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想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―  作者: ベルナルド
二章 歓楽街転神町編

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第20話 止まらない「想い」

 雷が、空を裂いた。


 号の一撃が、歪な想獣を吹き飛ばす。

 地面が抉れ、破片が散った。


「――っ」


 間に合った。


 俺は、反射的に踏み込んでいた。


 拳を振る。

 想力が集まり、放たれる。


 想獣の体が、揺らいだ。


「……お前」


 号が、こちらを見た。


「なんで、ここにいる」


 一瞬、言葉に詰まる。


「……じっとしていられなかった」


 短く答えた。


 号は、鼻で笑う。


「相変わらず、馬鹿だな」


「うるせえ」


 俺は、前を見る。


「いくぞ」


 号は、一瞬だけ目を細めた。


 そして――

 ほんの少し、笑った。


「……ああ」


 二人で、踏み込む。


 雷と拳。

 正面から、叩き潰す。


 雷が走るたび、空気が焼ける。

 号の一撃に合わせ、俺は半歩遅れて踏み込んだ。

 呼吸を合わせる感覚。

 考えるより先に、体が動いていた。

 ――ああ、こいつとなら戦える。


 歪な想獣は、悲鳴のような音を立て、

 やがて崩れ落ちた。


 静寂。


 ……勝った。


 だが。


 違和感が、残る。


 想獣が消えた、その場所。

 そこに――


「……人?」


 倒れていた。


 人の、死体だった。


 俺と号は、同時に息を呑む。


 想獣の残骸じゃない。

 血の色も、温度も、生々しい。


「……くそ」


 号が、歯を噛みしめる。


 そのとき。


 ――ウゥゥゥ。


 遠くで、サイレンの音。


 警察。


「まずい」


 号が言う。


「逃げるぞ」


 説明はいらなかった。


 俺たちは、走った。


 路地裏。


 息を整えながら、壁にもたれる。


 胸が、まだ早鐘を打っている。


「……さっきの」


 俺が言うと、

 号は視線を逸らした。


「昨日のあとだ」


 低い声。


「吉沢から、連絡があった」


 嫌な予感が、した。


「お前抜きで、調査を続けろって」


 拳を、握る。


「この町にいるのは、相当厄介なものだ」

「……お前には、まだ早いってさ」


 昨日の会話が、脳裏をよぎる。


 未成年。

 未熟。


 怜の声。

 吉沢の判断。


 分かってる。

 正しい。


 それでも。


 俺は、拳を強く握った。


「……でも、もう関わっちまった」


 俺が言う。


 号は、少し黙ってから、言った。


「そうだな」


 視線を上げる。


「ここまで来た以上」

「行動を共にするしかない」


 その瞬間だった。


「――囲め」


 低い声。


 路地の入口に、人影が現れる。


 一人じゃない。

 複数。


 逃げ道を、塞がれた。


 ごろつきたちだ。


 号が、舌打ちする。


「……ちっ」


「面倒ごとが、来やがった」


 男たちの奥から、

 一歩、前に出る影。


 落ち着いた歩き方。

 低い声。


「君たちが――」


 その声が、路地に響く。


「先ほどの怪物を、倒した者たちだね」


 空気が、張りつめた。


 転神町は、

 まだ何も終わっていない。


 むしろ――

 本題は、これからだった。

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