表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
化物皇女と勇者?と魔王?  作者: 北田シヲン
第2章 世界の始まり
38/57

2話:平和の崩壊

「っ、団長。貴方の無念は、私が晴らします…」


 カーテンで締め切った部屋の中、1人、女がいた。瞳に涙を浮かべながら。


 女は、部屋を出る。

街のメインストリートを通り、最近作られた騎士団本部へと入っていく。


「皆のもの!副団長に!敬礼!!」


 女が入るのを見かけるやいなや、待ち構えていた兵士たちが、号令のもと、敬礼を行う。

数十人の兵士が、一糸乱れぬ動きを見せる。


「みんな、おはよう。今日も1日、街の平和を守っていこう」


「「「はっ!」」」


「敬礼やめっ!各自、仕事にかかれ!」


 女、もとい副団長の指示を受け、騎士たちは仕事を始める。

その様子を確認し、副団長は、自分の部屋へと移動する。


 部屋まで続く廊下を歩いていると、後ろから追いついてくる者がいた。


「おっはよ♪だいぶ様になってんじゃない?団長への昇格も間近かな?♪」


「もぉ、やめてよ。いつも気を張って疲れるんだから」


 副団長と親しく話す女。

同じ方向へ話しながら歩いて行く。


「おはようございます!副団長殿!二番隊隊長殿!」


「おはよう」「おっはよ♪」


 廊下ですれ違った兵士と挨拶を交わす。


 バネルパーク皇国時代からあった騎士団は、大きく分けて6つの隊に分かれている。

その中でも二番隊は、実力の高い者が多く、攻め込んできた諸外国との戦闘が最も多い隊だった。


 そこで隊長を務めているこの女は、並々ならぬ実力を持っていた。

剣の実力だけであれば、騎士団長と同様かそれ以上だろう。


 ただ、彼女は、性格に難があり、一度、戦闘が始まれば、最前線を突っ走る戦闘狂へと変貌する。


 普段のへらへらとした陽気な性格と戦闘中の真反対の性格が、騎士たちの間で人気を博し、本人には内緒だが、ファンクラブまであるほどだ。


 その女と副団長は、幼なじみ。

小さい頃からともに修行し、過ごしてきた。いわば、旧知の仲である。


「んじゃ!ここらでばいなら〜♪」


「あんまり部下の子たちをいじめちゃだめよ?」


「いじめじゃないもーん!稽古だもーん!」


 軽く手をあげ、副団長は1人で歩き出す。


「………あの子には言ってもよかったかな」


 副団長は呟く。

通路を抜け、城の大広間に出る。太陽が眩しく照らす。


「おう!副団長ではないか!元気にしておったか!?」


「ーーーえ?は?あの…な、なんで、団長がこここ、ここに?亡くなられたはずじゃ」


 副団長の目の前に、死んだはずの団長が現れた。

あの日、首を喰われ、血を噴き出していた団長が、今、目の前にいる。


 副団長の目から涙がこぼれ落ちる。

それと同時に、激しい罪悪感にかられる。


 タイミングが悪かった。もう少し早く団長にあっていれば…

この時すでに、全てが終わった後だった。



 副団長は走っていた。全速力で走っていた。


「はぁはぁはぁ!!まずいまずいまずい!!!」


 自分の早とちりで、取り返しがつかない状況に変わっていく焦燥感。刻一刻と状況が変わっていると思い込む焦り。


 副団長は、部屋の前にたどり着いた。

固唾を飲み、ドアをノックする。


「し、失礼いたします!皇女様!面会を求めますっ!!」


「良い。入れ」


 静かだが凛とする声が帰ってくる。部屋の扉を開け、中に入る。背筋から冷たい汗が流れ落ちる。


「どうした?そんな青冷めた顔をして」


 皇女は、椅子に腰掛け、読んでいた書類から目を離し、部屋に入ってきた副団長へ気さくに話しかける。


「あ、あの!先程、中庭にて団長にお会いしたのですが」


「おぉ!よかったよかった!お前、団長のこと好きだったろ?今日、というか、いまさっき、修復が終わったところでな?首元からバクっといっちまったせいで、神経の繋がりがなかなか悪くて時間がかかってしまった。すまんかったな」


 副団長の言葉に食い入るように皇女が返す。


「余計なお世話かもしれんが、そろそろ想いを伝えてみるのもいいんじゃないか?あ、すまんすまん。こちらばかり話をして。それで?話とはなんだ?」


 副団長の胃がキリキリと痛む。自分の浅はかな行動を激しく後悔する。

だが、言わなければ状況は悪くなる一向。


副団長は意を決し、


「大変申し訳ございません!!団長が死んでしまったと思い込み、皇女様へ復讐するため、西の大国にここの情報を流してしまいました!!」


両膝を床につけ、大粒の涙を流しながら、報告した。


「…」


沈黙ーーーそして、


「はぁぁぁぁぁ!?!?!?」


皇女の怒号が、城中に響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ