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33話 さらにやる気になったショーグン

「旦那様、ちょっとショベルカーをお借りしてもいいですか?」


 晩御飯を食っていたら唐突に、ショーグンに言われた。


「べつにいいけど、お前乗れるの?」


 以前、乗り物は酔うからダメだと言ってたハズだが。


「え? いや、まあ大丈夫です」


 ほんとかよ。

 耕運機は手押しだ。だから問題なかった。

 だが、ショベルカーは乗り込み型。車がダメならこれもダメだろう。


「お前、まさか乗り物がダメって設定を忘れたんじゃ……」


 やっぱりウソか。

 ウソなんだな。

 東京に連れていかれたくないからって、とっさにウソをついたんだな。


「そ、そんなことはありません! そう、あれです! 自分で運転するのと乗せられるのは違うんですよ」


 ショーグンはなんとも苦しい言い訳をしている。

 たしかに自分で運転するのと横に乗ってるだけってのは違うけどさあ。


「おまえ、なに(たくら)んでんの?」


 どう考えても怪しい。

 ウソにウソを塗り重ねているようにしか思えない。


「企んでなんかいませんよ! もうちょっと、わたしを信用してくださいよ」


 信用?

 ショーグンとは対極(たいきょく)にある言葉だが。

 

「詐欺師ってのはだいたいそういうセリフを吐くんだよ」


 絶対儲かります、わたしを信用してください、今しかないんです。

 詐欺師の常とう句だ。

 そんなものに、俺は騙されない。

 信用とは言葉ではなく行動で勝ち取るものなのだよ、ショーグン君。


「誰が詐欺師ですか! ヒドイこと言わないでくださいよ!!」


 いや、ウソつくほうが悪いだろ。

 日頃の行いが周りの評価を固めるんだ。

 それを(おこた)った者が、信じてもらえないと嘆いたところで同情の余地はない。


 しかしまあ、詐欺師は言い過ぎか。ウソついておとしいれようみたいな悪意はショーグンにはないだろうしな。

 ただ、なんとな~く様子がいつもと違うんだよなあ。

 しっかりとした意思があるというか、どうもショーグンぽくない。


「それで、何するの?」


 肝心なのは理由だ。ショベルカーを使ってもいいが、使いたい理由による。

 畑の拡張を手伝ってくれるなら、大助かりだが。


「もちろん、秘密基地を作ります」


 やっぱ勘違いだった。いつものショーグンだ。


「わかった、わかった。使っていいよ。でもちゃんと畑仕事するんだぞ」


 こうして午前中は俺がショベルカーを使い、午後からはショーグンが使うこととなった。

 もちろん、しっかりと畑仕事をしたうえでだ。

 最初はぎこちない操作をしていたショーグンだったが、徐々に慣れてきたようで、まあまあの動きを見せていた。

 これはこれで戦力となるからいいか。ショベルカーを使えるのが何人かいればイザというとき助かるし。

 と、前向きにとらえる俺なのであった。

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