侵入者
更新遅いのにブクマしてくれている方々、本当にありがとうござます!
「私たちを、探してるのでしょうか」
アリサは震えながら僕にしがみつく、・・・ああ、やはり僕の本体は見せられない。
僕の本体はあんな半魚人みたいな奴よりもずっと酷い姿なのだから。
・・・ひた、・・・ひた。・・・キィィ。
隣の部屋のドアが開く音がしてアリサの心臓の音が大きくなった。
隣はアリサの部屋だ、僕のとこに来なければアリサは一人で化け物と遭遇していただろう。
僕は、カタカタと震えるアリサの手を・・・ゆっくりと剥がした。
「・・・え、いやぁ、・・・クオンくん」
「離してくれないと戦えないよ、それに戦ってる時の僕には触らない方が良い」
僕の本体にうっかり触ればアリサは一瞬で蒸発するだろう、痕跡すら残さずに。
それに、力を制御できる自信が無い。僕は自分が怒っているのだと自覚していた。
父を亡くし酷い目にあってきたアリサが、やっとの想いで帰ってきた。そんな家を荒らす侵入者を許す事等できはしない。
そして怒りと同時に安堵している自分にも気持悪さを感じていた。
自分にも人間らしい気持ちが残っていた事に対する安堵なのか、それともアリサを自分に縛り付ける口実が増えた事への安堵なのか。
分からない、僕は僕が分からない。
・・・気持ち悪い。
・・・キィィ。
とうとう開いた部屋のドア、そこに立っていたのはやはりあいつだった。
魚のような、カエルのようにも見える顔。ぬめぬめとした体、水かきのある手足。
一人が侵入してくると、一人、また一人と侵入してきた。
「ひっ」
その姿を見たアリサはさっきよりも一層ガタガタと震えだす。
「チェルシー、出てきて。アリサの目を塞いでてほしい」
小鳥サイズの妖精、チェルシーが眠たそうに現れる。
「ほぇ?・・・おああ、・・・混ざり者の化け物がたくさんいる!」
状況を察したチェルシーがアリサの顔に枕を押し付けた。
「んー!んんー!」
「怖いと思うけど今はクオンを信じててー。たぶん見せたく無い事するつもりなんだよ」
「ん、んん」
僕はゆっくりと距離を詰めていく。
「さて・・・、どういう用件なのか、口の利ける奴はいるのかなぁ?」
先頭にいた混ざり者は無表情な顔で、魚の様に口をパクパクと動かして喋りだす。
「生贄、生贄、ダゴン様」
「ダゴン?それがあんたらのボス?町の人達が変になったのもあんたらのせい?」
「ゲッゲッゲ、町の人、生贄、もう居ない」
「・・・そっか」
僕は腕を突き出す、突き出した腕が玉虫色に泡立つ。
泡は空気中で集まり、球となって僕の周りを浮遊する。
「とりあえず一人、消えてもらうよ」
放たれた玉虫色の球は先頭に居た混ざり者を一瞬で蒸発させた。
僕の欠片は、触れただけで致死の熱量を生み出す時空の凶器。
相手がたくさん居て良かった。これは加減のできない熱を生む。
僕の力を見せつけるための犠牲が作れる。
「・・・次は誰が消えたい?」
混ざり者達は動揺して後ずさる。
「逃げようとしたら殺す、抵抗しようとしたら殺す」
硬直した混ざり者たちはまるで蛇に睨まれたカエルのようだった。
実際にカエルのような顔なだけにぴったりな表現だと思った。
僕は混ざり者に近づき静かに睨む。その眼孔は人のモノでは無い。
僕の、玉虫色の体に付いている本来の・・・本体の目だ。
体の一部だけを変化させる、クロがやっていたのだから僕にできても不思議は無い。
僕の片目が丸く見開く、全てを絶望に追いやる副王の眼孔が、混ざり者の精神を穿つ。
混ざり者たちは膝を付いて頭を垂れ、ガタガタと震えだした。
さっきまでのアリサを彷彿とさせる。
「こんなにいらないな。一人居れば良いか」
動けない混ざり者たちを一人ずつ、一人ずつ蒸発させる。
目の前で同胞が消えていっても混ざり者たちは動けない。
すでに心が恐怖に支配されて僕に敵意など向けれない。
「君で最後だけど、ダゴンの所まで案内してくれたら見逃してあげても良いと思ってる。君は、ダゴンと僕・・・どっちの方が怖い?」
「・・・案内、・・・スル」
どんな奴かは分からないが敵であることに変わりは無い。
それ相応の・・・報いを。
最近あまり書けてませんがちゃんと最後まで書きますよ!




