第6章「世界の裂け目」
前書き(Forehead)
新たなアーク「ユニバース D-099X」へ突入――
この章では、マルチバース・トラベル・マシンがついに起動し、ユヴラジとマッドサイエンティストが未知の次元を旅する壮大な移動の始まりを描いています。
章の冒頭では、ユヴラジが“音楽”という静かな武器を持って、混沌へと飛び込む姿が描かれます。バイオリンの「Paganiniana」の旋律は、単なるBGMではなく、彼の魂の震えであり、記憶の引き金でもあります。
彼らが通過する複数の世界は、それぞれ異なる“終末”や“理不尽な美しさ”を持ち、読者にもマルチバースのスケール感と恐怖、魅力を味わってほしいと思っています。そして最後にたどり着いたのは――原始の世界、ダイノバース
第6章「世界の裂け目」
アークII:ユニバース D-099X — ダイノバースの始まり
ラボの明かりが薄暗くなり、部屋の中心にあるマルチバース・トラベル・マシンが低く唸りを上げて動き出した。隠された通気口から蒸気が立ち上がり、回転するリングが同期して回転し始め、未知の奥深くに埋め込まれた座標をロックオンしていく。
ユヴラジは静かな精密さで動きながら、マシンの設定を手動で調整し、宇宙コードをまるで古代の儀式のように入力していく。彼の表情は読めず、ただ一点を見つめていた――集中しているが、どこか遠くを見ているようでもあった。
マッドサイエンティストが彼を一瞥する。「この宇宙コードはどのマップにも載ってない。…本当にいいのか?」
ユヴラジは何も答えなかった。ただ最後のスイッチの上に手をかざして、しばらく止まる。
そして――黙ってスイッチから手を離すと、傍らのカウンターに置かれた古びた黒いバイオリンケースへと歩いていった。
彼はそれを静かに開ける。中には、傷だらけで色褪せたバイオリンがあった――だが、まだ力強く響くものを宿している。
> かつて、廃墟の隠れ家で夜に眠れなかった時に奏でていたもの――
世界が沈黙した時、唯一彼の声を聴いていたもの。
肩にバイオリンをかけ、弓を脇に挟む。
そして再び装置に戻り、目を閉じるような静けさの中で発射ボタンを押した。
> 装置が唸りを上げ、起動するとともに、「パガニニアーナ」の旋律が静かに――まるで混沌の中の囁きのように――流れ始める。
空間が裂け、光が砕ける。
> 彼らは“発射”された。
単なる移動ではない。
彼らは次元の壁に弾かれながら、放り投げられたのだ。
回転しながら、未知の現実にぶつかりながら――
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第一の世界:沈んだ地球。
海が地上を支配し、人類は深海で生きる。
クラゲが星のように浮かび、人間は光る肺で泳いでいた。
第二の世界:空中戦場。
地表が崩壊し、空で機械たちが絶え間なく戦い続ける。
そこには平和などなく、あるのは生存のみ。
第三の世界:燃え尽きる太陽。
死にゆく星が惑星を焼く中でも、都市は命を拒絶するかのように輝き続けていた。
第四の世界:静寂の虚無。
時間が逆行し、人々は逆に泣いていた。
彼らは悪夢を見た。
奇跡を見た。
未来と過去、壊れた現実と美しい地獄を、目の前に――
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そして、ついに――
――クラッシュ。
マシンが石畳の上を滑りながら着地し、古代の密林の中で煙を上げて停止した。
> ユニバースコード:D-099X
地域:南大陸・未記録ジャングルエリア
沈黙――
その直後、地の底から響くような咆哮が鳴り渡った。
鳥が飛び立ち、木々が揺れ、空気が太古の力で満たされていく。
「…何かが動いている。」
ユヴラジはハッチを開けた。
この世界の太陽は、赤く、獣のように燃えていた。
彼
「…何かが動いている。」
ユヴラジはハッチを開けた。
この世界の太陽は、赤く、獣のように燃えていた。
彼は一歩を踏み出す。
> ようこそ、ダイノバースへ。
---To Be Continued…
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あとがき(Postcard)
読んでくれてありがとう!
この章は、物語のスケールを一気に広げるための重要なパートでした。ユヴラジの旅が「現実」の枠を超え、幻想・SF・神話的空間へと拡大していく第一歩でもあります。
今回の構成では、次元を超える“ビジュアル”を意識しながらも、あくまで“ユヴラジの孤独と決意”が中心に来るように意識しました。バイオリンの場面はその象徴です。
そして…次章から始まるのが、ダイノバース編(Dinoverse Arc)!
恐竜だけじゃなく、異進化した世界の文明、狩猟社会、そして古代の謎が待っています。
アクションも、サバイバルも、哲学も、混ざり合った“野性”の物語をお楽しみに!
– ダークロード・ユヴラジ