異世界のお城
リスおくんに手を引かれた私は成されるがままお城に入った。まるでシンデレラが住んでいそうなお城ね。城内もとても綺麗で広い。高そうな風景画や甲冑があり、赤いカーペットが敷かれている。
『素敵…!』
『驚くのはまだリスよ〜。王様!』
大きな扉が開くと煌びやかでゴージャスな玉座に人相の良い朗らかな顔をしたおじさんが座っていた。
『おかえリスお』
『ただいまリス!』
『む?そちらのお嬢さんは?』
おじさんが私の方を見る。
『初めまして。栗野慧姫です。』
『おお、はるばる来てくださったのか。モンブラン王国の王様です。よろしくお願いします。』
『僕の婚約者リス!』
え?ええええええええええええええええーーーーーーーー!!!!!??????
『ちょっとリスおくん、私婚約者なの!?いつそういうことになったの?』
『強引なのは嫌いリスか?』
リスおくんが肩に手を回して私の顎をクイッと上げる。もうチューしちゃいそうな至近距離だよー!私は顔が真っ赤になっているだろう。
『い、嫌じゃないよ。急なだけで…その、リスおくんならいいかなって。』
『ちょっと待ったー!!』
ギィィィィィと後ろから勢いよく扉を開く音と共に大声が響き渡った。
そこには何とも身なりの整った年端もいかない10歳前後の女の子がいた。
『あたしはマロンナ。モンブラン王国のお姫様よ!リスおさんをかけて勝負なさい!』
『は?勝負!?や!リスおくん助けて!』
『マロンナ。落ち着けリス。慌てていたら持っているどんぐりを落とすリスよ。』
例えが独特すぎる!けど、リスおくんの言葉で徐々にマロンナは落ち着きを取り戻していく。
『あたしとしたことが取り乱したわね。失礼。ケーキ!なぜあなたは婚約者に選ばれたの?美味しそうだから?』
『私食べ物じゃないし!わからないよー!』
『かわいいからリス。』
『え…?』
リスおくん嬉しいことを平気で口にするから照れちゃうよ。うぅ、余計にドキドキする。
『くっ…あたしもリスおさんにかわいいって言われたい。確かにそこの子はかわいいかもしれない。でも、あたしだってこの3日間、必死でリスおくんに振り向いてもらおうとしていたの!』
『ずいぶん短いわね。』
『それは運命の出会いだったの』
突然、うっとりしながらマロンナが語り始めた。