フンバルトはかせのけんきゅうほうこく
ようこそ、わたしのけんきゅうしつへ。
わたしのなまえはフンバルト・ポン・ミーデル。ひかえめにいって、てんさいだ。つぎのノーヘルせいりがく・いがくしょうは、まちがいなくわたしだろうといわれている。
だれがいっているのかって?
おかあさんだ。おかあさんのいうことにまちがいはない。
さて、きょう、きみにごそくろういただいたのはほかでもない、わたしのけんきゅうのいったんをぜひ、きみにおみせしたいとおもってね。わたしは、ただけんきゅうがたのしくてやっているだけだから、こういったせんでんかつどうのようなものはきょうみがないのだがね。わたしのけんきゅうのいだいなせいかを、わたしのむねのなかだけにおさめておくのはじんるいのそんしつだと、そうさとされてしまってね。
だれにさとされたのかって?
おかあさんだ。おかあさんはつねにじんるいのしあわせをねがっているからな。
もし、わたしのけんきゅうのせいかによってだれかがすくわれるとすれば、ただけんきゅうにぼっとうすることだけがけんきゅうしゃのただしいありかたではないのかもしれない。そうはんせいしたのだよ。だからきみにきてもらったのだ。どうかわたしのはなしをきいて、そしてせかいじゅうにかくさんしてもらいたい。わたしのたどりついたえいちがよにひろまり、だれかにけいしょうされ、さらなるしんかをとげることをきたいしている。わたしはきみのしゅわんをたかくひょうかしているのだよ。そうでなければ、わざわざわたしのけんきゅうを、いちぶとはいえかいじするあいてにきみをえらんだりはしない。
どうやってきみのことをしったのかって?
もうしわけないが、それはいえないな。じょうほうげんはけっしてあかしてはならない。そういうきまりなんだ。え? どうしてもしりたい? しかたないな。じゃあ、ヒントだけあげるから、あとはじぶんでそうぞうしてくれ。いいかい? ヒントをいうぞ? ヒントは、おかあさんだ。はい、これいじょうはだめだぞ。このはなしはおしまいだ。
まえおきがながくなったね。すまない。こういうことにあまりなれていなくてね。しょうしょうきんちょうしているのかもしれないな。さあ、ほんだいにはいろうか。わたしがきみにたくしたい、わたしのけんきゅうのせいかは――
うんこにはなをちかづけておもいっきりいきをすうと、じんましんがでる。
いじょうだ。このきょうがくのじじつを、できるだけおおくのひとびとにつたえてほしい。ゆうきとむぼうはべつのものだ。じんるい、とくにわかいひとたちにとって、このちしきがそのじんせいをこんなんからまもるたてとなることをいのっている。
ん? どうした、みょうなかおをして。もうかえってもらってかまわないよ。ああ、もしかして、このすばらしいちしきをひろうしたことにたいするしゃれいをかんがえているのかな? きをつかうひつようはないよ。こちらがのぞんできてもらったのだからね。だが、そうだな……。もしどうしてもきみのきがすまないというのなら、きみのもつ、そのうつくしい栞をくれないか? わたしは栞コレクターなんだ。
栞がだめならおかしでもいい。わたしは、こどもっぽいといわれるかもしれないが、あまいものがだいすきなんだ。とくに、シャーベットのような、つめたいものがいい。みやびないいかたをすれば、氷菓、というやつだな。
まあ、さいしょにいったように、むりにしゃれいをしいるつもりはないんだ。きみがじはつてきに、そういうきぶんになったら、ということだよ。たいはないんだ。へんにかんぐらないでくれ。
ああ、みょうにしっけがおおいとおもったら、あめがふってきたみたいだ。きせつがら、しかたがないとはいえ、しつどがたかいのはいやなものだね。もうすこし乾燥がほしいな。じめじめしていてはやるきもそがれるというものだからね。
ひきとめてしまってすまなかったね。わたしは、その、きみとはなしをするのが、すこし、たのしかったようだ。よけいなことをたくさんしゃべってしまったきがするよ。あきれないでいてくれるとうれしい。さあ、あめがつよくならないうちにかえるといい。じこにでもあったらたいへんだ。
……さようなら。
え? あ、うん。
また、ね。
いやホント、びっくりしたの! まさかそんなことでじんましんがでるなんてまったく予想してなかった、っていうか、その、えーっとね?
……
コノ物語ハふぃくしょんデアリ、実在ノ団体、人物、名称等ハ全テ架空ノモノデス。
ふんばるとハカセハろくさいデス。