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想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―  作者: ベルナルド
五章 御生万防衛作戦編

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第90話 束の間の「想い」

巨大な時計が鳴る。


カチ、カチ、と。


床は譜面。


空は暗転。


神律裁界の中。


スケールが笑う。


「今さら黒等級が来たって意味はない」


両腕を広げる。


「この世界の行く末は俺が決める」


瞳が狂気に染まる。


「すべてだ」


相馬は、あくびをした。


「そうか」


「そりゃ楽しそうで何よりだな」


一歩前に出る。


「だがな」


「人生は何があるか分からねえから面白いんだよ」


視線が鋭くなる。


「全部思い通りなんて、七秒も持たずに飽きる」


スケールが笑う。


「違う」


「俺が皆を最善に導く」


「俺が決めるのが正解だ」


相馬は肩をすくめる。


「借り物の力でか?」


「自分の力でどうにかしてみろよ」


「俺の弟子たちは、みな己で突破してきた」


空気が冷える。


「どうやら相容れないな」


スケールの目が揺れる。


「俺には、お前が事実から逃げてるように見えるがな」


その言葉。


スケールの顔が歪む。


手で顔を覆う。


震える。


「あああああ……イラつく男だ」


戯眼が光る。


「俺の言う通りにしやがれ」


世界が裁定する。


「まずは――自分を切れ」


相馬の右手が動く。


刀を握り、自分の腹へ向かう。


だが。


左手が止める。


ぎり、と止まる。


相馬が笑う。


「なるほど」


「そういう感じか」


刀を下ろす。


「つまんねえな」


「自分の体くらい止めるだろ」


スケールの顔が引きつる。


「なんで止められる!」


「もっと面白いことしてみろよ」


「……いいだろう」


スケールが天を指す。


「この領域内では俺のイメージが直接作用する」


「隕石が落ちると思えば、本当に落ちる」


空が割れる。


巨大な隕石が現れる。


ゴゴゴゴゴ……


重力が唸る。


隕石が相馬へ落下。


相馬が刀を天に向ける。


静かに言う。


「開眼」


だが。


世界は広がらない。


一瞬で。


すべてが刀に収束する。


空間が刀身に吸い込まれる。


「俺の開眼は一味違う」


「世界を展開するんじゃねえ」


「世界を――纏う」


足が動く。


「いざ参る」


刀が振られる。


臥竜剣参がりゅうけんざん


斬撃。


隕石を裂く。


空間を裂く。


譜面を裂く。


時計を裂く。


神律裁界しんりつさいかいごと――


世界が、切断される。


スン。


静寂。


相馬が刀を収める。


カン。


スケールの体が、縦に割れる。


「馬鹿な……」


崩れ落ちる。


「俺が……負ける……」


地に伏す。


相馬はため息をつく。


「開眼はこたえるぜ」


「まったく」


背を向ける。


「いいこと教えてやる」


「人の行く末は誰にも予想できねえ」


「予想するだけ無駄だ」


「……まあ、聞こえてねえだろうが」


時計が消える。


世界が戻る。


相馬が振り返る。


「さて」


「次はどうするかね」


鳴海家チーム


号の開眼は――未完成だった。


本来、条件を満たしていない。


だが。


兄が殺されてしまう。


その瞬間。


湧き上がった想いが、


一時的に条件を超えた。


開眼可能時間――十秒。


だが。


今の号には、十分すぎる時間であった。


刹那。


号は納刀する。


自分が開眼していることにも気づかない。


三秒経過。


雷鳴が走る。


抜刀。


衝撃が龍となる。


世界が歪む。


音が遠のく。


光が消える。


虚位崩天むいほうてんの線が揺れる。


ミュートが振り返る。


その時には。


刃が、首に触れていた。


カン。


納刀。


ミュートは、何が起きたか理解できない。


視界が傾く。


地面が近づく。


首が、落ちる。


静寂。


世界が、砕ける。


パリン。


号は、力を出し尽くし。


そのまま崩れ落ちる。


戦いは。


あまりにも、あっけなく終わりを迎えた。

開眼とは、選ばれし者のみが至る極地。

贋作では決して届かない、唯一無二の浪漫。

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