英雄の影
私が福建共和国のホテルに滞在しているときに電話がかかる。突如、防衛省から取材許可が下りた。私は急いで日本に向かった。
日本についてすぐ市ヶ谷に向かった。防衛省含め省庁は京都にあったが首都機能分散計画や安全保障の観点から移転されていた。市ヶ谷に着いた私は受付を済ませ、広報の人から注意点などの説明を受けた。私は非常に警戒されていた。着いてから今まで横にはずっとMP(軍警察)が付いていた。会議室で待っていると強面の男が入ってきた。今回、取材を受け入れてくれたのは元第7航空団207飛行隊の雨乃武少佐(当時少尉)。現在は防衛省情報本部戦略国土補強配備調査室にいる。通称戦略調査室と呼ばれる部署だがその実態は不明。国内のテロや外国の軍事情報を収集していると噂されている。私は「彼」について話を聞く。
「隊長のことか。隊長は俺と違って本物のエースだ。」
この男は戦争終盤まで彼の部隊におり敵機を引き付けるために囮となり何とか基地に帰還していた。
「隊長は無口だがみんなに好かれていた。なにか魅力があるんだろうな。三柱だったな。無口な隊長のことを言葉も交わさずに理解していた。だからあんな連携ができるんだろうな。」
私は三柱という男についても聞いた。
「三柱は隊長の相棒だったよ。だが大陸での作戦で落とされちまった。あの時はショックを受けていたな。隊長のことを相棒って呼んで一緒にいたが当の本人は少し鬱陶しいそうにしてた。だがなんであんなに気にかけていたのかは今はわかる気がするよ。」
私はその意味を尋ねた。
「隊長は空に死に場所を求めていたんだよ。だから三柱は俺のめちゃくちゃな飛行とは違うと言ったんだろうな」
私は彼の居場所を尋ねた。彼に直接取材をしなければならない。
「隊長は基地に帰還してすぐに本国に戻された。そのあとのことは知らない。いつの間にか辞めてたから足取りもわからない。・・・・隊長の事をもっと知りたいならここに行ってみるといい。神結が色々残してたみたいだからな」
私はひとつのメモを渡された。そこには電話番号が書かれていた。私は神結が何者かを聞いた。
「神結は俺の僚機で隊の中で三柱の次に隊長の事を理解していた。彼女が何か知っていたかもな。」
時間が訪れたため、私は感謝を述べ退出しようとしたところ呼び止められた。
「ちょっと待ってくれ。これも持って行ってくれ。隊長のことを知るのにこれは必要だ。」
ずっと横にいたMPが慌てた。彼はそれを手で制していた。
私に渡された紙の束には「機密」と書かれていた
「それは戦争末期に起きた出来事だ。ついさっき機密解除になったから持って行っていいぞ」
私は渡された書類に目を通した。戦争末期に最終作戦が始まる直前、連邦は直前で降伏したことや離反した部隊が自国領内に核兵器を使ったこととその後のクーデターが書かれていた。あの日、核兵器の混乱の裏に彼らウォードックのクーデター軍によるさらなる核兵器使用の阻止が行われていた。クーデター軍は連邦内にある発射基地を使って各地に核を落とすつもりだった。クーデター軍は国という概念が争いと混乱の源とし、それらを無くすことを宣言していた。しかし「彼」の活躍によりその企みは阻止された。私はその書類に目を通しながらメモに書かれていた電話先から指定された場所に向かっていた。




