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推しの機体をデコれるって最高では? 〜 推しには最強の機体に乗ってほしいんです! 〜  作者: 犬ガオ
第二章

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南部の英雄、北部で一方的に暴れる 2



◆◇◆◇◆



 『俺』は大地に立った。


 正しくは、俺と感覚がリンクしているフォロワー、レッドキャップが大地に立っていた。

 俺の体とレッドキャップが、骨とフレーム、筋肉と魔導流動筋肉、それらに接続された神経と魔力導線という相似を経て、類感同調を果たす。

 足が、自分の想定した高さまで上がる。自分の速さで足が動く。

 デザートスプリガンでも感じていた機体との一体感。


――いや、それ以上だ。


 第四世代を超えた一体感。最初にこのレッドキャップに乗った時、俺は衝撃を覚えた。

 マギア・アクチュエータ・フレームを自分の身体だと錯覚したのだ。


 今までなかった感覚だった。


 デザートスプリガンで行っていた類感同調は、他人の身体に自分が乗り移る感覚が近かった。

 自分と機体を相似すると言っても、所詮は自分ではないモノ。しかもスプリガンという魔物の身体なので、人間と多くの差異があった。

 だが、マギア・アクチュエータ・フレームは、人の身体を元にして設計されている。身体の構成物は違うが、形と機能が似ている。

 そこに、血管と神経を司る魔力導線を張り巡らせる。

 魔力導線は魔力肢と同じで魔導核から出ている。

 普通なら、魔導回路に最初から組まれた決まったパターンどおりに、導線を伸ばすだけだが……。


 あの姫様は、俺の神経と血管パターンを計測し、魔導回路にパターン化した。


 しかも、フレームや魔導流動筋肉のバランスも、俺と同じ比率になるように調整し、姿勢パターンさえも俺の戦闘データから作りだし、このレッドキャップに叩き込んだ。


 その結果、戦争終盤で感じた人機一体の境地を、今は常に感じている。


 はっきり言おう、フォロワーに関して彼女は最高(クレイジー)だ。


 たとえデザートスプリガンの戦闘データや俺の医療データがあったとしても、普通にできることじゃない。

 フォロワーに心血と魂を注ぎ込めるやつが至れる境地を、俺は文字通り全身で感じている。


 眼の前の門の向こう、前に戦った神官たちが見える。

 

 まだ新しい機能を使っていないが……どうせ相手は神使にはなれない。このまま突っ込もう。


 イメージと完全一致の、筋肉に力を貯めて一気に爆発させ、精密な足運びで、彼らとの距離を一気に詰める。


 彼らは即座に魔力を練り、金色や黄色のオーラを身体に纏う。おそらく普通の強化魔術か障壁魔術だ。


 関係ない、と俺は回し蹴りを神官たちに放った。

 鉄靴の蹴りが神官に当たり、パリンパリンと障壁が砕ける音が聞こえ、数名の神官が飛んでいった。

 黄金のオーラ(おそらく強化魔術)を纏った神官たちはギリギリ回避に間に合ったようだ。神使を使えなくても、強化魔術の扱いは上手らしい。


 結構速度を出したんだけどな、と俺は呟く。

 やはり、あれを使わないと当たらないか。 

 

 あの大敗以来、俺は自分の体をイメージ通りに、精密に動かすように鍛錬した。

 ホブゴブリンでその動きを再現する鍛錬もした。

 だけど、敵との距離を測る感覚が一致することはなかった。

 その悩みを王女殿下に相談したところ、「追加予定の新しい機能が解決してくれるはず!」と紹介してくれたのが――


「エンチャントスキン、発動」


 ダークブラウンの布が首から現れ、マギア・アクチュエータ・フレームの全体を覆うように展開される。金属と樹脂が剥き出しだったフレームの上に皮膚が現れた。

 極細の魔力導線で編まれたそれは、俺の皮膚にある神経終末を再現したものだ。

 俺の皮膚上にある、触覚、痛覚、温冷覚、圧覚の神経終末のすべてをマッピングして、魔力導線の布に再現する。


 もう一度言おう。


 彼女は最高(クレイジー)だ。


「魔力肢からマギア・アクチュエータ・フレームから引き算すると残るのは皮膚なんですよ! カロ大尉が指摘した皮膚感覚がないっていうのは、ドンピシャで大当たりだったんです!」


 嬉々として教えてくれる王女殿下の顔が頭に浮かび、少し苦笑した。 


 こうして皮膚を得た俺は、この機体と人機同体となった。


 俺がこの世界のどこにいるかが分かる。


 風が、大地が、武器の握り手の感触と重さが、俺の存在を教えてくれる。


 そして、俺は完全に神官たちとの距離を捉えた。

 彼らの感情、思考、行動を捉えた。

 すなわち――神官たちの未来を捕らえた。


 あとは、鍛錬通りに剣を振る。

 刃を立てず、剣の腹で神官たちをフルスイング。


 神官たちは勢いを殺せず、集落の防壁に激突し、崩れた。

 俺は倒した神官すべてが立ち上がらないことを確認し、操縦席の通信装置を起動させる。


「集落内のルツィー神国残党の主力を制圧。魔術師の拘束を急げ」


『了解。すぐそちらに向か……! 西の森から、高速でこちらに向かう高魔力存在を複数感知! おそらく神使です! 数は……十!?』


「早いな……指揮官は優秀だったようだ。わかった、こちらで引き受ける。君たちは神官の確保と集落の防衛に専念してくれ」


『わかりました、ご武運を』


 俺は通信を切る。

 さて、相手は前に大敗した神使十名。

 人は違うが、状況は同じ。


 リベンジマッチと行こうじゃないか。




楽しんでいただけたら、応援やブクマで“推し”ていただけると嬉しいです!

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