告白
「あとは話したわね、この世界の奴が私を呼んで、私がクオンを呼んだわ。私はクオンが居ればどの世界でも良かったのだけど、ここまでで何か質問はあるかしら?」
「僕がこの姿になった原因はクロだったの?」
「そうとも違うとも言えないわね、私がヨグソトースを召喚しなければヨグソトースとの融合も無かった、でも私にはクオンが自らヨグソトースに手を出したように見えたわ。それに召喚しなければクオンは死んでいた」
「その代わりに、たくさんの人が死んだんだね」
「欲しいものを得るためには犠牲は付き物よ」
「そうだね、そうだった、僕もこの姿になってからはたくさん殺したよ。でもクロは…人間だった時から平気でやれたんだね」
「その物言いは偽善だわ、人間だって肉を美味しく食べるためだけに家畜を残酷な殺し方で殺すじゃない。なら人間のために人間を殺すのはよっぽど健全だと思わないかしら?」
「人間が人間のために人間を殺す、人間なら抵抗を感じる事だと思う」
「それは違うわね、人間にとって大事なのはほんの一部の人間だけよ。それ以外はどんな死に方をしたってどうでも良い、じゃないと拷問器具なんて存在してないでしょう?」
「クロの言う事が…理解できてしまう。でもそれは今の僕が邪神だからだ」
「いいえ、人間とはそういう生き物よ」
「クロが正しいと思う。でもそれはヨグソトースの意識に引っ張られているからだ、僕の心の奥底ではそれを否定したがっている」
「ならどうしたいの?」
「クロがこれからどうするつもりなのか、それ次第だよ」
クロは黙ってしまった。言いにくそうにモジモジとしだす。
やはり悪い事を企んでいたのだろうか。
「言えないの?」
「もー!クオンはデリカシー無いわね!女の子の口から何言わせるつもりよ!」
「…ん?」
「ここじゃ雰囲気出ないわ、もっとちゃんとしたお屋敷あるから」
「…んん?」
「私たちの家よ?」
「ごめんね、僕の理解が追い付いて無いみたいだ」
「まずは私に告白するのが先でしょ?その後プロポーズしてよ。…で、これから新居のお屋敷に向かうでしょ。そしたら二人で…子どもを…もー!言わなくても分かるでしょ!」
つまり、クロは…。
「僕と結婚したいの?」
「違うわ!クオンが私と結婚したいのよ!」
「その為にたくさん殺したの?」
「他に方法無かったじゃない、恋愛に障害は付き物よ」
クロに対する好意はヨグソトースの意識、では僕の意識ではどうなのか。
その答えはよく分からない。
「まず、クロに告白する予定は無いよ」
「…体?いきなり体を求めるの?それは展開的に美しくないわね。でもクオンがその方が良いというなら受け入れるわ」
「クロに手を出すつもりも無いんだ」
「…じゃあどういう展開で結婚するのよ」
「クロと結婚するつもりは無い、と言ったら?」
「…あの女ね?」
「え?」
「あのアリサとかいう売女に唆されてたのね!やっぱりクオンも大きな胸が好きなのね!」
「ちが…」
「殺す…、あの女を殺す。そしたらクオンも目が覚めるはずだわ…」
「待って!それだと約束が違うし唆されてもいない!」
「それはおかしいわ。それならクオンが私との結婚を嫌がる理由が無いじゃない」
「…アリサ、今どうしてるの?」
「一応約束だったから、あの女にはスライム状のショゴスという奴隷生物を護衛に付けてる。ケルピーには近くの村の教会まで運ばせた。今はシスターに拾われて教会で寝てるわね」
「無事…なんだね」
「私がショゴスにあの女を食い殺すように命じるまでは無事でしょうね」
「そっか」
全てが丸く収まる方法は一つしか思い付かなかった。
まずはクロに告白しなくてはならない。
「クロ、聞いて欲しい」
「何よ、あらたまって」
「好きだよ。僕と付き合ってほしい」
クロの顔が紅く染まる、顔が綻んで耳まで真っ赤になっていた。
手が落ち着かず髪を触ったり服を触ったり、歳相応の可愛らしい女の子な反応。
「な、なによ。もぅ!もっと早く言いなさいよ」
「ごめんね、ちょっと焦らしてただけなんだ」
「そ、それなら仕方ないわね!」
「でも結婚は待って欲しいな。恋人の期間が長い方がロマンチックだと思う」
「それもそうね!屋敷に行くのは後回しにしましょう!」
「そうだね、デートに行こう」
「デデデデデート!?ぁあは、良いわね、良い!とても素敵な響きだわ!初めてのデートは異世界で、ロマンチック、すごくロマンチック!」
時間を稼いでアリサを助ける方法を考える。
その為にはクロの意識をアリサから遠ざける必要があった。
果たしてどれだけの時間が稼げるか、僕の邪神生活第二幕は不安に満ちていた。
一途な女の子は、可愛いですよね(遠い目)




