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化物皇女と勇者?と魔王?  作者: 北田シヲン
第1章 勇者の旅
25/57

25話:勇者と魔王⑤

今日はもう1話投稿しようと思います!出来れば、ですけど…

「王様。リュース国が、陥落しました。奴ら、本格的に仕掛けてきた模様です」


「そっか。僕たちも本気で対応するしかなさそうだね。みんな、力を貸してくれるかい?」


「「「御意」」」


 東の大国、名をアセナ狼国。

古の三柱が一柱 (りょう)(おさ)めの狼『アセナ』が現界した地として有名で、そこから名前を拝借している。


 アセナ狼国に住む人々はアセナの血を引いているとされており、その証拠として、頭上に獣耳(けもみみ)が生えている。

人間の、普通の人と変わらない耳もあり、獣耳(けもみみ)と合わせて、4つある。マクルスたちがベレー帽を被っているのは、それを隠すためだ。



 時は少し進み、アセナ狼国中央都市では、西の大国とは違う本格的な作戦会議が開かれていた。立場関係なく、各々が自分の意見を言い合い、セッションすることで、より良い作戦を立てていく。最も効率が良く、豊富なアイディアが生まれるやり方だ。


 部下の意見を抑圧し、否定する古典的な思考ではなく、部下には自分が持ち得ない考え方があるかもしれないと、柔軟に捉える。簡単そうでなかなか出来ないことだが。


 人は、立場が上がるに連れ、責任がのしかかってくる。自分の発言一つで部下をチームをグループを動かすわけだから。ただ、責任と同時に、人を動かす快感を覚え出す。自分が言った通りに動いてくれるという優越感に溺れる。そして、いつの間にか、自分こそが正しい、という固定概念に囚われるようになり、自分より下の立場にいる人間の言葉を、聞けなくなっていく。


 アセナ狼国先代の王が、まさにそれだった。幼い頃からその様子を見てきたマクルスは、国を導く存在がこれじゃ駄目だと感じ、自分が王位についてすぐ、抜本的な改革を行っていった。


「うん、みんなありがとう。

様々な意見が出た。その中で最も多かったのが迎え撃つこと。僕もそれには賛成だ。同盟国が惨殺されたんだから、黙っていられるはずがない…!

ただ、全員で攻め込めば多数の被害が出ることも考えないとダメだ。だから、僕は一人で勇者たちに挑もうと思う。犠牲は僕だけで十分だ。狙いは魔王だけだからね」


「なっ!?王様!考え直し下さい!貴方がいなければ、誰がこの国を回すと言うのですか!?」


「大丈夫だよ、アルート。後任は、もう決めてるから―――パルム、頼めるかい?」


「わ、私ですか!?」


 マクルスからの突然の任命に、驚きの色を隠せないパルム。この女性、何を隠そう彷徨いの森で皇女に宣戦布告した、あの女である。


「な、なんで私!?後任であれば、お兄様の方が!いやそれよりも、マクルス様がいなくなるなんて…!」


「パルムを選んだ理由は、とてもシンプル。君が、国民みんなから愛されてるからだよ」


 マクルスは言葉を続ける。


「王とは、国民に、みんなに好かれる人でなければならない、と僕は思う。君は、その点に関してはピカイチだ。そのどこか憎めないツンデレ妹キャラとか特にね。――知ってる?君、ファンクラブがあるんだよ?もちろん、僕も入団してる」


「え、ちょっと待って…国民みんなに愛されてるってことは、マクルス様にも愛されてるわけで、更に更に、ファンクラブにも入ってるってことは、これってもしかして…!?」


 なにかボソボソと呟きながら、ある答えに行き着いた。


「私今、愛の告白をされてるの!?」


「いや、全然違うだろ」


 頓珍漢の答えに、冷静にツッコミを入れるアルート。


「アルート。国のことに関しては、君の方がよく知ってる。パルムと一緒に、兄妹仲良く、よろしく頼むよ。君たちにだったら、国を任せてもいいって、真剣に思ってるから」


 マクルスの目に嘘も迷いもない。真っ直ぐな瞳で、二人を捉える。


 二人は頷くしかなかった。王は頑固だ。一度心に決めたことは、絶対に曲げない。例え、肉親が死のうとも、その決意は変わらない。


そんな時だった―――


「緊急事態発生!!上空より高魔力反応、接近中!!」


従者の一人が、声を荒げながら報告を行う。


「ま、まさか攻めてきたの!?まだリュース国にいるはずじゃ!?」


「各位、戦闘体制へ移行!王様、ここは私たちにお任せを」


「いや、僕も前に出るよ。それに、この魔力反応…」


 その場にいる全員が、即座に臨戦態勢へと移行。戦争勃発中のため、常に装備を整えていたのが、功を成した。


「高魔力反応、なおも接近中!対象、中庭に来ます!!」


「魔法準備、構えっ!」


 アルートの統率された指示。迷いのない的確な言葉を聞き、従者たちもそれに迷わず従う。


中庭を取り囲むように、配置が完了した。


「はぁーやっと着いたかのぉ。ここが、東の大国 アセナ狼国の中枢じゃの?」


 空から降り注ぐ声。聞き覚えのある声。

鈴の音、とまではいかないが、凛とした芯のある、ハスキーな声が中庭に響く。


 それは、ふわりと、静かに、中庭へと降り立った。半月から降り注ぐ月光が、軽やかになびく髪を煌めかせる。

今その場所に、上空より天女が舞い降りた――そう錯覚させるほどに、美しかった。


 中庭に集まっていた従者たちが、見惚れている中、最初に気付いたのは、マクルス。


「マ、マルファムル様!?どうしてここに!?」


 頻繁に会っているわけではないが、惚れた女性の顔を見間違うはずがない。マクルスは、アルート、パルムの側を離れ、降り立った皇女へと近付いていく。


「また会ったの、マクルスとやら。ここは、其方の国でよかったか?」


「は、はい!合ってます!ここは、アセナ狼国中央都市でございます!こんな状況ですが、ようこそおいでくださいました!」


「うむうむ、ならばよかった。して、挨拶はここらにして、本題に入ろう。

そちらの戦局はどうじゃ?情報交換といこうではないか」

【作者からのお願い】

「面白い!」「楽しい!」「早く続きを読みたい」「ま、多少は楽しめたし応援してやるか」なんて思っていただけたのなら、広告下にある【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、執筆の励みになります!序でに、ブックマークしてもらえたら嬉しいです!

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