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化物皇女と勇者?と魔王?  作者: 北田シヲン
第2章 世界の始まり
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3話:騎士団総督 その1

「みな忙しいのに集まってもらって感謝する!えーとじゃな、色々ともろもろあって…ここ、敵にバレちゃった!」


「えええええええ!?」


 副団長の報告から1時間後。


 小さな島。

音魔法による島内放送が入り、大きな公園に全住民が集まっていた。


 皇女の突然のカミングアウトに、住民全員が驚きの声をあげる。


「皇女様、なにがあったんだよ!?」


 一人の住民が疑問を投げかける。


「い、色々じゃ!本当に申し訳ない!!こちらの不手際じゃ!!」


 皇女は副団長のことを一切、話さなかった。


「うーん。ま、しょうがないか…また新しい島でも見つけて住もうや」


「んだんだ!皇女様、気にしなくていいべ!」


「そうよ〜皇女様のおかげで今の暮らしがあるんだもの。また新しい島に行けるなんて、楽しみだわ」


「次はどんな冒険が待っているのかしら〜」


 批判的な意見が出るかと思いきや、蓋を開けてみれば、真逆の意見ばかり。

住民たちは満場一致で、皇女の話を受け入れた。


「すまぬ!!ありがとう、みんな!!んで、今後のことじゃが、新しい島には移らん。このまま、この島で生活することにする。すまんが、もう一度、ヴァールの中に戻ってはくれんか?この島ごと、丸呑みするから」


 その後の皇女の提案も二つ返事で了承。中にはこんな意見もあった。


「ヴァールちゃんの中の方が気候も安定してるし、お願いすれば雨も降らせてくれるから過ごしやすくていいのよね〜」


 ヴァールの中は意外と快適らしく、擬似的な太陽と月があり、朝昼晩があり、天候は外の世界と合わせられている。雨や曇りといった天候も変わる。


 ヴァールが天気を決めているため、空に向かって大声で要求すれば局地的に雨を降らせることも出来る。

住民たちは、外の世界と大差なく、いや、外の世界より便利なヴァールの中が少し恋しくなっていた。


 その後ーーー


「あぁーーーーんっ」


 島ごとヴァールが飲み込み、残ったのは、皇女とマクルスの夫婦とアルート兄妹、マルルとクルル姉妹、そして騎士団の面々だ。


 マクルスの土魔法で海の上にちょっとした陸地を作り、そこに総勢500人を超える大所帯が乗る。


 騎士団は、元々のバネルパーク騎士団と東の大国の騎士団、そして助けるために取り込んだ東の大国に組みする各国の騎士団が併合。


 各団の衝突を避けるため、団長は、それぞれの団長がそのまま務め、副団長と部隊長も同じく、そのままの形になった。

ただ、それだと各隊のまとめ役がおらず、内部分裂を防ぐのと指揮系統の明確化のため、騎士団長の上に新たな役職が出来た。


 それが、騎士団総督。

皇女であるマルファムルが務めることになった。


 なぜそうなったか?ーーー時は遡る。



「だ・か・ら!なんで私が貴方の傘下に入らないといけないの!?意味わかんないんですけど!!」


「ふん、何を今更言うておる。マクルスと私は結婚したんじゃぞ?貴様が配下に加わるのは至極当然のことだろう?違うか?・・・あ、まさか、この前のことまだ気にしてる?」


 皇女はニヤニヤと笑みを浮かべる。

この前のこととは、マクルスの陣営でパルムから宣戦布告してきたゲームのことである。

パルムはまだ、自分たちだけが無視されたことを気にしていた。


 西の大国との戦争が魔王の死という形で終わり、皇女たちは誰も知らない無人島に移住を始めていた。


 建築部隊が忙しそうに建物を建てていく傍らで、各国の騎士団が顔を合わせていた。

今度の方針を話し合い、各国の騎士団を併合し、新たな騎士団を作ることで決まったのだが、マクルスの妹であるパルムだけが納得していない様子だ。


「き、気にしてないわよ!それより!私は納得できないわ!!」


 完全にヘソを曲げたパルム。兄のアルートが割って入る。


「マルファムル様、私めから提案がございます」


「なんじゃ?言うてみ?」


「代表者を決める大会を開くのはどうでしょうか?舞台は・・・そうですね、そこの平原に石のタイルを敷き詰め、雰囲気を出すために少し装飾を施してみるというのはいかがでしょうか?」


 アルートはそう言いながら、近くの平原を指差す。


 皇女たちが引っ越してきた無人島は、土地が広大にあり、山や森だけではなく、平地も多い。

今、皇女たちが集まっている場所は、日々、騎士団の演習や訓練に使用されている平地だ。


 訓練の安全性を確保するため、整備されている。

大きな石や岩、木々は取り除かれ、水浴び用の小さな湖もある。


 建築エリアからも近く、大会を開く場所として、これほど、最適な場所は他になかった。


「ふむ、良い案だな。私は良いと思うが、マクルスはどうじゃ?」


「僕も良いと思、います。何より、頑張ってくれているみんなへの娯楽として良いかも、です。はい」


 夫婦になったばかりのマクルスは、どこかぎこちない。


「ふふっ、何をそんな緊張しておる!もう私らは夫婦だぞ?気楽に話すと良い」


「は、はは・・・分かってはいるのですが、マルファムル様が僕の妻になってくれたことが今でも信じられなくて」


「目の前にいるのにか?ははっ!おかしな奴じゃ!」


 他の人をほったらかしにする夫婦のみに許された談笑。


「ちょっとそこ!いちゃいちゃしない!」


 唯一、パルムだけがそれにツッコミを入れた。

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