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MAGINIGHT~魔神とその環境を取り巻く者達のお話~  作者: U-1
序章 運命の出会いの日~The Wizard God AND The Funny Guys~
32/54

第32話 竜道寺 流浪VS岸本 栄一&田中 学

赤色と橙色が目立つ手甲を右手に装着して叫ぶ流浪を、縁寿は興味深げに観察していた。

流浪の声に手甲型のAMDが反応し、身を護るための防護鎧衣(ジャケットアーマー)が展開される。

炎を思わせる燃える様な赤い全身鎧(プレートメイル)に、アーメットの様な頭部を完全に覆うフルフェイスな兜を被っている。兜のデザインはその名の通り竜を思わせる。


火竜(サラマンダー)って、またクセのあるデバイス使ってるわね」

「IF社だっけ?」


Industrial(インダストリアル)Fantasy(ファンタジー)社。

現代魔法を扱うツールであるMD――――――デバイスの開発を行っているデバイスメーカーで、流浪が今起動させた火竜(サラマンダー)や、藤村友紀や岸本栄一が使っている機種も此処の会社が開発したデバイスである。

様々な種類のデバイスを開発しており、デバイスを取り扱っている数は国内一。

機種は扱いやすい物が多く、また腕輪型などのアクセサリーとしても扱える物も存在し、防護鎧衣(ジャケットアーマー)戦士(ウォーリア)はカッコいい戦士のデザインの為、老若男女問わず人気が高い。

流浪が使う火竜(サラマンダー)は、アクセ代わりの腕輪型や携帯端末ディスプレイ等多目的に使う為の汎用デバイスとは違い、最初から魔法戦を前提に設計されている戦術デバイス(AMD)である。

手甲型のそのデバイスは、防護鎧衣(ジャケットアーマー)と一体化したデザイン。

火竜(サラマンダー)はその名の通り、見た目が火のドラゴンを模しており、それ故か主に男性に人気のあるデザインなのだが、少しクセがある為扱い辛い。

というのも、防護鎧衣(ジャケットアーマー)のデザインが理由だ。

ドラゴンを模している通り、この防護鎧衣(ジャケットアーマー)の臀部分には尻尾が付いてある。

それなりに長さがあり、自分の意思で動かせるため戦闘で用いる事も可能なのだが、人間の臀部分には当然尻尾など付いていないので、如何にも動かし辛いという意見が多く、まともな使い手はそう多くない。

尻尾にも重さがあるから、身体のバランスも思う様に取れないのだ。

それでも何処にでもマニアックな人はいるようで、一部には熱狂的な人気がある。

まともに扱えなくても、見た目がカッコいいからという理由で使っている人もそれなりに存在する。


「いくぞゴラァッ‼」


そして流浪は、珍しくも火竜(サラマンダー)をまともに扱える魔法師(ソーサラー)だった。

先手必勝とばかりに、地面が砕ける程の強い踏み込みを以て、流浪は栄一に殴り掛かる。

喧嘩っ早い性格故か、それとも後ろにいる気絶した幼馴染みを気遣った故か、花凛を巻き込まない様に対戦相手の2人と距離を詰め、手早く勝負を決めようと攻めにいく。

手甲型のデバイスを装着した右手と、防護鎧衣(ジャケットアーマー)に付属している左手の手甲の2つを使い、栄一が構えるシールドの上から拳撃の連打を叩き込む。


「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ‼」

「・・・中々、強烈・・・だな!」


轟音と共に盾に打ち付けられる拳の嵐を、栄一は力づくで押し返し、流浪を弾き飛ばす。

弾き飛ばされた流浪の背後には、回り込んだ学の金属杭(ステーク)が待ち構えていた。

背中に金属杭(ステーク)が叩きつけられようとする瞬間、流浪は尻尾を伸ばして地面に強く叩きつけ高く跳び上がり、宙返りをしながら学の背後へ回り込んだ。


「うわ、器用」

「よく尻尾で跳べるねぇ」


感心する縁寿と都古だったが、その顔は直ぐに驚愕へと変わる。

学の背後に回り込んだ流浪は、その背に右拳を叩き込もうと拳打を叩きつけ――――――――


摩訶不思議力(ミステリアス)ビィィィイイイイイイムッ‼」


――――――――ようとした瞬間、学の背中から放たれた一条の光線が直撃する。

背にあるスラスターの噴射口が形状を変え、砲口へと変化しそこから光線が放たれたのだ。


「何あれ⁉」

「ビームだね」

「いや、それは見れば分かるけど⁉」


言いたい事はそういう事じゃ無く、何故あんなところからビームなんてモノが放たれたのか。


『おぉーっと⁉ 田中学選手の隠し技【背中ビーム】が放たれたぁっ‼「漢なら背中で語れ」と言わんばかりの必殺技だぁぁっ‼』


背中からビーム出して何を語っているというんだろう?

そんな疑問が頭を過る縁寿だが、その疑問の答えをくれる人などいる筈も無く、試合は続く。

光線が直撃してふっ飛ばされ地面を転がる流浪を倒そうと、栄一が追撃し剣を振り下ろす。

だが、その剣撃は学の金属杭(ステーク)に止められた。


「何の真似だ、田中?」

「いやいやそれはこっちの台詞だろう。私がふっ飛ばしたのだから、此処は私が仕留める場面ではないのかね?」

「先に倒した方の勝ちなんだから、文句を言われる筋合いは無いと思うんだけどね?」

「まったくこれだから脳筋は。猪みたいに突っ込んで暴れる事しか頭に無いのかい? 人が弱らせたところを横取りするとか、そんなのでよくエースとか呼ばれてるね。ああ、姑息な手段でも勝ちは勝ちだからね、そういった汚い勝利を積み重ねて来たが故のエースなのか」

「妙ないちゃもんを付けるのは止めてくれないか? 先に倒した方が勝ちというルールである以上、漁夫の利を狙う戦い方をしても何も問題は無いし、弱った隙を叩くなんて常套も常套の戦略だろう。そんな事も判らずに難癖をつけるなんて、全く部屋に篭りっぱなしの研究者は陰湿で困るね。恥ってものが無いのかい? ああ、無いからそんな常識知らずの物言いが出来るんだね」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


鍔競り合いの様に剣と金属杭(ステーク)が拮抗していたが、ガキィン‼と金属音を鳴らし、栄一と学は互いに後退する。

後退しつつ学は左腕の三連ガトリング砲から弾丸を放ち、栄一は剣と盾でそれらを捌く。


「田中。やっぱり先に君を倒した方が良さそうだ」

「同感だな。まず邪魔者を退けるとしよう!」


標的そっちのけで、栄一と学の戦闘は最初の形に戻り続行された。

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