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ノルン  作者: 不知火桜
ゼロ章 不死身
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エース

―ユーラシア大陸 福建共和国「旧中華連邦福建省」 厦門(あもい)高崎(こうき)基地―

 ここ厦門高崎基地は昔は国際空港だったが開戦後は民間機が飛来することはなくなり閉鎖。ここら一帯を奪還したのち、連合軍の航空戦力が駐留し基地となった。我々、日本帝国空軍中部航空方面軍第九航空団百里基地所属の第207飛行隊は大陸派遣部隊としてこの基地にやってきた。現在はアラート待機中だが

「隊長! 隊長は教育隊の時にアメリカのF()-22(プ)戦闘機(ター)に練習機に食らいついて撃墜判定をたたき出したって本当ですか!?」

そう言って食い気味に聞いてくる神結は私の隣に座ってきた。さっきまで雨乃と言い争いをしていたのになぜ私に話しかけてくるのかわからない。だいたいその話はなんだ。たしかにラプターと模擬戦はやったが練習機ではないし撃墜判定は出していない。ただ時間いっぱい逃げ回っただけだ。

「俺はアグレッサー(仮想敵役)相手に戦ってあいつらの度肝を抜いたんー」

「今その話聞いてません。」

「いや、最後まで話をー」

「それって敵役のアグレッサーを相手に張り切って無茶な機動をやってあわや事故寸前の話ですよね」

「だから、それは俺の高い操縦技術があってだなあ」

「確かに結果的に事故にならなかったから技術が高いと言えるかもね」

いつもの二人の中身のない論争に一石を投じたのは私を相棒と呼ぶ三柱(みはしら)高原(たかはら)少尉だった。いつもは二人のやりとりを面白そうに眺めるだけなのに珍しい。そして三柱は今度はこちらに顔を向ける。

「どう思うか?相棒」

私はその問いに答えようとしたとき、耳をつんざくような警報音とアナウンスが流れた。

『当基地に所属不明機が多数襲来! 飛行隊は全機スクランブル! 繰り返すー』

和やかな雰囲気は一転して私も含め全員走って格納庫へと向かった。格納庫に着いた我々は各々の機体F-15Jイーグルに乗りエンジンに火を入れた。機体と番犬の顔をしたエンブレムが描かれているのは同じだが、私の機体は少し違う。私の機体には翼の両端にオレンジ色が入っている。戦場では目立つ色だと上官にも整備長にも言われたが、私が戦果を積み上げていくにつれ、その声は小さくなっていった。何度言われたところで別に構わない。機体のステータスチェックを行っている間、エンジンが甲高い音をあげる。準備が整い、誘導員の指示に従って誘導路に侵入する。管制塔から滑走路への誘導指示を受ける。

『ウォードックワン、離陸を許可する。』

私はエンジンをフルスロットルに入れ加速する。体が座席に縛り付けられるようになる中機首を上げ地上から飛び立つ。後ろを振り向けば地上はさらに遠ざかっていった。それから私は僚機の合流を待った。

『こちらAWACS(早期警戒管制機)スカイアイ。ウォードック隊はこちらの管制下に入る。針路を北西に向け、高度3000フィートで固定せよ。事態は切迫している。アンノウンは中華連邦軍の爆撃機とその護衛機。ウォードック隊は味方に損害が出る前にこれらを撃墜せよ。』

AWACSからの指示を受け我々は当該空域へと向かった。

『今日も生き残るぞ相棒』

『俺らは無視ですかいな』

『安心してください!隊長は私が守ります!』

『ウォードック3!お前さんは俺とのコンビだろ』

そんな会話が無線から流れてくる。戦争しに行く雰囲気ではないな。そんななかAWACSからの無線が入る。敵機が近いことを受け、私は無線で攻撃許可を伝達する。

『ウォードック2 フォックス2』

『ウォードック3 フォックス2』

『ウォードック4 フォックス2』

各機はレーダーで捉えた敵機に対し、AAM(空対空ミサイル)を発射した。敵機からのジャミングは今のところない。さて何発当たるか。

『ミサイル全弾命中! 次の標的に移れ。』

こちらのAAMはうまく敵に食らいついたようだ。後方から味方の増援が来ている。数的有利はこちらにあるから戦闘終了は時間の問題だろう。


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