第13話 戦闘観戦
迫る勇人のフック気味に繰り出した拳を一歩後ろへ下がることで回避した友紀は、お返しとばかりに剣で勇人の胴を薙ぎ払う。
だが、その一閃は空を切る。
一瞬で友紀の背後に回り込んだ勇人は、無防備なその背に拳を繰り出すが、その一撃を背に剣を回すことで防いだ友紀。
身体を捻らせて拳を弾き、振り返り様に再び友紀は剣を振るう。
勇人の拳と足、友紀の剣が幾度もぶつかり合う攻防が続く。
その状況を食堂から眺める縁寿は、本日何度目か最早数えるのも面倒な溜息を吐いた。
「まぁ、神爪君がバカみたいに強いのは分かったけど、アレとまともに喧嘩してる藤村先輩も相当強いよね」
感心するやら呆れるやら。
「藤村先輩は鳳凰学園四天王の一人だからね。そりゃ強いよ」
「いろんな人がいるのね、この学校・・・・・・てか、四天王て」
鳳凰学園四天王。
その名からもう見当がつくが、鳳凰学園で強い力を持った四人の生徒のことだ。
四人の高等部三年生に付けられた称号であり、藤村友紀はその四人の内の一人である。
「四天王って・・・何のひねりも無いネーミングよね。誰が付けたか知らないけど」
「私が入学した時くらいに呼ばれ始めたんだっけ・・・・・・あ、確か鳳凰学園に四天王制度を作ったのは勇人君だよ」
「四天王制度って何っ⁉」
限りなく謎な用語にツッコミを入れて叫ぶ縁寿。
縁寿が叫んでる間に、勇人と友紀の攻防に変化が起きる。
無数の打撃を繰り出す勇人の攻撃を、友紀が徐々に捌き切れなくなってきたのだ。
完全に捌き切れなくなる前に、友紀は大きく後方へと跳んで下がり、2機目のMD――――――右手首に付けるブレスレット型のMDの機能を作動させた。