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想想戦記―想いが力になる世界で、俺は戦う―  作者: ベルナルド
一章 緑等級編

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第12話 宿る「想い」

 最初に動いたのは、やはり瑠偉だった。


「……話が、違うじゃない」


 震えた声だった。

 それでも、剣を握る手は離さない。


「あんなの……黒等級の事案よ……」


 声が、かすれる。


 俺も、震えが止まらなかった。

 あの圧。

 あの気配。


 ――学校で戦った、あいつに似ている。


 花崎は、完全に腰を抜かしていた。

 膝をつき、目を見開いたまま、動けない。


「……む、無理だ……」


 絶望が、そのまま声になっていた。


 それでも。


 瑠偉は、一歩前に出た。


「……この中で、一番強いのは私よ」


 獅子のような怪物を、真正面から睨みつける。


「私と戦いなさい」


 そして、振り返らずに言った。


「あんたたちは、急いで山の入り口にいる監督を呼びなさい」

 瑠偉は一度もこちらを振り向かなかった。細い肩が激しく上下している。俺たちを逃がすための必死の虚勢なのか、その背中は今にも折れそうに痛々しかった。


「……っ!」


 俺は思わず声を荒げた。


「一人で勝てるわけないだろ!」


「うるさい!」


 瑠偉が、叫ぶ。


「私はこれでも、名家の端くれよ!」


 肩が、小さく震えている。

 怖くて、仕方がないはずなのに。


「私は……逃げない」


 獅子が、愉快そうに笑った。


「いい根性じゃねえか」


 低く、耳障りな声。


「いいぞ。どこまで耐えるのか、見ものだ」


 胸が、締めつけられる。


 ――ここで逃げたら、きっと後悔する。


 でも。


 俺に、勝てるのか?


 先生を呼ぶのが、正しい。

 分かっている。


 それでも。


 今、瑠偉は――

 命を懸けて、前に立っている。


 勝ち目がなくても。

 怖くて、どうしようもなくても。


 ――逃げていない。


 拳を、握る。


 震えは、消えない。

 それでも、前に出る。


「……っ!」


 想力を、叩きつける。


「フィストブラスト!」


 衝撃が、獣にぶつかる。


 獅子は、弾かれながらも笑った。


「いいねえ」


 舌なめずりをする。


「楽しみはは、多い方がいいに決まってる」


 地面が、砕ける。

 圧が、押し潰しにくる。


 瑠偉が、ちらりとこちらを見る。


「……あんた、馬鹿ね」


 剣を構えたまま、言った。


「逃げればいいのに」


 俺は、息を整える。


「後悔は……したくない」


 一歩、並ぶ。


「それに」


 視線を、前に向ける。


「俺たちは、仲間だ」


 瑠偉が、ふっと笑った。


「……勝手に決めないでよ」


 それでも、その足は下がらなかった。


「最後まで、付き合いなさい」


 獅子が、吠える。


 戦いが、始まった。


 空気が裂けるような咆哮が響いた。

 獅子の踏み込みで、地面が跳ね上がる。

 瑠偉の剣が光を引き、俺は拳を構え直した。

 恐怖は消えない。

 それでも――退く理由は、もうなかった。

あとがき

天歌 瑠偉の式想は舞舞

特徴として、踊りに合わせて剣を振るうことで踊っている間自身の強化と踊ることで相手の攻撃を乱すことができる。

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