表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―  作者: ベルナルド
一章 緑等級編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/138

第14話 教える「想い」

 ――もう、想力が残っていない。


 それは、全員が分かっていた。


 呼吸は荒く、体は重い。

 拳も、剣も、もう思うように動かない。


 このまま――

 ここで死ぬ運命なのか。


 嫌だ。


 その想いが、奇妙なほど、はっきりと繋がっていた。


「……諦めるわけには、いかない」


 瑠偉が、震える声で言った。


 剣を握る手は、血で滑っている。


「……ここで終わるわけには、いかない」


 俺も、そう呟いた。


 視界が、滲む。


「……僕は……」


 花崎が、顔を上げる。


「……もう、逃げない」


 三人の想いが、同じ方向を向いた、その瞬間。


 獅子が、嗤った。


「俺に、この力を使わせたこと――」


 巨大な腕を振り上げる。


「光栄に思い、死ね」


 圧倒的な殺気。

 逃げ場はない。


 そのとき。


 ――パァン。


 乾いた、衝撃音。


 次の瞬間、獅子の巨体が吹き飛んだ。


「……?」


 俺たちは、目を見開く。


 この音。

 この感覚。


「……まさか」


 闇の中から、一人の男が歩いてくる。


 目隠しをしたまま。

 いつも通りの、軽い足取りで。


「いやあ」


 吉沢が、肩を回す。


「全員、若くて未熟もいいところだね」


 そして、笑った。


「――でもさ。僕は大好きだよ」


 一歩、前に出る。


「ここからは、僕の番さ」


 獅子が、立ち上がる。


「……なんだ、今のは」


 低く唸る。


「まるで……俺が、俺を殴ったかのような……」


 獅子の目が、吉沢を捉える。


「……貴様は、違う」


 殺気が、濃くなる。


「ガキどもとは、格が違う」


 吉沢は、楽しそうに言った。


「正解」


 獅子が、跳ぶ。


 目にも留まらぬ速度。


 だが。


 ――弾かれる。


「……なっ」

 獅子の拳が吉沢の手に触れた瞬間、運動エネルギーが逆流し、獅子の腕の筋肉が内側から自壊するような鈍い音が響く。


 獅子は、空中で体勢を崩す。


 吉沢は、動かない。


 獅子は、理解する。


「……貴様……俺の力を、利用しているな」


「さあ、どうかな」


 吉沢は、軽く笑う。


「ライオン」


 肩をすくめる。


「なら、近寄らなければいいだけだ」


 獅子が、大きく口を開いた。


獅子王撃ライオンハート!!」


 空気が、圧縮される。


 だが。


「あまいよ」


 吉沢が、踏み込む。


「――浸透衝撃ディープインパクト


 空間に、衝撃が走った。


 攻撃だけじゃない。

 獅子の“内側”まで、貫く。


「――グハァ!!」


 血を吐き、獅子が吠える。


「……貴様……何をした……!」


 吉沢は、淡々と答える。


「僕の力は、衝撃さ」


 一歩、近づく。


「今のは、空間に衝撃を入れた技」


 獅子の体が、軋む。


「それでね」


 指を鳴らす。


「君の構造が、だいたい分かった」


 獅子が、睨みつける。


「……なぜ……説明する……」


 吉沢は、微笑んだ。


「分からないかい?」


 一拍。


「――王手さ」


「なめるなよ、人間!!」


 獅子が、咆哮する。


「たった一撃で――!」


 その先は、言葉にならなかった。


 そこからは、蹂躙だった。


 拳が、走る。

 衝撃が、重なる。


 獅子の弱点を、正確に打ち抜く。


 巨体は、見るも無残に崩れていく。


「……ガハ……ハハ……」


 獅子が、笑う。


「……想像以上だ……人間……」


 血に染まりながら、言った。


「……ここまでとはな……」


 吉沢は、静かに言う。


「君はもう死ぬのに、何が面白い?」


 獅子は、こちらを見た。


「……これからの世は……乱世だ……」


 不気味な笑み。


「……荒れるぞ……」


 そう思うだろ、と言うように、

 獅子の視線が、俺に向く。


 次の瞬間。


 獅子の体から、膨大なエネルギーが溢れ出す。


「……っ」


 吉沢の声が、鋭くなる。


「まずい」


 振り返り、叫ぶ。


「掴まれ!」


 俺たちを抱え、跳ぶ。


 次の瞬間。


 ――轟音。


 山が、揺れた。


 夜空を裂くような、爆発音。


 振り返ることは、できなかった。


 ただ。


 胸の奥に、強く残った。


 ――これが。


 想界師の、戦い方。

あとがき

吉沢 源の式想は衝撃。

特徴 衝撃を操る力。

また、彼は生まれるつき目が見えない代わりに目以外の感覚が鋭く、特に想力により察知能力はすさまじい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ