恋のライバルマロンナ
マロンナが語り出した。
『あたしとリスおさんの出会いは、あたしが落としたどんぐりを追いかけていた時だったわ。あたしのどんぐりを何食わぬ顔で拾ってくれたの。そしてあたしに優しく声をかけてくれた。彼はどんぐりだけではなく、あたしの心まで拾ったのよ。』
この人は何を言ってるんだろう。リスおくんは隣で今、両手で栗を食べている。かじかじ食べていて美味しそうだ。
『ゆーえーにー!ケーキ!あたしと勝負なさい!』
『えぇ〜。意味がわからないよー。リスおくんも何か言ってよ。』
『ライバル対決リスね…!』
『ライバルじゃないよ!私にとってはさっき出てきた知らない人だよ…!』
『誰がぽっと出ですって!?』
『ひぃぃぃぃ!』
『勝負は1本勝負よ!』
マロンナは指でビシッと私を指してくる。私は怖くて震える。なぜか成り行きで王様が審判をすることになった。
『ぬいぐるみ対決よ。制限時間は3分。どちらがお裁縫が得意か勝負しましょう!』
『うぅ…なんでこんなことに。』
スタートの火蓋が切られた。私はお裁縫は得意では無い。中々上手くいかないよ。手を動かすのって大変だ。マロンナの方へ顔を向けると彼女も苦戦しているようだった。
『きぃぃぃ!針に糸が通せないー!』
なぜこの人この対決にしたんだろう。そんなこんなで3分経って、勝者が決定した。ギリギリリスのぬいぐるみっぽいものを作った私の勝ちだった。表彰台に上がって祝われて、両腕をリスおくんと王様に持ち上げられる。たくさんの拍手が効果音みたい。
『勝者!栗野さん!』
『おめでとうリス!』
『次は負けないわ!』
助けてください。