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サッカー①

 笛の音が春霞の空を切って、サッカー部員たちは足を止めた。試合終了。スコアを書きとめるペン先に力がこもる。四―〇。惨敗。クリップボードをばんと勢いよく伏せ、声を張りあげた。


「お疲れー! 切り替え切り替えー!」


 十六番だけが動かなかった。チーム一の負けず嫌い。目を擦っていた。一度では足らず、二度、三度。すっと切れた下瞼が光っていた。


 正直、敗戦の原因は彼にあるように見えた。らしくないミスの連続。

 でも、だからって。練習試合なのに。


 彼は拳で強く目許を拭った。

 その仕草が胸に残り、帰り道、高い背を呼びとめた。


「……なに」


 振りむいた目尻が赤い。

 ぐっと詰まった喉を開く。

 

「自分のせいとか、思いあがり過ぎ」

「は? ……かゆ」


 彼はまた目を擦って、すんと鼻を鳴らす。




 これがなれそめ。

 毎年、花粉症の季節になると思いだす。

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