17話:癒輝の鎧①
一章終わりまでの話はあらかた思いついているのに、書き進めている内に、新しい事を思いついて追加して、それを繰り返していると、全然話が終わらない…終わる終わる詐欺のような気もしてきましたが、気長に楽しんで頂けると幸いです、はい。
一行は、王都ガルステンに帰ってきた。
着くやいなや、軽口のソウマが大きな声で、
「あー疲れたじゃーん、ちょっと休憩し―――」
「黙れ、ソウマ。まだ朝だ。早急に王様のところに行くぞ。それとも、貴様のような貧弱者は、休まないと行動できないのか?」
休憩を促そうとするのを、マコトがバッサリと断ち切った。
「はぁー!?出来ますけどぉー!?みんなのことを思って、ちょーっと休もうとしただけですけどぉー!?」
「ふっ、貴様が休みたかっただけだろ。それを他の者に擦りつけるな、かっこ悪い」
「あぁん!?お前、喧嘩売ってんのかぁ!?」
「はっ!自分より低級な者に喧嘩など売らんよ。喧嘩は同格だからこそ、成り立つものだ」
マコトは朝が弱いため、機嫌が悪くなることが多く、よくソウマと言い争いになる。
普段の紳士な状態とは違い、いつも以上に辛辣な言葉で、相手を糾弾する。
「はぁ!?マコト、てめ、まじで―――はぁ!?」
何も言い返せないソウマは、ただただ、声を張り上げるしかない。
「あぁもう!朝から喧嘩すんなって!ほら、離れろ離れろ!ソウマは、勇人の方に!マコトは、ファムさんの方に!はい!喧嘩終わり終わり!」
見かねたマホが仲介役として間を取り持ち、その場を収める。
本当に、いつも通りの光景だ。
「(こやつら、毎朝毎朝、よく飽きずに言い合いできるのぉ。本当は仲良いのでは?)」
なんて、皇女が思ってしまうほど、毎朝の恒例行事となっていた。
その時、勇人は何をしているかというと、欠伸をしながら、ボケーっとしているのであった。
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「ご無事に戻られたようで、何よりです。どうでしたか?今回の旅は。前と比べると近場ではありましたが」
赤と金の主張強めの王様が、片膝をつく勇者一行に声をかける。
「うん、今回も無事にゲット出来ました。これが、煌の盾、です」
「おぉ…!なんと煌びやかで、美しいのでしょう!これほどまでに綺麗な盾を、見たことがありません!まさしく、その名に相応しい!」
前回同様、目を輝かせる王様。
勇人が掲げている盾をまじまじと見つめ、時に触れながら、喜びを露わにした。
「しかし、これほどまでに崇高な盾を手に入れるのには、相当厳しい試練があったのでは…?」
「うん、今回のは凄いキツかった。一人だと勝てなかったけど、みんながいたから、勝つことができ、ました」
「そうですか…勇者のパーティとして、申し分ない実力となったわけですね。それはとても喜ばしいことです!
そんな皆さまに、お渡ししたいものがあります―――ここへ!」
「はっ!」
近くにいる側近へ指示を飛ばすと、部屋の奥から、人数分の鞄を持った側近たちが現れ、それぞれの前に一つずつ置いていく。
6泊7日の旅行に行く時、衣服や他の持ち物を全て入れても余裕があるぐらいの大きな鞄だった。
「皆さまへのほんのささやかなの報酬です。好きにお使いください」
食らいつくように開けたソウマが、その鞄の中を見て、びっくり仰天。
腰を抜かしたようで、その場に尻餅をついた。
「んなぁ!?こ、こんな大金見たことねぇ!!!」
中には、大量の金貨が入っていた。
それも、鞄がパンパンになる程、大量に。
「武器や防具などの装備に使ってもよし、美味しいご飯を食べてもよし、と何でもご自由にお使いください!」
王様からの太っ腹な報酬に、皇女を除く全員が喜びを露わにしていた。
勿論、皇女も建前上は喜んでいたが。
「だがしかし、すぐに街へ行って使いたいとは思いますが、その前に、次の試練のことをお話しします。
宮廷魔導士ラーサ・ボトム、ここへ」
「はいはい、ちょっと待ってくださいね〜」
いつも呼ばれるなら近くにいればいいのに、と誰もが思ってはいるだろうが、王の間での宮廷魔導士の並び順は明確に決まっていた。
序列や王を守るための配置、実績など諸々込みで。
「――見えました。次は、身につけた者の傷を瞬時に癒し、死すらも克服せし絶対の守護者、その名を、癒輝の鎧。
場所は、ここより遥か南東の地。今は無き、バネルパーク皇国と東の大国の間に位置する、仏閣の中でございます。詳細につきましては、これまで同様、地図を…うっ、今日は体調が良かったので大丈夫かと思ったのですけど…」
「ありがとう、ラーサ。いつも無理させてすまないね。部屋で休むといい」
「いつもすいませんね、王様。しかし今日は、地図まで書き上げお渡しいたします。最後ですから、頑張らないと」
ラーサは、こふこふと咳をしながらも、素早く地図を書き上げた。
祖母を心配するマホが、いの一番に駆けつけ、地図を受け取った。
「マホ、これが最後の試験だよ。人類の敵である魔王を倒すために、勇者さまの装備を完璧に整えるんだ。わかったね?」
「はい!おばばさま!」
両者ともにニッコリと微笑み、勇者一行は、その場を後にした。
@@@
「おいおいおいおい、この金どう使うよ!?」
背負った鞄を指で指しながら、呑気にはしゃぐソウマ。
「うーん…とりあえず、必要なアイテムを買って、残った分は―――」
「お姉ちゃんとこに遊びに行こうぜ!勇人!」
「うん、そうしようか…!ってことなので、各自、今日は好きなように過ごそう」
「ぼくもその意見に賛成だ。ラーサ殿も仰っていたが、今回が最後の試験だ。ならば、魔王との決戦も近い。今は、英気を養おう」
「おっ!たまには意見が合うじゃんかよ!マコトも!」
「貴様のような性欲の塊と一緒にされても困るが、今回は反論しないでおくよ」
「はっ!可愛くねぇな!」
「端から可愛さなど求めていない」
「けっ!じゃー解散解散!また明日の朝、家のリビングで落ち合おうぜ!」
こうして、勇人・ソウマは二人で街の中へと消えていき、女子3人だけがその場に残された。
「やっぱり勇人も、そういうの好きなんだなぁーあーぁ!」
「男はみんな性欲の塊だから。だけど、お金を払ってするよりも、本当に好きな人とする方が満足すると思うな。愛のないセックスは虚しいだけだから」
「なんだか、マコトが言うと凄い説得感」
「うんうん、マコトさんの言う通りです!わたしも愛のないそれを経験したことあるのでわかります。終わった後、虚しさしか残りません…!
そこに愛があるというだけで、ただの行為から愛を深める行為に変わっていくのだと思います!」
「うぅ、ファムさんの言うことも凄い説得感…!2人からのダブルパンチで、うちはもうグロッキー寸前だぜ…」
「よし、じゃーマホを元気付けるために、行こうか!ファムくん!」
「ええ、マコトさん!」
2人は、落ち込んでいるマホの腕を両方から支え上げ、連行するように動き出す。
「え、ちょっと待って!どこ連れてくんだよぉ!おーい!!!」
抵抗を見せるマホだったが、前線で戦っている2人の筋力から、逃れることは出来なかった。
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