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転生したら玉虫色の球体でした  作者: 枝節 白草
第2章:港町に住まうモノ
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二人の迷子

今回ほぼ会話です

「あの、クオンくんは他の世界から来たんですか?」


森の中を二人で歩く、しかし今の共は偶然拾った女の子、アリサだった。


「どうしてそう思ったの?」

「あ、いえ。ヨグソトースって言ったらこの世界の神では無いので」

「うーん、元の世界に居た時は人間だったんだけど、気が付いたら姿が変わっていて、そして何故かここにいたんだよ」


「・・・人間だったんですか、人間が神に?転生・・・いや、そんなまさか」

「転生って?」

「生き物が死んだ後に他の生き物に生まれ変わる事ですよ」

「・・・僕、死んだ・・・の?」

「あ!いえいえ!そういう概念もあるってだけで、実際に転生した人なんて聞いた事も無いですよ。ただ、生き物として大きくかけ離れたものになってるのなら召還による転移の類では無いのだと思います」

「うーん、・・・良く分からない」


しばらく沈黙が続いたが、アリサは突然何かに気付いたようにまた話し始めた。

「あ、ヨグソトースって時空の神ですよね。自分で元の世界に移動できるんじゃ?」

もっともな意見だ、だがそれは無理だと身をもって知っていた。

「無理だった、クロに聞いても無理だと言われたよ。存在が重複して消し飛ぶって言われた。そもそも僕は副王として未熟らしい、力を制御しきれないんだ」

「そう・・・ですか」


「僕も聞きたい事があるんだ。この世界にも神様っているの?」

「あ、はい。この世界の神は概念では無く生き物です。ヌシとしてふさわしい生き物が土地を治め、土地を豊かにする神として祀られます。そのまま土地の名前にもなるんですよ」

「へー・・・、あ、じゃあこの森にも居るの?会いたいな」


アリサは少し困った様な顔をして返事をしてくれた。

「・・・この森は長い間ヌシが着かず不安定な場所でした。それが最近安定しだしたので新しいヌシが来たのかと思い父が調査に・・・、私も付いてきて、まぁ、あのざまです」

「山賊に捕まったんだね。じゃあ、アリサのお父さんは・・・」

「・・・はい」

これは深く聞くべきでは無いだろう。


「そうなると、この森の新しいヌシに着いたのはクロだったのかな」

「きっとそうだと思います。確かシュブニグラスは森と関係してたと思うので・・・、この森は立ち入り禁止にしないとダメかもしれませんね」

「クロは・・・、きっと積極的に人に危害は加えないと思う」

「クロさん本人はそうでも、彼女は母神で、危険な生き物を生み出すと聞きました」

「クロも未熟なんだ、子を成す事ができない」


アリサは驚いた様な表情を見せた。

「母神なのに・・・ですか?」

「そう、女性として成長した体を作れないんだって。だから胸の大きいアリサを嫌ってた」

「え!それで私殺されかけたんですか!?」

「あはは、流石にそれだけじゃないと思うけどね」

「むー・・・」



二人は喋りながら森を歩くが実は迷子だ。

アリサは来た道が分からない、僕に至ってはこの世界自体が分からない。

歩いてさえいればアリサの見覚えのある場所に出るんじゃないかと期待していた。

しかしそろそろ他の方法を考えるべきだろう、このままでは体力がもたない。


「アリサ、ちょっと休憩しよう。このままじゃ体力がもたないよ」

「そうですね、私もそう思ってました。前はこんなに大きな森じゃなかったのに。ヌシとなったクロさんの力かな、未熟とはいえ母神ですもんね」


「せめて方角が分かればなぁ」

ふと、僕はクロの言葉を思い出した。

自分がどこにいるのか分からないと言ったら未熟だと笑われたんだ。

つまり、本来は僕の力なら分かるはずだという事に違いない。

僕に、出来る事・・・。そうだ、窓だ。

忘れていたけど最初にやった事だった。


僕が強く願うと周辺の時空が歪み、無数の窓が中空をゆっくりと舞う。

窓はどれもこれも小さく、覗き込むのがやっとの大きさ。

「小さい・・・けど、できた!」

そして更に窓達に「この世界の人里」と絞り込み検索をかける。

あくまでもイメージに過ぎなかったがそれも上手くいったようだ。

たくさんの町が映し出された。


その異常な光景を目の当たりにしたアリサは驚きのあまり声も出ないようだった。

・・・が、一つの窓に見覚えがあったのか突然声をあげた。

「あ!これ!この風景、私の住んでる町です。港町リヴァイアサン」

「よし、じゃあ目的地も決めてないし、ここ行こう」

とは言ってもその窓は小さく人は潜る事ができない。

そもそも潜ったとしても正常に向こうに行けるのだろうか、僕は良くてもアリサは?

危険を冒す事も無いだろう、歩いていけば良いだけだ。


僕はその窓に方角を示す様に指示を出す。僕が時空の神ならやれるはずだ。

窓はスーッと移動し、ピタッと止まり、役目を終えた窓達は霧となって消えてゆく。

「よーし、良い子だ、いや、良い窓?まぁいいや、方角は決まった。行こう、アリサ」

「はい!」




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