肉の月
護衛車の車列は二岡研究所に到着する。車を降りると遥か上空に丸い物体が浮かんでいるのを確認できた。遠見の魔術で観察するとクリーチャー達の集合体だとわかった。
「あれは」
「健、あれが肉の月よ。クリーチャー達に司令を出してるの」
「あんな魔術が? 攻撃が届きそうにないな」
「あれは超能力で飛んでいるから」
「違う体系の能力か」
超能力とは厄介だな。
脳筋とロリっ子達は担架に運搬されて研究所に入っていく。
やべー痛そう、修行しといてよかったぜ。痛いことが嫌いだからこそ婆ちゃんの厳しい修行を耐え抜いたのだ。基礎トレーニングに魔術訓練に、きつい日々だった。
ケイはサラマンダーを引き連れて歩いてきた。眉間にシワがよりがちな彼女でもいまは笑顔だ。健はいつもそんな感じなら大勢の人に好かれるだろうにと惜しんだ。
「お疲れ様。あの肉の月はしゃくだけど、ほぼこちらの勝ち。あんなのミサイルで撃ち落としますわ」
「ミサイルまで。単純に頼もしいわ!」
フィズは車中の発作が嘘のように
ぴょんと体を幼児のように跳ねさせる。
「たいへんです!」
血相を変えた護衛のスーツ姿の中年男性が駆けよって来た。
「ケイ様、研究所は無人です! 戦闘のなんら痕跡もなく。人が消えています」
「なんですって!? 」
「まじか!?」
「天童老師はどうしたの」とフィズはいった。
「わからないですわね。とにかく行ってみましょう」




