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想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―  作者: ベルナルド
一章 緑等級編

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第9話 不揃いな「想い」

 正式に、緑等級の想界師となった。


 そう告げられたとき、実感はなかった。

 胸が高鳴るより先に、背中に責任の重さを感じていた。


 そして、すぐに初任務が与えられた。


 集合場所は、市街地から少し外れた古い工業区画。

 昼間だというのに、人通りはほとんどない。


「遅刻はしてないな」


 監督官として先に立っていたのは、吉沢だった。

 いつもの軽い調子だが、今日は少しだけ空気が硬い。


「今回の任務は調査と排除。

 新人の顔合わせも兼ねてる」


 そう言って、後ろに立つ二人を示す。


 一人は、俺と同じくらいの年の少年。

 落ち着かない様子で、視線があちこちに泳いでいる。


花崎 快斗(はなざき かいと)。緑等級」


「……よろしく」


 声は小さく、肩も少しすぼんでいた。


 もう一人は、雰囲気がまるで違った。


 長い髪を揺らし、こちらを値踏みするような目。

 立っているだけで、自信がにじみ出ている。


天歌 瑠偉(てんか るい)。赤等級」


 ぶっきらぼうに名乗り、ふっと鼻で笑った。


「……全員、新人ってわけじゃないんだ」


 その視線が、俺と花崎を順に撫でる。


「足、引っ張らないでよ」


 空気が、わずかに張りつめた。


「……あの」


 花崎が、おずおずと口を開く。


「作戦とか……どうします?」


 天歌は、即座に答えた。


「決まってるでしょ。

 私が前に出る」


「え……?」


「赤等級なんだから。判断は私がする」


 花崎は言葉に詰まり、視線を落とす。


 俺は、少しだけ考えてから口を開いた。


「……役割は、吉沢さんが決めた方が――」


「は?」


 天歌が、ぴたりとこちらを見る。


「監督官は“監督”するだけ。

 現場の判断は等級が上の人間がする」


 正論だ。

 だが、言い方が鋭すぎる。


 花崎の肩が、ぴくりと揺れた。


「……すみません」


 小さく、そう呟く。


 吉沢は、二人のやり取りを黙って見ていた。

 止めもしない。


「じゃあ、行くよ」


 天歌が背を向ける。


「ついてきて」


 歩き出す背中は、迷いがない。

 けれど、その足取りはどこか速すぎた。


 花崎は慌てて後を追う。


 俺も続くが、自然と距離ができる。


 ――噛み合っていない。


 それは、能力の話じゃない。


 花崎は慎重すぎる。

 天歌は強引すぎる。


 俺は……どちらでもない。


 それぞれの「想い」が、向いている方向が違う。


 任務区域に入った瞬間、空気が変わった。


「……来る」


 天歌が言う。


「気配、感じます」


 花崎の声は震えていた。


 俺は、拳を握る。


 まだ、何も始まっていない。

 それなのに、嫌な予感だけが強くなる。


 ――このままじゃ、危ない。


 吉沢が、ぽつりと呟いた。


「……若いね~」


 不揃いな想いを抱えたまま、

 俺たちは、最初の任務へと踏み込んでいった。

あとがき

等級の順番がややこしいのでここにまとめておきます!

想界師は式を持ち、想力を自在に操る者。

等級は緑→青→赤→金→黒の順  黒は別格で4人しかいない

緑青など次に昇格する間の等級もある。


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