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だい1わ 「役所へGo!」

 ネズミ男のラジィと普通の人(美人さん!)のサーキュ夫婦に連れられて、私は街の役所へ向かいます。


 まぁたぶん夢だから! 気楽にいこー!


 通りには露天商(ろてんしょう)がいっぱいいて、にぎわってるみたい。あっ、アクセサリーもあるー! ゆっくり見たいなあ。ええーと、それから露天商の奥にはデパート⁇ どういう街なんだろ、なんだかごちゃ混ぜな感じだなぁ。

 それと本当に何か分からない、ぎじゅちゅ、噛んじゃった、進んだ技術で作られたっぽいものがそこら中に置いてある。何なのかな?


 街並みはアニメで見るような中世かヨーロッパ風だからファンタジーな所みたいな感じのに、道路は機械で出来てる風だし、置き物(テクノロジーの産物っていうのかな?)がどこにでもあるから不思議な感覚〜。


 なんて心の中でつぶやいてたらラジィが話しかけてきた。


「よぉ、名前はどうするよ?」


 えっ、名前? そっか、私、今名前思い出せないんだった。っていうか他の事も、思い出せなくない……?


 ま、まぁ夢だから! ね、夢よね……。


「名前〜? 自分で決めるものなの?」


「もう、ラジィったら。そんなにせかすような事言いなさんな! まだトばされて来たばっかりなんだから!」


 ってサーキュがフォローしてくれた。わがはいはネズミである、名前はまだない。なんてね。心の声が聞こえてたら超恥ずかしいこと言っちゃった!


「おーい、姉ちゃん聞いてるか? 緊張感ぜんっぜんねぇな」


「え⁉︎ あ、うん」


 緊張感無いって、ネズミさん、あなたも他人(ひと)のこと言えないと思うんだけど!


「ねぇ、トラベラーってそんなに来るの? 公務員? の仕事になるぐらい」


「一ヶ月に一人くらいだな。ただココ、というような決まった場所にクるんものじゃないから、ニュースで知る事が多いな」


「ふーん。サーキュはさっき帰る時とか飛ばされたらとか言ってたけど、いつ頃とかあるの?」


「むずかしい質問なのよね、それ。一日で帰れる人もいるし、一生帰れない人もいるの。あっ、不安にならないでね! 自分の持ち物とか服とかがあると、帰れる確率がとても高くなるの!」


 サーキュは(あわ)ててるみたい。しゃべってる途中から手をあちこち振ってボディランゲージ? してる。手と一緒に買い物袋がブンブン振り回されてるけど中身ダイジョブ?


 ……うん! ゴメン! 不安になってきた! 帰れない確率があるのね?


 サーキュの慌てっぷりを気にしてないみたいなラジィが笑ってる。ムッ、空気読め!


「キュルキュルキュル!」


 ラジィ……、笑い声はネズミなのね。


「まっ、もうすぐ役所に着く。そこで色々説明されるさ」


 はぁ、役所、役所ねぇ。そういう()()()()な所あんまり行きたくないけど。

 でもちょっとだけ気になるから聞いてみる。


「ねぇラジィ、役所に行ったらどうすればいいの?」


「簡単だ、窓口でトばされたって言えばいい」


「そのあとは?」


「役所の人間が手続きをやってくれる。なぁに、すぐ済む! 簡単なもんさ」


 そっか、『簡単』な事なんだ。私はだんだん泣きそうになってきた自分に言い聞かせる。


「見えたわ! ほら、あれがファーレンハイト市役所よ!」


 サーキュが指を指した方向には、なんかもう超巨大な建物があった。デパートより大きいじゃん……、私のふるさとだと――あれくらいって言おうとしたけど思い出せない。こ、困ったなぁ。


「どうか夢でありますようにーーー!」


 さけんじゃった! 周りの人がこっち見てる。


「キュルキュルキュルキュル!」


 ラジィ! 笑うな! ネズミー! おっさんぽいのにカワイイんだよコラァ!


 それから数分歩いて、ファーレンハイト市役所に着いた。ってことはここはファーレンハイト市?


 市役所は、私の知ってるようなところじゃなかった。まるでお城みたいな建物。ちょっとワクワクするね! これでこそ異世界よね、うんうん!


 とか言ってたけど、中に入ってがっくし。高ーい階段に長ーい列。これ、並ぶの……?


「トラベラー課は三十八階よ。プライバシーの保護とかあるから男女別々になってるの。エレベーターで行きましょう、それとも歩くのがいい?」


 ――誰が三十八階分の階段を歩きたいっていうの、サーキュ?


 エレベーターはたくさんあって、意外と混まなかったよ。


 あ、そういえばラジィは

「俺は外で一服しとくから」

とかまた言って、さっき一階で別れた。タバコってそんなにおいしいの?


 トラベラー課のある階に着いた、あれ、人ほとんどいないじゃん。


「ここはトラベラーさんと同伴者しか来ないから。一回目は今の貴女みたいに、二回目は生活保護とか……あ、これは余計ね」


 サーキュはしっかりしてるみたいでおっちょこちょいっぽい。ちょこちょこハートを刺して来やがるぜ……!


「ありがとー、サーキュ。えっと、窓口にもついて来てもらえるの?」


「ええ、もちろん!  私も申請しなきゃ、じゃなくて一人だとわからないでしょ?」


 ははぁーん、手当ってやつね! お見通しよ!


 さぁ、じゃっ手続きやってみますか! 頑張れ、ワタシ!

最後までお読みいただきありがとうございます!

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