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化物皇女と勇者?と魔王?  作者: 北田シヲン
第1章 勇者の旅
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13話:煌の盾①

!盆休み企画 第三弾!

一章を終わらせて、早く二章に…でもまだ終わらない

「よくぞおいで下さいました、勇者さま」


「久しぶりだな、勇者ご一行」


「「宝剣に引き続き、おうの盾を預かりし妖精でございます」」


 宝剣の時と寸分違わず、全く同じ祭壇で、テルム、ムルテが待っていた。


「先に言っておく。今回も勇者ご一行にあまり時間は与えられていない。だが、試験の内容だけは、説明してやる」


「今回は、パーティ戦です。勇者さまだけではなく、皆さま全員で祭壇へお上がりください」


「勇者ご一行の連携が試される。上手く連携しなければ絶対に勝てない相手を今回は用意した」


「「準備が完了いたしましたら、祭壇へどうぞ」」


 ぺこりとお辞儀。双子のように完璧にシンクロした動き。


 勇人たちは、祭壇の横に用意されていたソファーに座り、連携力を高めるために、それぞれの能力について、話し始めた。


「ではまず、ぼくから話そう。魔法は、氷と光。相手を凍らせ、動きを妨害したり、目の前で強烈な光を起こし、一時的に視界を奪うことに使用している。

そして、武器は見ての通りだが、大楯とこの短剣さ」


 自身の身長の2/3サイズの大楯の内側を、みんなに見せるように動かす。

そこには、複数の短剣が取り付けられていた。


「全部で6本ある。ぼくの役目は、前線での防衛とサポートだからね。短剣には、麻痺を起こす神経毒と細胞やDNAを破壊する細胞毒、血液に作用し激しい痛みや吐き気をもたらす血液毒が、2本ずつ塗られていて、相手の行動を阻害するのが目的だ。無論、不測の事態に備え、片刃刀も持っているが、それを使う事態にならないことを願うよ」


 初めてパーティ戦をする皇女に対し、詳細に説明してくれているのかと思いきや、他のメンバーも、驚いた顔をしている。

どうやら、他のメンバーも、全員でパーティを組むのは初めてのようだった。


「じゃー次はうちが」


「すまねぇ、マホ、先に話させてくんねぇ?」


「う、うん、別にいいぜ」


「サンキューな!じゃー次はオレの番だ!」


 マコトの説明が終わり、次にマホが話そうとしていたのを、ソウマが割り込む形で、話しを始める。


「オレの魔法は、風と火!いやーこれがオレのスタイルに合っててさ〜。少し離れたとこから風でスパスパっと相手を切ったり、矢の周りに風を纏わせていつもより遠い距離から撃てるようにしたり、槍の先端に火を付けて回せばちょーかっけぇんだよ!

って違う違う!オレが言いたいのは、中距離なら俺に任せろってことじゃんよぉ!

ってことで、この弓矢と槍で前線を支援すっからよろしくな!」


 終始、軽口で調子に乗った話し方をするソウマに、イライラした様子のマコト。

この二人は、いつもながら、本当に仲が悪い。


 ソウマの話しが終わり、割り込まれたマホが、自身の特殊な体質をさらっと加えながら、話し始める。


「じゃ次は、うちな!ちょっと特殊なんだけど、魔法は全部で11種類使える!時と原と月の魔法以外は使えて、遠距離からガンガン魔法使って、相手の体力をガツガツ削っていくのがうちのスタイルや!近距離で戦うのは得意じゃないから、みんな、サポートよろしくな!マコトみたいに、色々考えて、ほかの人をサポートするのは難しくて向いてないけど、攻撃は任せとけい!うちの魔法で全部ぶっ飛ばしてやんよぉ!!」


「とても心強いな。前から2種類以上の魔法が使えるのは分かっていたが、まさか、11種類もの魔法が使えるとは…凄いな、マホは」


「そんなことないって!たまたま2種類以上覚えられただけだから!」


「いや、2種類以上覚えている人など、ぼくは会ったことがない。それだけでも凄いことさ。勿論、それだけじゃなく、君が努力しているのも知っている―――そうか…ソウマ、貴様、マホの後だと自分が惨めに感じると思い、割り込んででも先に、」


「わぁわぁわぁー!!マホの話は終わったし、早く次行こうぜ!ファムちゃん!次よろしく!!」


 無理やりマコトの追求を逃れたソウマから、皇女へと話が振られる。


「では、わたしの話を。魔法は、音と原属性魔法です。『パンッ』と手を叩けば、このように、武器が現れます」


 皇女が両手を叩き合わせると、周囲に極彩色の原子たちが集まり、マチェットに似た湾曲刀が現れた。


「女の子が?って思われるのが嫌で、今まで言ってきませんでしたが、わたし、相手の近くで戦うのが得意なんです…マホさん風に言いますと、ガンガン前に出て戦うのが…」


「かっこいいと思うよ、前線で戦う女の人って。

昔から憧れてたんだ…敵に囲まれた時、背中合わせで戦うの。もし、そんな場面が来たら、一緒に戦ってくれる?」


「は、はい!わたしでよろしければ」


「うん、よかった。ありがとう、ファムちゃん」


 勇人の天然な回答に、少し驚きながらも、皇女は話を続ける。


「ちなみに、原属性魔法は、武器特化型の創造魔法でして、武器以外の物は作れませんし、無意識化でそうなっているのか、基本的にはわたしにしか合わないようになっていますので、ご注意ください」


 取扱説明書に書かれている注意書きのように、言葉を付け足し、説明を終える。


 本当は12種類の魔法が使え、マホより多いわけだが、それは決して言わない。

変に怪しまれるのも面倒くさいし、原属性魔法さえ使えれば、大抵の事態には対応できる自信が、皇女にはあった。


 4人が魔法と戦い方のスタイルを話し終わると、最後に勇人が口を開いた。


「まさか、ファムちゃんが俺と同じ、原属性の魔法使いだったなんてね」


 そう言うと、長机の上に置かれていたコッパの中へ、躊躇なく、指を突っ込んだ。

その後、指をコップから抜くと、不思議なことに、コップの中にあったはずの水が、ぷるんぷるんのゼリー状となり、指に張り付いていた。

だが、それだけでは終わらなかった。ゼリー状の水は、勇人の指から独りでに離れ、宙に浮き始める。


「俺の場合は、水性特化型の統制魔法だけどね。みんな、ちょっと見てて」


 勇人は、浮かせた水を動かし、様々な形を作り始める。

剣や槍、斧などの武器。

熊や魚、犬や猫などのこちらの世界には存在しない生き物(似たような姿形の生き物は、こちらの世界にも存在する)。

ガルステン城や自分たちの住まい。


 大小を問わず、緻密なモノまで作り上げる。

だが、これだけでは、ただ水を操っているだけ。原属性魔法と名乗るには、あまりお粗末な代物だ。


「ここまでは一つのパフォーマンス。ここからが本番…!」


 そう言うと、王都ガルステンの街並みを作り出した。見ただけで、コップから出た水の量だけでは、絶対に足りないことが分かる。


 王都ガルステンの中央には、街の人々の憩いの場として、大きな公園がある。

更に、公園の中央には大理石に似た石材で作られた噴水があり、時間に合わせて、噴水ショーが行われている。

盛大で美しく、規則正しい水の動きが、見るものを圧倒する。


 勇人は、それをやって見せた。

サイズは実際の王都よりだいぶ小さく、ミニチュアサイズだったが、その作りは本物と寸分違わず、初めて見る皇女だけでなく、見たことのある3人も、その迫力に圧倒された。


「まだまだ。よいっーーしょ!」


 水で作られた王都ガルステンを下から持ち上げ、勢いよく上へと飛ばす。

すると、あら不思議。上から雪が降り始めた。

王都ガルステンに使用していた水が、一瞬にして、氷に変わり、雪となって降り注いだ。


「これが俺の力。水の中の原子を操作して、水の状態変化と量を増やすことが出来るよ。まあ、水があるところじゃないと使えないし、量も少し増やすことしか出来ないけど。あと、あんまり離れてると操れないんだよね。でも、今操ってる水で他の水に間接的に触れれば、操ることは出来るよ」


「いや、スゲェじゃん!これがあれば、いつでも雪が降らせられるってことか!?」


「うん、もちろん。お姉さんを口説く時に使いたいんだろ?ソウマ?」


「さすが勇人!わかってるな!天気だけはどうしようも出来ないじゃんよ?それが、雪を人工的に降らせられるんだったら、ここぞって場面に使って、ロマンティックな感じになって、そのままお持ち帰り出来るってもんよ!」


「流石ソウマ、考え方がゲスだね」


「そういう勇人だって、似たようなもんだろ?」


 男子どものゲスい会話を、冷めた目で見る女子たち。マホだけは熱い視線だったが。

なおも話し込んでいる勇人とソウマを横目に、皇女は考え込んでいた。


「(こんの馬鹿どもが!勇人、貴様のその魔法は、今までわたしが見てきた中で、最も強い。まさにチートじゃ…」


 勇人曰く、水がない場所では使えないと言っているが、水はどこにでも存在する。

そう、どこにでも。


 世界には、湿度というものがある。

この言葉だけで理解した者は多いだろう。


 勇人の魔法は、水の原子を操作し、状態変化を任意で起こすことができ、なおかつ、原子量を増やすことで、水の量自体を増やすことが出来る。少しとはいえ。


 湿度とは、空気中に含まれている水蒸気の度合いを指す。

水蒸気とは、水が蒸発し気体となったものを指す。


 これすなわち、空気がある所であれば、勇人は空気中の水蒸気を操り、えきたいこたいを作ることが出来るというわけだ。

更に、水の量を増やせるということは、それら全てを無尽蔵に作り出すことが可能となる。


 水は高圧縮すれば、ダイヤモンドを優に切れるし、不純物を取り除き蒸留水を作れば、弱点である雷もほとんど通さない。

更に、蒸発した時の水蒸気で目眩ししたり、きれいな氷を作って高級かき氷を食べることだって出来る。


 それだけでも十分に脅威なのだが、勇人はこうも言っていた。

間接的に触れれば、操ることが出来る、と。


 空気は、この世界で生きている存在であれば、100%触れ合っている。

生きるために呼吸し、空気を体内に入れる。

 勇人がその気になれば、吸引した空気に含まれる水蒸気から間接的に触れているモノ――血液を操ることが出来るわけだ。


 手を触れずとも、空気を媒介にするだけで、血液を沸騰させて気化したり、人為的に血を固め、脳梗塞等を起こすことが出来る。


 だからこそ、最強のチート魔法。

触れずとも、近寄らずとも、相手を殺すことが出来る。

そしてなにより、この世界にいる限り、それを防ぐことができないのが、最も厄介だ。

 砂漠でも、湿度は約20%。最も湿度の低い北極や南極であっても多少の湿度は存在する。


「あ、言い忘れてた。武器は、宝剣とそれまで使っていた日本刀――刀剣丸のみ。でも宝剣は両手で持たないと使えないから、刀剣丸は当分使わないと思うけど。それと、俺は前に出るよ。俺の後ろには、誰も通したくないからね」


 これで、全員が魔法と武器、戦闘スタイルを話し終え、それぞれのスタイルを元に、隊列が組まれた。


前線:勇人、マコト、マルファムル

中立:ソウマ

後方:マホ


T字型。前線の真ん中はマコト。左右から勇人、マルファムルが攻撃を仕掛ける。

その後ろから、ソウマが相手の行動を妨害し、マホの高火力魔法で体力をゴリゴリ削る作戦だ。


 勇者一行は、覚悟を決め、全員で小さな階段を登る。祭壇にたどり着くと、床に描かれている魔法陣が光出し、一際光が強くなった直後、勇者パーティは姿を消した。

【作者からのお願い】

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よろしくお願いいたします!


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