25話:勇者と魔王⑤
今日はもう1話投稿しようと思います!出来れば、ですけど…
「王様。リュース国が、陥落しました。奴ら、本格的に仕掛けてきた模様です」
「そっか。僕たちも本気で対応するしかなさそうだね。みんな、力を貸してくれるかい?」
「「「御意」」」
東の大国、名をアセナ狼国。
古の三柱が一柱 領治めの狼『アセナ』が現界した地として有名で、そこから名前を拝借している。
アセナ狼国に住む人々はアセナの血を引いているとされており、その証拠として、頭上に獣耳が生えている。
人間の、普通の人と変わらない耳もあり、獣耳と合わせて、4つある。マクルスたちがベレー帽を被っているのは、それを隠すためだ。
時は少し進み、アセナ狼国中央都市では、西の大国とは違う本格的な作戦会議が開かれていた。立場関係なく、各々が自分の意見を言い合い、セッションすることで、より良い作戦を立てていく。最も効率が良く、豊富なアイディアが生まれるやり方だ。
部下の意見を抑圧し、否定する古典的な思考ではなく、部下には自分が持ち得ない考え方があるかもしれないと、柔軟に捉える。簡単そうでなかなか出来ないことだが。
人は、立場が上がるに連れ、責任がのしかかってくる。自分の発言一つで部下をチームをグループを動かすわけだから。ただ、責任と同時に、人を動かす快感を覚え出す。自分が言った通りに動いてくれるという優越感に溺れる。そして、いつの間にか、自分こそが正しい、という固定概念に囚われるようになり、自分より下の立場にいる人間の言葉を、聞けなくなっていく。
アセナ狼国先代の王が、まさにそれだった。幼い頃からその様子を見てきたマクルスは、国を導く存在がこれじゃ駄目だと感じ、自分が王位についてすぐ、抜本的な改革を行っていった。
「うん、みんなありがとう。
様々な意見が出た。その中で最も多かったのが迎え撃つこと。僕もそれには賛成だ。同盟国が惨殺されたんだから、黙っていられるはずがない…!
ただ、全員で攻め込めば多数の被害が出ることも考えないとダメだ。だから、僕は一人で勇者たちに挑もうと思う。犠牲は僕だけで十分だ。狙いは魔王だけだからね」
「なっ!?王様!考え直し下さい!貴方がいなければ、誰がこの国を回すと言うのですか!?」
「大丈夫だよ、アルート。後任は、もう決めてるから―――パルム、頼めるかい?」
「わ、私ですか!?」
マクルスからの突然の任命に、驚きの色を隠せないパルム。この女性、何を隠そう彷徨いの森で皇女に宣戦布告した、あの女である。
「な、なんで私!?後任であれば、お兄様の方が!いやそれよりも、マクルス様がいなくなるなんて…!」
「パルムを選んだ理由は、とてもシンプル。君が、国民みんなから愛されてるからだよ」
マクルスは言葉を続ける。
「王とは、国民に、みんなに好かれる人でなければならない、と僕は思う。君は、その点に関してはピカイチだ。そのどこか憎めないツンデレ妹キャラとか特にね。――知ってる?君、ファンクラブがあるんだよ?もちろん、僕も入団してる」
「え、ちょっと待って…国民みんなに愛されてるってことは、マクルス様にも愛されてるわけで、更に更に、ファンクラブにも入ってるってことは、これってもしかして…!?」
なにかボソボソと呟きながら、ある答えに行き着いた。
「私今、愛の告白をされてるの!?」
「いや、全然違うだろ」
頓珍漢の答えに、冷静にツッコミを入れるアルート。
「アルート。国のことに関しては、君の方がよく知ってる。パルムと一緒に、兄妹仲良く、よろしく頼むよ。君たちにだったら、国を任せてもいいって、真剣に思ってるから」
マクルスの目に嘘も迷いもない。真っ直ぐな瞳で、二人を捉える。
二人は頷くしかなかった。王は頑固だ。一度心に決めたことは、絶対に曲げない。例え、肉親が死のうとも、その決意は変わらない。
そんな時だった―――
「緊急事態発生!!上空より高魔力反応、接近中!!」
従者の一人が、声を荒げながら報告を行う。
「ま、まさか攻めてきたの!?まだリュース国にいるはずじゃ!?」
「各位、戦闘体制へ移行!王様、ここは私たちにお任せを」
「いや、僕も前に出るよ。それに、この魔力反応…」
その場にいる全員が、即座に臨戦態勢へと移行。戦争勃発中のため、常に装備を整えていたのが、功を成した。
「高魔力反応、なおも接近中!対象、中庭に来ます!!」
「魔法準備、構えっ!」
アルートの統率された指示。迷いのない的確な言葉を聞き、従者たちもそれに迷わず従う。
中庭を取り囲むように、配置が完了した。
「はぁーやっと着いたかのぉ。ここが、東の大国 アセナ狼国の中枢じゃの?」
空から降り注ぐ声。聞き覚えのある声。
鈴の音、とまではいかないが、凛とした芯のある、ハスキーな声が中庭に響く。
それは、ふわりと、静かに、中庭へと降り立った。半月から降り注ぐ月光が、軽やかになびく髪を煌めかせる。
今その場所に、上空より天女が舞い降りた――そう錯覚させるほどに、美しかった。
中庭に集まっていた従者たちが、見惚れている中、最初に気付いたのは、マクルス。
「マ、マルファムル様!?どうしてここに!?」
頻繁に会っているわけではないが、惚れた女性の顔を見間違うはずがない。マクルスは、アルート、パルムの側を離れ、降り立った皇女へと近付いていく。
「また会ったの、マクルスとやら。ここは、其方の国でよかったか?」
「は、はい!合ってます!ここは、アセナ狼国中央都市でございます!こんな状況ですが、ようこそおいでくださいました!」
「うむうむ、ならばよかった。して、挨拶はここらにして、本題に入ろう。
そちらの戦局はどうじゃ?情報交換といこうではないか」
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