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039-新入生大会

「はぁ、疲れた......」


僕は自分の部屋で溜息を吐いた。

あれから格納庫に戻り、二人と別れた後に学生寮まで戻ってきたのだ。

流石に料理をする気も起きないので、コンビニエンスストアで弁当を買ってきた。

ヒモを引っ張って暫くすれば、熱々のドリアが楽しめる一品だそうだ。


「........」


しまった。

スプーンを持ってきていない。

僕は席を立ち、キッチンに向かった。


「....ん? どうしたんだ」

「悪いが、スプーンを貸してくれないか」

「分かった、これだ」


キッチンの引き出しから、ラウルがスプーンを出してくれた。

僕はそれを受け取り、立ち去ろうとする。


「待て」

「.....どうした?」

「今度の大会には出るのか?」

「大会?」


僕は何のことかわからず、その場で立ち尽くす。

言葉が足りないと悟ってくれたのか、ラウルが説明してくれる。


「いや......君は、パトリックを圧倒する実力を見せただろう? だから、大会に出るようなら、なるべく邪魔しないように生活すると言おうと思ったんだが.....」

「いや、アレは.....」

「新入生大会があるって話は聞いている。君ほどの実力者なら......」

「今初めて知ったんだが.....」

「そ、そうなのか」


彼が恥ずかしそうに顔を赤らめた。

自分が早とちりしすぎていたと気付いたのだろう。


「だが、出るんだろう?」

「出るかどうかは.....それに、アレはクランデュエルの方式だろう」


チームを組まないとならない。

僕には、チームと呼べそうなのはいつもの面子だけ。

それに....

僕は素早く端末を操作して調べる。


「コーチと専門のメカニックがそれぞれ必要だ、すぐ集められるわけじゃない」


コーチは上級生、メカニックは人数制限はなく一人いればいい。

メカニックは最低でも基礎講習を終えている技術科所属である必要があり、僕らはコネがない。


「メカニックなら、俺がいればいいだろう」

「基礎講習は修了しているのか?」

「勿論だ」


意外なところから話が来たな。

じゃあ、後は全員に話を聞くまで....って。


「っ、しまった! ドリアを放置したままだった! 失礼!」

「あっ!」


僕はいそいそと部屋に戻る。

幸い、冷えて硬くなっているという事もなく、僕はドリアを完食した。

初めて食べるものだったので、急いで食べることはなかったと思ったが....


「とにかく、出てみたらどうだ?」


ドリアの容器をゴミ箱に捨てるとき、ラウルがそう言ってきた。

何故そんなに推すのかと思って、僕は彼の目を見て聞くことにした。


「.....どうしてだ?」

「...君に嘘はつかない、参加者には内申の加点がある」

「成程な」


僕が強いところを見せたから、すり寄って来たという訳か。

本当は大したことないというのに。

反吐が出るような思いだ。

どいつもこいつも。

僕はまだ、ミユキの足元にも及ばない。

盾の後ろに隠れて勝っただけなのだから。


「勝てるかは分からないが」

「....それでいい。勝とうが負けようが、その結果を貶めるほど、学院は腐っていない」

「ああ」


僕は思う所がありつつも、頷きで返したのだった。


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