反攻
敵機を全滅させた私たちは基地へと帰還した。シャワーを浴びようと廊下を歩いていると後ろから声をかけられた。
「相棒、今日も生き残ったな」
私は、そうだなと一言言って歩みを再び進めた。この男はいつも帰還したあとに同じ言葉を投げかける。神結や雨乃には言わないが私には言う。
「おいおい、それだけか?もっと言うことあるだろう? それよりいつまであの飛び方をするつもりか?あれは雨乃とはまた別のトンデモ飛行だ。」
心配しているのかと思ったら今度は説教をしてきた。すると突然、別の方向から声をかけられた。
「そうですよ。あんな飛行はとてもついていけません。」
「いや、だから、お前は俺の僚機だからついていく必要ないんだよ」
どこからともなく現れた神結と雨乃。私は早くシャワーを浴びたいのに次ぎから次へとやってくる。
「でもそんな飛行についていける先輩もすごいです。」
神結は三柱の事をなぜか先輩と呼ぶ。
「いや、別にそうでもない。相棒の動きはわかりやすい」
「さすが、隊長の二番機ですね!」
目を輝かせる神結だが三柱の表情はあまり明るくない。私の動きはそんなにわかりやすいだろうか。
あれから一週間が経過した。あれ以来、出撃することはなかった。退屈な待機を過ごしていた。しかし、今日は臨時のブリーフィングが行われるため他の飛行隊も集まった部屋にいる。時間になり部屋に責任者である航空団司令が入ってきた。
「それではブリーフィングを始める。先日、参謀会議にて終戦へ向けた最終作戦を実施することが決まった。作戦開始は十一月十日。最初の作戦内容は敵勢力圏内にある敵基地の破壊。地上からは戦車及び機甲部隊が進軍し、空からは爆撃部隊が攻撃を行う。ここにいる部隊には爆撃機の護衛と制空権を確保する部隊に分かれる。なお戦闘地域には市街地が存在する。これらに対して決して被害を出させてはならない。 では編成を発表する。護衛機はファランクス隊、モルガン隊。制空部隊はアーチャー隊、スコーピオン隊、ウォードック隊だ。続いて細かな注意を述べる・・・・・・」
「緊張しますね。でも戦争は早く終わらせないと」
ブリーフィングが終わり、そのような言葉を口からこぼした神結の顔には緊張がみられるが、同時に希望も抱いているようだ。神結の言葉に雨乃は笑いながら茶化していたが彼の顔からも緊張がみられた。そんな中、三柱は私の方を見ていた。彼はなぜか少し悲しそうな目でわたしを見ていた。
作戦当日、基地を発った我々は作戦開始位置についた。
『各機、ウエポンズフリー。交戦を許可する。』
AWACSからの攻撃開始の合図を受け、ミサイルを発射。やがて敵機と彼我が近くなったことで有視界での格闘戦に入った。私は次々と敵機を撃墜していった。6機目を撃墜したあと周囲の戦況を確認した。全機健在だが三柱は途中から私に二機で食らいついてきた敵機の片方を引き付けていた。その敵機とはいまだ交戦中。三柱は敵機に食らいついていたが隙を見せない。だが彼は敵機の一瞬の隙をついた。ミサイルが命中した敵機は急速に高度が落ち墜落し爆散した。
『まずい!!墜落した敵機が民家に!!』
彼の声から彼が狼狽えていることが分かった。そしてそのことが仇となったのか彼の機体にどこからともなくやってきたミサイルが命中した。彼の機体は推力を失い森に墜落した。
『AWACS‼こちらウォードック3‼ウォードック2が被弾し墜落、直ちに救助を‼』
『こちらAWACS。それはできない。全機直ちに撤退せよ。地上部隊が想定外の反撃を受け敗走。これ以上の作戦継続は不可能。』




