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005-SW・SAS・KAF

「よし、授業を始めるぞ」


携帯に来た情報通りに教室へ向かった僕たちは、始業時間を待った。

なにしろ新入生ということで、覚束無い雰囲気の中での授業だ。


「俺はハインリヒ・スドー。一年生の騎士学科講師だ、よろしくな」

「「「「よろしくお願いします!」」」」


軽薄な雰囲気を漂わせているスドー先生だったが、講師ということはこの人もパイロットということだ。

きっと凄い乗り手に違いない。


「おっと、俺はパイロットじゃあないぜ、生まれつき目が悪くてね、パイロットにはなれないのさ」


...パイロットではなかった。

けれど、実技だけが騎士ではないと聞く。

歴史とかを学ぶんだろう。


「さて! 挨拶はいいだろう! 今日はこの後、実際に乗ってもらう訓練があるわけだが...軽く歴史をおさらいしておくか!」


スドー先生が力強く白板を叩くと、画面が切り替わってスライドが表示された。

そこには、年表が書かれている。


「そこのお前! そうだ、今鼻くそをほじってたお前だ!」


スドー先生は、僕の四つ隣に座っていた生徒を指名し、質問した。


「ナイトフルアーマーの台頭前に主流だったのは何だ?」

「は、はい! ストロングワーカー(SW)です!」

「そうだ、ストロングワーカー...つまりは人型重機が、ナイトフルアーマー(KFA)の前身になったわけだ」


戦時において、最初は歩兵が主流だったものの、そのうち工業用の重機であるストロングワーカーが、銃器を持って戦うようになった。


「ミカガミ重工がこれに目を付け、新製品として戦闘用のストロングワーカー...ソルジャーアームズ(SAS)を開発したんだ、皆は当然知ってるよな?」


クラスのあちこちで「はい」という声が上がる。

初期のソルジャーアームズは酷い出来で、ストロングワーカーよりはマシ程度のものだった。

だが、技術革新が一気に起きる事件が発生する。


「さて、このままだとKFAには辿り着かないな、何が起きた?」


僕は手を挙げる。

誰よりも早く。


「そこ! 黒髪黒目のレア者!」

「ロカルファ王国が資金援助を行い、パイロットを騎士として雇用・養成すると発表したからです」

「正解だ! よく調べているな!」


ロカルファ王国がこのプロジェクトに資金援助し、見事成功。

戦闘用に改良され、多岐にわたる武装選択肢の与えられた新たな戦闘機械の可能性が生まれた。

王国は出資の際に、この機体に「ナイトフルアーマー(KFA)」という名称を付け、それが現在まで使われているのだ。


「だが、KFAだけでは当時のプロモッド帝国が使用していた艦船や、高性能の艦載機には到底及ばなかった。...だがここで、二つの要素が王国に勝利を齎したわけだ」


その二つの要素とは。

僕は両方とも知っているし、クラスには他にそれを知る者も居るはずだ。


「一つは、マスプロダクション...ようは、大量生産ラインの整備と、マニュアルの策定による騎士の大量養成によって、物量で攻めたこと、もう一つは...」

「はい」


僕と通路を挟んで隣にいた、茶髪の生徒が手を挙げる。


「お、イキがいいな! 答えてみろ!」

「英雄ですよね! 英雄クラマ・ドランと、その乗機のラパエル!」

「そうだ、英雄クラマ・ドランは戦功を挙げてお姫様と結婚した、まさにヒーローみたいなヤツだ、そのうち歴史の授業でも学ぶだろうな! ラパエルは一個小隊を率いて、敵の拠点やエースを潰して回ったんだ、そのおかげでプロモッド帝国を敗戦に追い込めた、というわけだ!」


その後、プロモッド帝国に不利な条約を結ばせた上で、時間をかけて王国はプロモッド帝国の力を殺いで行き、そして今ではプロモッドは小さな自治領を持つのみとなっていた。

先生はラパエルの話もしたかったようだが、その時チャイムが鳴る。

半チャイムと呼ばれるものらしく、授業の半分の時間が経過した際に鳴るそうだ。


「おっと...よし、第十四訓練用格納庫に移動しろ! 俺の持ち回りは終わりだ、お楽しみの実技だぞ」


クラスは一気に騒がしくなる。

当然だ、シミュレーターでしか体験できないKFAに乗れるんだから。

僕だってワクワクする。

みんな、心ここに在らず、といった様子で移動を始めるのだった。


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