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化物皇女と勇者?と魔王?  作者: 北田シヲン
第2章 世界の始まり
54/57

18話:最終決戦③

おしまいまで 残り4話

「そう―――カルパス王の〝月〟魔法によって」


 アーノルドは、神妙な面持ちで話しを続ける。

(第二章15話(ep.51):各隊の結末③の続き)


「…王が持つ魔法は1種類のみ。存在自体が極めて稀である3種の内の一つである〝月〟魔法だ」


 おさらいついでに、この世界に存在する14種の魔法。

火、水、風、木、土、氷、雷、光、闇、音、心、時、原、月。

中でも、時と原と月はとても珍しい。

時と月に関しては、過去、発現した者すら見つかっていない。


 皇女が使っている武器の創造魔法は〝原〟。

よく使っているため、皆忘れているかもしれないが、とても稀有な魔法なのである。


「月魔法についての文献は、他の魔法と比べ圧倒的に少なく、まだ解明していないことばかりだが、王の行動から2つは判明している。

一つは、ここにいる我が子たちを操っている〝洗脳(マインドコントロール)〟。

もう一つは、亡くなっている者を代用の身体を使って復活させる〝死者転生〟。

…言い訳にすらならないだろうが、洗脳によって我が子を人質に取られ、私は兎も角、前線を退いた妻たちまで強引に戦いへと連れ出された始末。その結果、ゴードン殿たちと戦わざるおえなかったのだ…申し訳ない」


 アーノルドは椅子に座ったまま、深く頭を下げた。13人の妻たちも同じように頭を下げる。


 ゴードンは全く気にするそぶりを見せず、心よくそれを許した。



 ローマ時代。時の皇帝であったネロの伯父に当たるカリギュラは、国民から愛される名君だったが、突如として、忌み嫌われる暴君へと変貌を遂げた。


 当時は、誰しもがなぜ?と不思議に思っていたことだろう。そうなった要因を求め、原因を探そうと答えは出ない。なぜならそれは、何かしらの、誰かしらの思惑があったわけではなく、ただただ、その存在に愛されただけなのだから。そう――月に愛されただけなのだ。要因も原因も勝因も敗因もなく、たった一言。その一言で説明できてしまう。


 不条理で理不尽で、気分屋の悪戯好きな月に愛された。月魔法とは、そんな月に愛された者だけが扱うことを許された禁忌の魔法である。


 ただ、カリギュラと明らかに違う点としては、カルパス王は生まれ(いで)たその瞬間から、月に愛されていた、という点だ。


「確定しているだけで2つ…だが、怪しい点は多々あるのだ。昨今、勇者を異世界より召喚した術もその疑いがある。魔法を発動したのは、勇者のパーティであったマホ殿なのだが、彼女に話を聞くと、事前に王より書物をいただいており、私はそれを読み解いただけ、と申すのだ」


 月は引力を持つ。我々(こちら)の世界では、海の満ち引きを起こす。地球と月の大きさ、惑星間距離の差があればこそ、この程度で収まっているが、皇女たちの世界の月は、皇女たちが住む星と同等か少し小さい程度であり、なおかつ、近い。


 そんな大きな月だ。海の満ち引きだけで被害が収まるはずはなく、不可思議な事象が起こってもさほど不思議ではない。更にここは、魔法のある世界。我々(こちら)の世界の常識が通用する場所ではない。

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