第29話 飛んで飛んで飛んで
「何処なんだよ此処・・・・・・・」
流浪と花凛の2人は、追って来る勧誘の生徒達を振り切って校舎裏に逃げ込んだ・・・は、いいが、そこにも部活勧誘の生徒達が張っていた。
仕方なしに校舎裏の森林の中へと逃げ込み、茂みを掻き分けて奥へ奥へと逃げていたのだが、完全に道に迷ってしまい、自分が今何処に居るのか分からない。
周囲は緑と桜で埋め尽くされており、校舎の類は見えない。
「広すぎだろ、この学校・・・・・・」
「あ・・・あっちから声が聴こえるよ」
花凛に言われて、彼女が指差す方へと意識を向ける流浪。
耳を澄ますと、人の声が聴こえて来た。
話し声の様なものでは無く、歓声の様な叫び声。
「運動部のパフォーマンスでもやってんのか?」
何にせよ、生徒がいる場所が分かれば校舎に戻れるだろう。
だが、下手すればまた勧誘の生徒達に追い掛け回される危険性がある。
しかし、このまま此処に留まっておくのもどうだろうか?
地理に疎い流浪達がこのままこの場に留まれば、追い掛け回す生徒達には見つからないかも知れないが、歓声が聴こえなくなってしまえば進むべき方向が分からなくなるかもしれない。
(まぁ、見つかって追い掛け回されたら走ればいいか・・・・・・)
そう自分の中で結論づけて、流浪は花凛の手を引いて足を一歩、歓声が聴こえる方向へと進ませた。
瞬間、『カチッ』と、何かスイッチのようなモノを踏んだ音が聴こえた。
「へ?」
間の抜けた声を出し足下を見るが、そこには何もない。
自分の足と地面と雑草があるだけだ。
いや、何やら足下から上へと押し上げて来るような感触が感じられて。
―――――――ビヨヨヨヨ~~~~~~ン
「・・・・・・は?」
そんな気の抜ける音が聴こえたと思ったら、足下から身体に強い圧力がかかり、身体が空へと高く押し上げられていた。
そして、身体に感じる浮遊感。
気が付いた時には、手を引いている花凛と共に、地上から約50メートル離れた宙へと跳ばされていた。
下を見ると、未だにビヨ~ンと音を発てているモノがある。
一辺5メートル四方の地面がメリ上がり、グラグラと揺れていた。
流浪達の視点からは見え辛いが、そのメリ上がった地面の下には鉄製のプレートが付いており、更にそのプレートにはバネが付いていて、地面にまで伸びて設置さてていた。
まるでマ●オの様なアクションゲームにでも出てきそうな仕掛けである。
「バネ仕掛けかよッ⁉」
何のアトラクションだ⁉ そう叫びたいが、そんな余裕はない。
フワリと身体が感じていた浮遊感は、直ぐに重力に従い落下を始める。
手足をバタつかせるが、当然ながら宙を移動する事など出来ない。
「いや、ちょっ、嘘だろォォォォォォォォオオオオオオオオ⁉」
「キャァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアア⁉」
空に悲鳴を響かせながら、流浪と花凛の2人は地面に落ちていった。




