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推しの機体をデコれるって最高では? 〜 推しには最強の機体に乗ってほしいんです! 〜  作者: 犬ガオ
第二章

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対信仰魔術【神使】特化戦略兵器『信ずるは誰ぞ』性能試験リザルト 2



◆◇◆◇◆



「さてさて、前回は途中で終わってしまいましたが」


『小娘が勝手に帰ったのだが』


「終わってしまいましたが! 第二回カロ様戦闘鑑賞会 北部平定編をしましょう!」


 私はオーガの操縦席の中で、オーガの魔導核にいる人工知性体である彼女と視聴会を開いていた。

 前回同様、映像再生機と魔導核を繋いでいますとも。

 持ってきたのは、クッキーと、はちみつ入りお茶が入った水筒、そしてクッション二つ。操縦椅子がカロ様に合わせてあるので、座り心地が悪いから持ってきました。

 お尻の下と背もたれに一個ずつクッションを置き、準備完了!


『寛ぐ気だな、小娘』


 呆れたような声色で喋る彼女。最近私の声のサンプリングが増えたのか、どんどんバリエーションが増えてますね。


「いいじゃないですかー。同担でおしゃべりしながら同時視聴するのが憧れだったんですー。映像鑑賞サロンとか、王族は簡単に行けませんし」


 こじんまりとしたスタジオで同担と映像鑑賞とか憧れてるのに、王族参加ってだけで勝手に映画館にグレードアップするのは勘弁してほしい。


「ささ、さっさと始めますよー。まずはレッドキャップの初陣からですね!」


 私は『カロ大尉戦闘試験No.1』というラベルが貼ってある記憶魔結晶(MD)を映像再生機に挿入し、再生ボタンを押す。


 映像は、神官が神使の魔術を使用し、不発したところからだった。


「おお、ちゃんと基礎性能からテストしてくれていますね。エンチャントスキンは使わずに回し蹴り! すごいなー! フォロワーで蹴り技って難しいんですよ! 軍部の教練では手持ち武器を活かすことを重視してますし」


 接近してからの回し蹴り、神官の障壁が割れてノックダウン。頭部カメラの画像だから全体が掴みにくいけど、全くブレがない、すごくきれいな回り方だ!


 うーん、やっぱり頭部カメラだとどういう動きをしているのかわかりにくいね。今度、撮影に特化したフォロワーとか作ろうかな。


『私と戦った時も蹴り技を多用していたな。ん? 小娘、なぜ障壁が割れたのだ?』


 彼女はその違和感に気づく。障壁は威力を減衰するものなので、砕け散るものではないからね。


「ああ、これは新装備のお陰ですね」


『新装備? あの長靴のことか?』


「そうですよー。これは反魔術障壁を攻撃に転用した装備ですね。あの『鉄靴』で蹴ると、対象内部で反魔術が展開されて、障壁魔術や強化魔術が解かれます。突貫で作りましたけど、いい出来ですね」


『えぇ……』


 あら……なんか引いてる気がする。なんでだろ。

 レッドキャップの要素と鉄の魔術を退ける伝承を混ぜた、立派な集合知識魔術系統の魔導装備なのに。


「ーっとここでエンチャントスキン発動! やっぱり段階を踏んで強化していくのは王道ですよね! 見てください、距離感もばっちりになってます!」


 鉄靴の話は置いておき、私は実況に戻る。

 強化魔術を使った神官をフルスイング! 場外ホームラン!

 カロ様、野球のプロ選手としてもやっていけると思うなぁ〜。


『この皮膚を再現するというのは面白い。この神経終末のデータをこちらの魔体子設計に組み込めるか?』


「ええ、できますよ。というかすでにアルト研究員に頼んでます」


『小娘、よくやった』


 喜色が入った声、彼女も満足そうです。


「ふふふ、安心してください。貴女を最強のフォロワーにするのは、すでに私のライフワークですから」


 私もニヤリと笑う。彼女の魔導核はこの先進研の最高傑作だ。それを強化しない手はないよね!


 そんなことを言ってたら、シーンが変わる。


 次のシーンは、エンハンスブーストを発動した時だった。


『なんだ、これは』


 驚愕の声を出す彼女。


「ふふん、これはエンハンスブースト、神使の魔術と信仰魔術の仕組みを応用した、全く新しいフォロワー専用の強化魔術です」


『ありえない。なんだこの魔力は。いくらレッドキャップに魔力の余剰があるとは言え、賄えるわけがない』


「ふふふ、そこまで驚いてくれると開発者冥利につきますねぇ」


『小娘、この魔力はどこから取っている』


 彼女は凄んだ声を出す。ほんとバリエーション増えましたね。私の声なんだけど。


「ああ、代償とか心配してます? 安心してください。この魔力は安全です」


 神使の魔術は代償が重かったけど、この魔力はそういう性質のものじゃない。


「私はこれを、推し強化魔導機構と呼んでます」


『推し、強化?』


 なんでここで推し文化が出てくるんだ? って声してますね。まあまあ、説明するから聞いて下さいって。


「ざっくり言っちゃうと、私たちが推せば推すほど、同担が多いほど、推しのフォロワーを強化する機構ですね」


 私は魔導核のウィンドウに指で図形を描き始める。


「私たちが体内で作って、使われず拡散していく魔力は、だいたい地表や地下に集まっていきます。この拡散魔力を王国というチャンネルを通して集めます」


 棒人間を描き、矢印で地面に集まる魔力を表す。

 その後、ルキアルク王国の国旗――不死鳥の横姿――を描き、魔力の流れを国旗に向かう大きな矢印で表す。


「あとは、魔力の中にある思想をタグで束ね、タグが付与されたフォロワーに還元するだけ!」


 国旗に集まった魔力を『カロ様・南部の英雄』と書いたブロックで取り出す図を描き、説明を終えた。


『いや……そんな事、できるのか?』


「それができちゃったんです。いやー、この拡散した魔力はさしずめ、集合魔力と言いましょうか。もちろん、この出力はカロ様が英雄だからに決まってます」


 推しが私たちの魔力で強化されるなんて、推し活冥利に尽きるって話!

 それに――と、私は、狭い操縦席の天井を見て、呟いた。


「神は天にいますが、人は地上にいるってことです」


 その後、私と彼女は必殺技名を呟くカロ様や、森に穴を開けて反省するカロ様を見て大いに盛り上がったのだった。







──◆◇◆◇◆ 次回予告 ◆◇◆◇◆──



次回、『推し、キレる』



楽しんでいただけたら、応援やブクマで“推し”ていただけると嬉しいです!

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