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MAGINIGHT~魔神とその環境を取り巻く者達のお話~  作者: U-1
序章 運命の出会いの日~The Wizard God AND The Funny Guys~
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第52話 神爪 勇人VS氷室 凍夜

腕がぶつかり合うイメージは、願いが叶う七つの玉のPS2ゲームの3が付くやつのオープニングムービーで主人公とボスがぶつかるやつで俺が地球の盾になる的な感じのやつ。

ぶつかり合う腕と腕。

殺気と闘気が入り乱れ、それらがバチバチと衝撃波を放ち周囲の器物を軋ませる。

ベコォッ‼と、勇人の足元のコンクリートが砕けて陥没し、道路が罅割れて傷が広がっていく。

このままでは橋そのものが崩壊してしまうだろう。

勇人は舌打ちしつつ身体に力を入れ「フンッ‼」と、腕を振り上げて襲撃者を弾き飛ばした。

襲撃者は宙で身体を回転させて体勢を整えつつ着地、何事も無かったかのように涼しげに佇んだ。

神爪勇人にとってこの襲撃者とは初対面ではあったが、この地球上において有名人である為に、正体は直ぐに理解出来た。

『国立魔法大学』・・・この国において最も魔法や異世界関係の教育が施された学業機関であり、彼が着ている白を基調としたブレザーは、魔法大学の8つある付属高校の中で関東地方の東京に所在する『第一付属高校』のモノ。

襟に付けた校章は3学年を意味し、氷を思わせる透明感のある涼し気な毛髪と冷たい眼つき。

そして隠す気のない莫大な魔力。


「・・・・・・『青き惑星の調停者(ブルーコスモス)』の日本代表、氷室(ひむろ) 凍夜(とうや)か」

「あ、そっち? 分かりやすく学生服着てるのに」

「指摘して欲しそう感があったからな」

「捻くれてるねぇ」


冷たそうな雰囲気の割には軽薄そうに笑う氷室凍夜。

軽い雰囲気に流されそうになるが、勇人的には面倒な予感しかない。


「此処に来れたってことは、東雲の奴を突破してきたか。持たせることも出来ねーのかよ、あの役立たず」

「ああ、彼かい? 結構強かったよ。本気じゃなかったっぽいのが残念だけど」

「後で殺すか」


手を抜いて突破されたという事実に、東雲の命運は決まった。

だが、それはそれとして。


(コイツが何でエリザを狙ってんのかが分からねーんだよな・・・・・・)


これが協会と教会なら、それぞれの組織的事情から推測も理解も出来るが、この男が狙う理由が全く考えが至らない。


「えーと・・・誰?」


そしてこの女は何で狙われているのかどうか以前に、相手が誰だか分かっていない。


「って、いや『青き惑星の調停者(ブルーコスモス)』だぞ? いくら魔術界側だからって知らないはないだろ」

「あ、有名人? 私、結構長い間監禁されてたから、あまり外の常識とか分からないかも」


サラッと言われた内容に思わず口元が引き攣った勇人と凍夜。


「お前、何したんだ?」

「うーん、天然ちゃんかな?」


其々の反応を返す青少年二人。

この吸血鬼の立場は大凡察したつもりだったが、想定以上にキナ臭いことが起こっているようで、勇人は内心で依頼を受けたことを後悔した。


(あ、受付嬢が勝手に受けたんだった)


ギルドに在籍している受付嬢・・・そして安易にこんな依頼を引き受けた人物に覚えのある勇人は、後で報復する事を決める。


(乳揉んだろか・・・・・・揉むほど無かったなアイツ)


悲しい真実を思考回路の外に追いやり、勇人は改めて凍夜に向き合う。


「んで、結局何の用だよ? 何かコイツ狙ってんだって?」

「うん? 理由は特にないよ」

「・・・・・・は?」

「いや、『第一付属(うち)』と『第二附属』の魔法戦競技部の交流試合があってね。それに参加してたんだけど、帰りに妙な気配を感じてさ。それがそこの彼女だった訳だけど」

「・・・・・・で?」

「いやー、中々強そうっていうか、異形な感じがしてね。()ったら楽しそうかなって」


勇人は頭痛がした。


「あー、つまりなんだ? 戦いたかっただけ、と?」

「そ」

「マジかコイツ」


頭痛が更に増した。

青き惑星の調停者(ブルーコスモス)』は地球の守護者と呼ばれるほどに、力と責任のある立場だ。

そして一種の治外法権の様な『四季島』とは違い、日本の本島は基本的に魔法や魔術の自由使用を禁じている。

魔法やら異世界やらが世に明かされて約20年。

未だにそれらに関する法整備は完全には敷かれていない故に。

にも拘らず、国内で地球上の最強級が遠慮なく魔法をぶっ放して戦闘行為をしようとしている。


「流石の俺様でも、もうちょい気ぃ使うぞ・・・・・・」

「いやぁ、それほどでも」

「脳みそ愉快すぎんだろ」


自分でも割かしやらかす方で自分勝手さもある程度自覚しているが、まさかそれ以上がいようとは。

勇人としては関心するやら呆れるやらだ。


「ま、事情は分かった。が、もういいだろ? 安易に派手に暴れていい立場じゃねーし、この辺で止めとけ」

「・・・・・・そうだね」


とりあえず無駄かと思って言ってみた勇人だったが、凍夜からはそれを肯定する言葉が返ってきた。

・・・・・・そう思っていた。


「じゃ、君でいいや」


徐に勇人に向かって手を振るった凍夜。

瞬間、


――――――バキィンッッ‼‼


勇人の全身が、氷塊によって固められた。


「ちょっ!?」


目の前で急に氷塊と化した神爪勇人と、それを行った氷室凍夜にギョッとした反応を見せたエリザ。

砕いて助けようかと思ったが、もし身体の芯まで凍り付いていたら肉体ごと崩壊しかけない。

躊躇するエリザだが、その心配は無用だった。

ピシッと、その氷塊に罅が入り、それは大きく広がっていき・・・・・・音を立てて砕け散る。

神爪勇人・・・言わずとも、彼が氷塊の内側から無傷で生還する。


「・・・・・・何かしたか? 今」

「ははっ、良いね! そうこなくっちゃ‼」


軽い雰囲気から一転、獰猛な獣の様な笑みを浮かべて、氷室凍夜が襲撃する。

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