12話:彷徨いの森③
!盆休み企画 第二弾!
盆休み中に出来るだけ話しを進めたい…
宝探しゲームで勝利した2人。
常に心を繋げていたことにより、出会った頃より何倍も仲が深まっていた。
知り合いから一気に親友のレベルまでランクアップしたように。
この日皇女は、心の中でマクルスを婿候補に登録した。少しなよっとした性格だが、その実力は本物だ。一緒に戦った今だからこそわかる。
今まで会ったことのある王や王子たちとは明らかに違い、戦場慣れしている。
魔法の使い所や体術の熟練度、状況に合わせて戦術を組み替えられる回転の速さが、それを物語っていた。
しかし、まだ婿候補。この男の息子たちの生命力が強くなければ意味がない。
採取すれば分かるのだが、今はまだ、身体を重ねるには、交流が少なすぎる。
それに、他にもいい男がいるかも知れない。
皇女はそこまで考えをまとめると、宝探しゲームが終わってすぐ、宣戦布告してきた女が戻ってくる前に、野営地のテントを出た。
もちろん、マクルスや側近のアルートには、しっかりと別れを告げてから。
引き留めようとする王だったが、「長居して頂くのも悪いですから」とアルートが半ば強引に説得。嫌がる王を無理やり引き剥がした。
こうして、皇女は野営地を離れ、彷徨いの森へと戻っていくのだった。
その後、音の反響を使い、地形を理解しながら歩いていると、ある違和感に気付いた。
「ん?あれ?こっちだけ反響してこない?」
どこで誰が聞いているか分からない状態のため、乙女モード。
全方位に音属性魔法を放ち、何かに当たって返ってくる反響を受け取るのがこの魔法の特徴なのだが、なぜか一方向だけ返ってこない。
疑問に思った皇女は、そちらの方に向かって歩みを進める。
だがすぐに、その違和感の正体に気付くことになる。
一際大きな大木を曲がったその瞬間―――――
「きゃっ!?」
「うわぁ!?」
目の前に、人影が現れた。
咄嗟のことで、避けきれず、両者声をあげ、正面衝突。
ヴァールが出てきそうになるのを必死で抑え、ぶつかってきた相手へと視線を向ける。
そこにいたのは―――マホだった。
お互い、音属性魔法を全方位に放ちながら、探索していたため、音同士がぶつかり合い、打ち消しあっていたことが、反響が返ってこない原因だった。
「あっ!!ファムさぁーーーん!!会いたかったぁー!!!」
向こうもこちらに気付いたようで、安堵した表情で、胸元目掛けて、飛び込んできた。
「うわぁぁぁーーん!!!こんな薄暗い森でずっと一人で歩き回ってて、怖かったぁぁー!!!」
いつも男勝りな口調のマホも、中身は年頃の女の子だ。薄暗い森に長い間一人でいれば、寂しくて、心許なくて、泣きたくもなるだろう。
「よしよし。大丈夫ですよぉ、マホさん」
「うぅ…」
優しく抱きしめ、頭を撫でる。
美しい白髪が乱れないように、優しく慈愛の心を込めて。
「わたしも心細かったので、マホさんに会えて、安心しました」
今相手が欲しがっているであろう言葉を投げかけ、相手を安心させる。
皇女生活で培ってきた街の人々との会話術が、上手く活かされていた。
半ベソ状態だったマホは、その言葉を聞き、我慢していた涙が決壊。
相当怖かったのだろう。声を上げながら泣き出した。
マホが落ち着くまで、皇女は頭を撫でながら、何も言わず、ずっと待っていた。
段々と声が小さくなっていき、涙が止まり、荒れていた息が落ち着いていく。
「えっと、恥ずかしいとこ見せちゃった…ごめん!ファムさん!」
「わたしは全然構いませんよ。マホさん、可愛かったですし」
頬を染めながら、申し訳なさそうに言うマホに対し、少し意地悪に返す。
「か、可愛くなんてねぇよぉー!そ、そんなことより!!早く他のみんなも探しに行こうぜ!」
「そうですね、わかりました。探しにいきましょう」
更に頬を赤らめる相手をにやにやと見つめる。
マホは目を逸らし、身体を反転させ、2人が来た方向とは別の方へ歩き出した。
そこから、他のメンバーと合流するのは早かった。
皇女がマホに音属性魔法が使えることを伝えると、2人の音を合わせ、増幅することを提案された。
重なり合った音は、より遠い所まで届き、索敵範囲が3倍近くまで広くなった。
そのおかげで、彷徨っていたマコト、ソウマに出会い、最後に勇人を見つけることが出来た。
そして、不幸中の幸い。
最後に合流した勇人が、なんと偶然、煌の盾が眠る洞窟を見つけていたのだ。
勇者一行は、慎重に洞窟の中を進み、宝剣の時と同様、奥にある祠の中へと入っていった。
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