表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リスおの理想  作者: 中須ゆうtive
2/5

理想郷

その夜、私は帰宅していつも通りの日常を過ごして、ベッドに潜った。数分経たずに眠りに入っただろう。それから間もなく、辺りの景色は緑色の草原へと変わる。大きな木が後ろに1本立っているのが印象的だ。


『え?ここどこ?夢?』

『お嬢ちゃんまた会いましたリスね』

『あ、あれ?』

『自己紹介がまだだったリスね。僕は栗林リスお。リスの中のリスリス。』


名前はわかってるんだけどな〜と思いつつ返事をする。


『あ、うん。私は栗野慧姫。放課後は助けてくれてありがとう。』

『どういたしましてリス』

『えへへ』

『どうしたリス?』

『さっきは栗林くんにちゃんとお礼言えなかったから。お礼言えたのが嬉しくて。』


私は少し顔を赤くして恥じらうように照れる。

栗林くんは笑顔で私の手を握った。


『え?どうしたの?』

『おいでリス!』


そこからのリスおくんはリスのようなすばしっこさだった。草原を駆け回るように私の手を優しく握りしめたまま、離さない。私はあわわと声を出しながらはしゃいでいる。こんなに楽しいことすることなんて高校生になってから全く無かったの。私は思い出したかのように走りながらこの状況を(たず)ねる。


『そ、そうだ。リスおくん。ここって夢の中なのかな?』

『夢じゃないよ。こっちを見てリス。』

『まさかここって!』

『うん。僕の理想郷リス!』


理想郷?まさか異世界ってこと?ありえない。でも、リスおくんは現に存在するし、手の感触も感じる。夢じゃないってことだけは肌で感じるわ。突然、リスおくんが私を抱きしめる。


『きゃっ!?』

『動かないで。背中に(うさぎ)さんがついているリス。慧姫ちゃんの背中に乗るなんて幸せ兎リスね。』


栗林くんはわたしの背中から兎を取ってくれた。これはとても白いうさぎね。珍しい。


『栗林くんありがとう。』

『苗字じゃなくて名前で呼んで欲しいリス。』

『う、うん。良いのかな?』

『僕が良いって許可するリス。』

『りりりりりりリスおくん!』

『よく言えました。』


早口で(ども)った私をリスおくんはまた優しく抱擁(ほうよう)してくれた。かなり近い。唇さえも触れ合いそうな勢い。リスおくんって結構Sなのかな?もどかしいような至近距離。この時間が一生続けば良いのになと思えた。

これが私のリスおくんとの理想郷での出会い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ