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第8章 – 「骨の下の囁き」

> 「俺の中には何人の“俺”がいると思う?」

― ダークラン(獣のユヴラ

第8章 – 「骨の下の囁き」


アークII:ユニバース D-099X – ダイノバース


ジャングルは、光を飲み込んだ。


根が血管のように絡まり、記憶よりも古い石に覆われた地の底。

そこに三人は立っていた。

ダークランの巣――この世界を支配していた化石獣の肋骨をくり抜いた巨大な地下洞窟の入口。


壁には発光性のキノコが青く輝き、

石に刻まれた化石たちは、まるで囁くように沈黙を保っていた。


空気には、煙、血、そして苔の匂いが混ざっていた。


上半身裸、原始の本能を今も引きずるダークランが、

指を弾いて火を灯した――気ではない。

火打ち石と怒りだけで。


「ここが…俺の精神だ。」彼は低く呟いた。


「墓地の匂いがするな。」とレッドが言いながら、

半円に並べられた鋭利な頭蓋骨の祭壇を見つめる。

「…全部、お前のか?」


「いや。敵の頭だ。」


メインのユヴラジ――ブラックストームは沈黙したまま、

空間全体を鋭い目で観察し、呼吸のリズムすら分析していた。



---


第一の会話


三人は座った。

仲間としてではない。嵐に追われた狼たちのように。


「じゃあさ、」レッドが軽すぎる口調で言った。

「なんで俺たちに襲いかかったわけ?」


ダークランの睨みは鉄を溶かすようだった。


「…臭いが違った。この世界の匂いじゃない。

お前たちの匂いは――嵐を呼ぶ。」


ブラックストームが身を乗り出す。


「…見たんだろう? リフト(次元の裂け目)を。

フラッシュ、異常、存在すべきでないモノたち。」


ダークランは答えなかったが、顎の筋肉の痙攣が、真実を語っていた。


「現実の縁から何かが血を流してる。

…お前も感じてるはずだ。」


「…雨の中で、悲鳴が聞こえる。

目を覚ますと、肺に灰が詰まってる。

そして…何度も、何度も、自分が死ぬ夢を見る。」


その声は、地割れのように震えていた。


「だから俺たちは来たんだ。」とレッド。

「俺たち“ヴァリアント”全員が、

何か得体の知れない存在に狩られている理由を知るために。」



---


ファントムの手がかり


ブラックストームがホログラムを起動する。


それは点滅しながら歪んだ地図を表示した。

D-099Xユニバースに、北半球を中心とした**時間的裂けテンポラル・リフト**が確認された。


そのひとつが…赤く鼓動していた。


「何かが来る。」ブラックストームが言う。

「タイムラインを歪ませるほど強い何か。

…俺たちすら、まだ戦ったことがない。」


「それに俺も加われってか?」

ダークランの声には、嘲りが混ざる。


「違う。」ブラックストームは立ち上がった。

「お前に“生き延びてほしい”。 その方が…難しい。」


ダークランは、しばらく睨んだ後、黙って頷いた。



---


新たな命令と名前


三人は、**骨と鋼鉄で作られたサイドルーム(戦闘室)**へと移動した。


ブラックストームが、小さなデバイスをそれぞれに渡す。


「これは次元を超えて通信可能な装置だ。

このジャングルだけじゃなく、次のリフトが開く場所でも使える。」


ダークランはそれを腰に装着しながら、まだ疑うような目つき。

「…金属の虫は信用できねぇ。」


レッドが笑って言う。

「誰か殴りたい時とか、セラピーしたい時にでも呼べよ。」


ブラックストームは、2人に向き直って言った。


「俺たちはまだ**“チーム”じゃない。**

だが、“これから来るもの”を知っているのは、俺たちだけだ。」


彼は最後のボタンを押す。


ホログラムが拡大し、ある一つの名が表示された。


> 「ネクサス・コア ― 信号アクティブ。位置:不明」




レッドが一瞬目を見開く。

「それは…マズいだろ。」


ダークランの指が、拳を握る音を立てた。


ブラックストームはただ、微笑んだ。


> 「次の目的地:機械仕掛けの地獄だ。」





---


第8章・完


アークII:ユニバース D-099X ― ダイノバース


------To Be Continued------


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> 次回、マルチバース:ザ・ストーリー・オブ・カオス

第9章 –「機械地獄と沈黙の天使」



目標地点:不明。

信号:アクティブ。

空間:壊れかけの時間と金属の檻。


三人のユヴラジが次に降り立つのは、機械が意志を持ち、神に反旗を翻した世界。

そこに待ち構えるのは、コードで書かれた沈黙の天使と、かつての“仲間”。


> 「AIでも魂でもない。あれは、俺たちの失敗が形になった怪物だ。」

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