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化物皇女と勇者?と魔王?  作者: 北田シヲン
第1章 勇者の旅
26/57

26話:魔王と勇者⑥

今日は二話投稿でした、ありがとうございました。

「貴様、無駄死にじゃぞ?それ」


 中庭から会議室へと移動し、各々、情報交換を行い、話は今度の方針へと移る。マクルスが一人で戦うことを伝えると、開口一番、皇女が発した言葉がそれだった。


「貴方!!マクルス様に向かって何それ!?ありえないんだけどっ!!どんな覚悟で!マクルス様が一人で行くと!言ってるのか!わかんないの!?」


「アホか、貴様。そんなことぐらいわかっておるわ」


「はぁ!?アホってなによ!アホって!私だって、マクルス様を止めたいけど、その覚悟を汲んで…ほんっとなんなのよ!貴方は!」


「どうどう。落ち着きたまえ、妹よ」


「怒ったと思えば、悲しんで、また怒ってと、忙しいやつじゃの」


 怒り、のたうち回るパルムを、兄であるアルートが抑える形で、話は続く。


「あの、それで、無駄死にというのは、なぜなんでしょうか?」


「うむ…わたしは今、勇者たちと一緒に行動しとるんじゃが、彼奴ら、何かに侵されておるようでの。恐らくじゃが、魔王にされた其方を殺そうと、止まらん。東の大国に組する国を、全てを殺すまでのぉ」


 淡々と話す皇女だが、その内容は深く、重い。勿論、衝撃の事実も含まれていた。


「す、すみません。後の内容ではなく、最初から気になったのですが、マルファムル様は、勇者の仲間なのですか?」


 至極当然の質問だ。今、アセナ狼国にとって、勇者は魔王の手先。敵である。その仲間である皇女が、スパイではないと、操られていないと、なぜ言い切れる。


「厳密には仲間ではない。わたしの目的のために都合が良かったのでな、ともに行動しておるのじゃ」


「そ、その目的をお聞きしても、宜しいでしょうか?」


 一国の王が、失礼のないように言葉を選びながら、話す。


「別に構わん。その目的はの、夫を見つけることじゃ。わたしの一族 ファン家は代々、自分の国を作ることが目的でのぉ。バネルパークが無くなった今、新しい国を作るためには、繁殖力の強い男が必要というわけじゃ」


「な、なるほど…それだったら僕にも可能性が…?」


「なんじゃ、ボソボソと話すな」


「す、すいません!」


 皇女とマクルスの会話を聞きながら、今にも飛び出していきそうな妹を必死に抑える兄。皇女への会話は、全て、王に任せることにし、アルートは邪魔しないよう、抑えることに専念する。


「では、マルファムル様は夫探しの最中に勇者たちと出会い、行動を共にしている内に、今回の戦争に巻き込まれた、そういうことですね?」


「うむ、理解力があって助かる。まさにその通りじゃ!して、こちらからも質問じゃ。其方、リュース国のクルルとマルルを知っておるか?」


「は、はい、勿論です!血は繋がっておりませんが、僕にとっては、大事な妹です…しかし、リュース国はもう…」


 予想外の質問だったが、今思うと当然。リュース国を攻め込んだ勇者の一行の中に、皇女もいたのだから。宮廷魔道士であるクルルとマルルは、最後まで国のために戦い、死んだのだと、覚悟していた。


「そうか、なら話が早くて助かる。2人とも、出てこい」


 そう言うと、マクルスたちの死角から双子の姉妹が、突如として現れた。


「「あ!マクルスお兄ちゃんだ!わーい!」」


 姉妹は、目の前にいたマクルスの胸元へと元気に飛び込んでいく。


「クルル、マルル…!よかった、本当に…」


 瞳を潤ませながら、飛び込んできた姉妹を優しく抱きしめる。知らない人が見れば、兄妹が感動の再会をしたのだと、勘違いすることだろう。


「これで、わたしの疑いも晴れたかのぉ?」


 ニヤリと笑みをこぼし、マクルスたちが疑っていたことに終止符を打つ。


「やはり、バレていましたか…」


 敵わないな。そう思ったマクルスは、合図を送る。もしもの時のため、会議室の周りに忍ばせていた従者たちへと。


「ご無礼をお許しください」


「其方は王だ。国を守る責務がある。だから、少しでも危害を加える可能性があるのなら、疑うべきじゃ。其方の行動は正しい、良い判断じゃな」


「も、もったいなきお言葉、感謝いたします」


 双子を抱きしめながら、感謝の言葉を返す。マクルスの腕の中できゃっきゃっとはしゃぐ双子が、自慢げに話し始める。


「お兄ちゃんお兄ちゃん、この方は凄いんだよっ!くるとまるが二人で挑んだのに、あっという間に負けちゃったの!」


「それは凄いね。でも僕も知ってるよ、マルファムル様が凄い人なのは。ちなみに、インティグル竜国を丸呑みしたのも、このお方だよ」


「えー!?凄い!!本当に凄いんだね!流石はお姉様!」


 クルルとマルルは、皇女の血縁者だけあって、洗脳などの心を乱す魔法は効かない。それは周知の事実であり、姉妹が無事でいること自体が、皇女が操られていないことを示していた。


 クルルとマルルは、特別だ。

歴代皇女から生まれた子どもたちは、何かしら抜きん出た才能を持っているが、この姉妹は、その中でも特に秀でている。


・歴代の子どもたちで、初めての双子

・クルルは光と氷、マルルは風と火

・生まれながら心が繋がっており、常に心魔法がかかっている状態

・二人が手を繋ぎ合うことで、もう一つ、土属性魔法を使うことが可能になる


 特別で特殊で唯一で、後は経験を積めば、皇女を超える存在になることだろう。



「それで、じゃ!わたしにとっておきの作戦があるんじゃが、聞くかの?」


 皇女は、またも笑みをこぼす。先ほどとは比べ物にならないほど、楽しそうな笑顔を。まるで、馬鹿な大人を騙す無邪気な子どものように。

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