023-決闘講義2
出撃した僕らは、機体をうまく操って指定の地点に集合する。
遅れて、ナスカ、クライム、フウカ、ロランの四人が到着した。
ロラン・ランドールは五人チームを組む際に加わってくれた生徒で、緑の髪をした青年であった。
『両チーム、位置についたな?』
「はい!」
僕は便宜上リーダーとなったので、チームを代表して準備の完了を決闘授業の責任者であるラガート・ドルマン教授に伝えた。
もうすぐ決闘が始まる。
『全員動くな、30秒後にチーム決闘を開始する』
僕たちのチームは三番手。
外から動きはなんとなく見ていたが、とにかく動くことが重要だ。
舞台はコロニー外周部にある演習エリア、つまり第一訓練場だ。
刻一刻とカウントダウンが過ぎて行き、そしてゼロになる。
『決闘、開始!』
「全員散れ!」
『『『『了解!』』』』
僕は機体を加速させる。
最初は早く。
その後遅く、光跡を残すと相手に位置がバレる。
「...がはっ!」
急加速で、シートに押し付けられる。
機体の対物接近アラートが、コックピットに鳴り響く。
『何やってんだ、ナユタァ!』
「悪い!」
適当な方向に飛んだつもりが、クライムの方に行ったらしい。
慌てて急ブレーキ、一回転して逆方向へ逃げる。
相手チームも既に動いているはずだが...
『敵機発見! 様子を見るわ、そっちにシグナル送ります!』
「了解!」
フウカは流石に慎重か。
僕も、短距離電探を駆使して敵を探す。
デブリとアステロイドが邪魔で、敵が探しにくいが...
「クライム! 後ろだ!」
『おわあっ!? 済まねえ!』
僕は直ちにメガビームライフルを構え、クライムの後ろに接近して来ていた敵を狙う。
敵も混乱しているようで、クライムが避けた事にビビっているようだ。
動きが単調になり、簡単に狙撃できた。
『チームC:脱落者、一名』
システム音を聞いた直後。
対物接近警報が再び鳴り響く。
慌てて飛び退くと、そこを何かが通り抜けた後に爆裂した。
「どこだ...?」
この挙動はロケット弾だが...ある程度開けた場所から撃つ必要がある。
もしかしてと思い、先ほどのシグナルを追ってみた結果。
「上か!」
見つけた、とばかりにライフルを構え直すと、敵は逃げていく。
それを追おうした瞬間、モニターをビームがすり抜けていく。
メガビームライフルによる狙撃か。
コロニーの重力傾斜で吸い寄せられて、僕から少しズレたのだろう。
なんにせよ、ビーム・レーザー系の攻撃は初弾をかわせば脅威ではない。
相手のターゲットを振り切るように動く。
続けて、二発、三発と飛んでくるが...
「ナスカ、頼む!」
『任せてください』
センサーとスキャナーを掻い潜って接近したナスカの機体が、狙撃手の機体の頭部をサーマルナイフで串刺しにした。
『チームC:脱落者、一名』
『た、助けてください! 追われてます!』
その時。
ロランから救援シグナルが飛んでくる。
僕は冷静さを保つように、息を吸い込む。
そして、ロランを追撃する敵を狙った。
レーザーミニガン装備のようだ。
『気をつけろ、狙われてるぞ...ナユタ!』
「名前を先に言ってくれ!」
狙撃手は狙われる立場にあるらしく、別々の方向からロケット弾とミニガンの短周波レーザーが飛んできた。
僕は救援シグナルを出しながら、クライムの方へ向かう。
相手は恐らく混乱しているだろうから、狙撃手が突っ込んでいくとは思わないはずだ。
「なっ!?」
だが、現実は違った。
クライムを追っていた奴は、僕が追ってくるのを仲間から聞いたのかもしれない。
すぐに追撃をやめ、真っ直ぐこっちに突っ込んでくる。
「やられる!」
ミニガンに撃たれ、機体が少しずつ損壊していく。
背後からも撃たれ、気づいた時にはロケット弾に巻き込まれていた。
機体が完全に損傷し、コックピットブロックだけが離脱する。
『チームF:脱落者、一名』
「ごめん...」
コックピットブロックの離脱と同時に、カメラの信号が途絶えてモニターが停止する。
『大丈夫だ、問題ない! 二人殺った!』
『チームC:脱落者、二名』
ということは、残り一人か。
僕は操縦席を見渡した。
生命維持装置が生きているので、生存は問題ないが...
やられると、外の状況が何一つ把握できないのか。
寂しいな...
『倒しました! 私たちの勝ちです!』
ロランの声と共に、通信が一気に騒がしくなる。
だが、気まずい。
相手を侮って突っ込んで、一人だけやられたことが悔しい。
『大丈夫か、ナユタ!』
「大丈夫だ」
クライムに抱えられる形で、僕は帰還するのだった。
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