表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―  作者: ベルナルド
四章 修行編&吉沢編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
77/138

第77話 抑える「想い」

「掛かってこい、お前ら」


 荒木さんの声を合図に、

 今日も修行が始まった。


 ――という名目で、

 俺たちは、今日もボコボコにされる。


 最初は遠慮があった。


 だが、三日も経てば、

 そんなものは消えた。


 どうせ殴られるなら、

 本気でぶつけるしかない。


 烈は、成長が分かりやすかった。


 狼人間になるだけじゃない。

 腕だけ。脚だけ。

 必要な部位だけを変化させる。


 無駄が減り、

 動きが鋭くなっていく。


 翔は、支援に特化し始めた。


 音を鳴らし、

 味方の動きを底上げする。


 気づけば、

 俺たちは翔がいる前提で動いていた。


 号は、愚直だった。


 一撃の火力を高めつつ、

 剣術の基礎を何度も叩き直す。


 派手さはない。

 だが、確実に強くなっている。


 そして――

 俺はというと。


 なぜか、映画を見せられていた。


「お前の力にはな」


 荒木さんが言う。


「分からん部分がある」


「感情が高ぶった時に出る、あの白いオーラだ」


 無意識で出ているそれを、

 意識的に制御できるようにしろ。


「だから映画でも見てろ」


「感情の起伏を、ちゃんと味わえ」


 正直、何をしているのか分からなかった。


 だが。


 確かに、

 少しずつ感情を“掴める”ようになっていた。


 次の日は、和室。


「座禅だ」


「寝るなよ」


 そう言い残して、

 荒木さんは他のみんなをボコしに行った。


 器用な人だ。


 個々に合った修行を与えながら、

 最後には全員叩きのめす。


 修行とストレス発散を、

 見事に両立させていた。


 俺は精神制御を続けながら、

 技の安定と、新技の調整を重ねた。


 五日目。


 少しだけなら、

 普通の感情でも白いオーラを出せるようになった。


 荒木さんに当てると、

 ほんのわずかだが、ダメージが入る。


「魂に由来する力だな」


 そう、評価された。


 最終日。


 俺たちは、全員で挑んだ。


 まず、翔が音を鳴らす。

 空気が揺れ、荒木さんの動きが鈍る。


 その隙に、

 号と烈が連携する。


「――冥月火爪!」


 放たれる合体技。


 だが、

 荒木さんは切り伏せた。


 同時に――

 俺が踏み込む。


 至近距離。


 白いオーラを纏わせ、

 フィストバースト。


 当たった。


 だが。


 俺は、吹き飛ばされた。


 その瞬間、

 花崎の植物が襲いかかる。


 瑠偉が力の流れを乱す。


 そして――


「紫電纏雷・抜刀――月輪!」


 号の斬撃。


 確かに、切れた。


 だが、浅い。


 次の瞬間、

 まとめて、吹き飛ばされた。


「がはははは!」


 荒木さんは、笑っていた。


「楽しいぜ」


「大満足だ」


 そして、構えを取る。


 転神町で見た、

 あの構え。


 刀を、上空へ。


「――千本桜」


 振り下ろした瞬間。


 奥の山が、切れた。


 凄まじい音。

 風圧が、遅れて届く。


「これが、黒等級だ」


 嬉しそうに、笑う。


 全員の胸に、

 その強さが刻まれた。


 ――その晩。


 眠りにつこうとした時。


 物音がした。


 俺が、ドアを開ける。


 そこにいたのは――

 血まみれの、吉沢だった。


「……吉沢さん?」


 声をかける。


 か細い声が、返ってくる。


「……無茶しすぎました」


 胸が、嫌な音を立てた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ