46話 ショーグンが見つけたもの
正面の通路の奥にあったのはなんと……下り坂だった。
いや、下り坂なんてものは珍しくもない。
問題はその形状だ。
地面はデコボコで、壁もいびつ、天井にはゴツっとした出っ張りもある。
それが、ずっと奥へ続いているようなのだ。
ショーグンが掘ったにしては不自然だ。
もしや、天然の洞窟か?
壁を触ると、なんかヌチャっと濡れてるし……。
「ショーグン、おまえコレ……」
「ええ、そうなんですよ。掘っていたら天然の洞窟につながりまして」
なんと! それは、いいこと……なのか?
「もしかして、ずっと下の方にくだってるの?」
「ええ、どこまで続いてるか確認できてないんですけど、けっこう長さがありそうです」
なるほど。地下深くまで続いているとなると、シェルターとしての役割はいっそう強くなるんじゃないか?
これは朗報だぞ!
「よくやった、ショーグン。これが見せたかったものか」
「いえ、実はですね。見せたいのはさらに奥でして」
え! 奥にまだなんかあんの?
こうして、ショーグンの案内のもと、さらに奥まで進んでいくこととなった。
「うお!」
足場の悪い下り坂。しかも、地面が濡れていて、転びそうになる。
「気をつけてください。このあたりはけっこう滑りやすいんですよ」
言うのが遅えよ!
滑ってから言っても意味ねぇよ。
買っておいたフラッシュライトで照らしながら歩く。
この状況を予想していたわけではないが、いずれ必要だろうと思って買った。
ショーグンの持つランタンでは全然明るさが足りない。
こえーな、これ。バッテリー切れたら帰れねえんじゃねえの?
「ショーグン、道順大丈夫かよ?」
こんなところで迷子で飢え死にとか嫌だぞ。
「大丈夫です。分かれ道はけっこうあるんですけど、目的の場所は右の壁伝いにいけば着きますので」
分かれ道けっこうあんのかよ!
ほんとに大丈夫か?
同じミゾに三度もはまったショーグンじゃあ説得力がまるでないんだが。
そうこうしているうちに広い場所へ出た。
「あ!」っと叫ぶと、めちゃくちゃ反響した。
「ふふふ、子供ですね」
ショーグンが振り返って言う。
おまえに言われたくねえよ!
レベルアップしても中二病真っ盛りのオマエにな!!
などと思っていると、どこかでポチャンと高い音がした。
ん? この音は。
音のした方をライトで照らす。
「うお!」
またまたビックリ。
わずかに波打つ地面が、ライトの光をうすく反射していた。
「水か!!!」
大きな水たまりがそこにあった。
これはもしや、地底湖か?
「それがですね。ちょっと触ってみてください」
ショーグンはなにやらもったいぶっている。
触るって、水なんか触らなくてもわかるっちゅーの。
口を尖がらせながら、水に触れた。
「こ、これは!!」
ほんのり温かい。温泉?
「どうも地下からお湯が湧き出ているようでして。それが山からの水と混ざってここに溜まっているようなんです」
なんと。温泉と山からの水か。
これはもしかして、すごいことなのでは?
洞窟の籠って困るのは水だ。
山からの水ならたとえチリど汚染されたとしても、大地を浸透し、ろ過される。
簡単な、ろ過設備や加熱で十分飲み水になる。
風呂や洗濯にも使える。それい温泉は地熱で温められている。
太陽光が届かない氷河期になっても、温かいままなんじゃないか?
それにだ。もしかしてもしかして、うまく生け簀を作れば、魚の養殖だってできるんじゃないか?
こいつは勝てる!!




