表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/37

015-記録室

結局、クライムは来なかった。

ナスカと、何故かついてきたフウカと共に、僕らは記録室へ向かっていた。


「冗談で言ったのだが、興味をもってくれるとは嬉しいな」

「ありがとうございます、運んでいただいて」


僕らは今、先生のシャトルで記録室に向かっている。

どうやって向かうかという話をした時に、フウカが頼んでくれたのだ。

先生は快く応じてくれた。


「もともと、私は本校舎の教員用宿舎に戻る予定だったからな、そのついでというのなら、歴史に興味がある者に後部座席を貸すくらいなら、問題ない」

「助かります」


フウカはにこにこしながら先生に話かけている。

僕らは特に話すこともないので、黙っていたが、ナスカはやたら外を見ていた。

携帯端末でゲームをしてもいいのだが、乗せてもらっている側としては自粛するべきだろう。


「悪いのだが、中庭に降りることはできない。職員用の格納庫に入るから、そこから学舎内に出られるように案内しよう」

「はい!」


シャトルは校舎の南にある職員用の格納庫へと降り立つ。

そこに職員ごとに決められたスペースがあるようで、微調整を繰り返したのちに停船した。


「降りていいぞ」

「はい!」


僕たちはシャトルから降りる。

先生はシャトルのドアを閉めてロックをかけると、資料が入っているらしい鞄を肩に下げた。

そして、手をひらひらと振ると、僕らを案内してくれた。

職員用通路を通って、扉を潜る。


「ここはもう学舎内だ、記録室は階段を二つ上がれば辿り着ける」

「「「ありがとうございました!」」」


僕らは先生にお礼をした後、とりあえず先生が去るのを待ってから話を始める。


「...それで、ラパエルの記録に興味があるってことだったが...本当なのか?」

「悪い? 一人で行くのも虚しいでしょ」

「ああ...」

「早く行きましょう、時間は有限です」


後ろから冷淡な声が返ってくる。

それもそうなので、僕らは通路を歩き、最初に見つけた階段を二つ上がる。

そうすると、途端に人通りが多くなった。


「あっちよ」

「ああ」


三人でその方向へ向かうと、そこにはゲートが設置されている扉があった。

僕らはそこを通る。

電子音がして、『お通りください』と女性の声が響く。


「書籍の持ち出しはできないようですね」

「そうなのか...」


記録のコピーはできるが、実物の書籍を持ち出すことはできないらしい。

僕も実は、書籍をまだ見たことがない。

後で見てみるかと思いつつ、記録室に入った僕らは、映像を閲覧できるブースを探す。

それはすぐに見つかり、繭型の閲覧室が対になるように五つずつ置かれていた。


「中で見られるのか...」

「私は一番奥に行きます」


ナスカは勝手に奥に座って、僕はその隣に、僕の隣にフウカが座る形となった。

画面を操作して、「ラパエル資料集1」という項目を見つけた。

再生を押し、僕らの前に映像が浮かび上がった。


『これは英雄の機体、ラパエルの映像を纏めたものである。解説の類は最小限である事を留意の上、視聴する事を推奨する』


初めにそんな男の声が入った。

続けて、見た事のない紋章が出る。


「これは...?」

「王家の紋章よ、知らないの?」

「知りません...」


ど田舎から出てきたばかりなのだから、分かるはずがない。

というか、貴族で知ってて当たり前だったとして、平民の間で知れ渡っているかは分からない。


『ラパエルはどこで製造されたかの情報は存在しない、実戦投入された際には、三人のパイロットが戦死している。最後に選出されたパイロットが、クラマ・ドランである』


映像が切り替わり、少し粗い画質の映像で、通路を歩くクラマ・ドランの映像が映し出された。

逆に言えば、これくらいしか映像がないという事だろう。


『クラマ・ドランには天才的そな素質があり、それまでのパイロットとは異なる凄まじい動きを、我々は見た』


一体どれほどのモノなのか。

僕らは息を呑み、その映像に視線を集中させるのだった。


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ