとは、女性に好かれる為の属性の一つなのだろうか・・・・。
自分の世間知らずぶりに少々唖然とした港慶介16歳。
無理もない、彼の家ではテレビ禁止、漫画禁止の鎖国世界である。
おまけに学級委員長をしていた彼はクラスでも少々浮いていた。
空気が読めるのと持ち前の図太さで変人だけど悪い奴じゃないポジションに着地していたのは幸いである。
彼は、慌ててチャラチャラという意味を調べてみた。
1.衣服が派手。もしくは、金属類を複数つけている。
2.言葉数が多く、多弁な様子。
というというのが大まかな意味だろうというのを理解した。
港少年は、ショックを受けた。
なるほど、こう言ったのが女性受けするのならば港一族の男性たちが軒並み晩婚なのも理解できた。
地味で寡黙、何を考えているかわからないが悪い奴じゃないそれが彼の一族の特徴で、
医師という女性にとって魅力的な職業についていながらほぼ見合いでの結婚となっていた。
父や伯父、従兄弟にいたるまでお見合い結婚なのは、なんかこう・・・、製薬会社の思惑とか
恩師に結婚を勧められ断れなかったとか・・・、こうふわっとややこしいい大人の事情が
関わっていると心底信じていたのである。
しかし、実は彼らに恋愛する能力がなかっただけではないのか・・・。
薄ら暗い予感とともに、彼は自分の将来を直感した。
30代後半になっても女性経験一切なしのまま見合いに突入。
無駄に上がった女性への理想に中々叶う相手もおらず、40台に突入。
寂しさと老後への不安を抱えたまま独身貴族を気取っていたところ、
自分の娘のような年代の女性にひかれ結婚してしまう。
高収入に惹かれ、結婚してくれた相手はしかし退屈な男ね。とか思い始め若い男とアドバンチュールへ。
そうしてとうとう、俺にも嫁にも似ていない子供が…。
断固阻止、断固阻止だ。俺は、真っ当な恋愛結婚をしたいんだ。
それには、自分を変えなくてはいけない。
彼の思い込みが激しく、しかし頭がいいという厄介な性格がここで存分に発揮された。
よし、チャラチャラした男を目指そう。
堅く誓う、重ねて言うがまだ16歳。港慶介であった。




