フィズ・エランドール2
「もぐもぐ、美味しいふぁね。こきゅ。上手いのは女装だけじゃないわけね」
「おいおい、こんなのただのチャーハンと麻婆豆腐だぜ」
「そう? もぐ、それに服もありがとう」
「いいさ。女物の服ならたくさんある」
「フフフ、うん、わかった」
「そうか」
祖母は町内の付き合いででかけてしまい、食卓には二人でつく。フィズはうまいうまいとレンゲを口元にすばやくかきこんでいた。
数年と見積っても寿命としては相当短い方だ。健は死ぬのが怖くないんだろうか、とフィズに対してぼんやり思った。
戦闘をすることになる自分こそ怖がらなきゃおかしいよな。
しかし最強の魔術礼服を祖母から譲り受け、資質がなければ切られないという条件を男ながらクリアし、礼服に認められたのだ。戦闘面にしても護身術と魔術師としての修行を真寿婆ちゃんに長年指導されてきた。
健は戦いについての恐怖なら幾ばくかの慣れでなんとかなるものだと心得ている。
だが寿命となると話は別だ。
単純に十代で死にたくないと思う。
フィズにしてもホムンクルスという事情はあってもあと数年のうちに死にたくないに決まっている。
ーー儚い人生さ。
祖母が言った言葉が思い出される。
フィズのマスターとして何ができるだろうか。それを考えるのもマスターとしてのつとめだ。
フィズはホムンクルスを助けたい、といった。
「他のホムンクルス達はどうやったら助けられるんだ」
「一刻も早く、魔術師や一般人への殺戮を止めさせるために倒す。つまりはホムンクルスを殺す。それか大元の魔力供給を断つ。洞爺信大を殺す。そういった手法しかないわ」
健はフィズに直視され、手に汗を握る。
ホムンクルスに情をかけた健にその覚悟、フィズに似たホムンクルスを殺す覚悟があるのか。そんな問いかけの目だ。
問答無用で魔術師の魔術刻印をも狙う奴らだ。ホムンクルスの命など意に介すことなどあり得ない。
「もちろんだ。いざとなれば、やるしかない」
こくりとフィズは頷いた。