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異世界ではチョコ裁判中!  作者: 白羽琴音
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2章 女王

「さんっ……!ぃさんっ………!」


女の子が、俺を呼んでいる…………。


「お兄………さんっ!」


誰だ…………?


「お兄さん!起きて下さいっ!」


ん…………?



目を開けると、そこには………、


かわいい女の子が俺のことを見つめていた。


まるで、瞳はキラキラと輝く海のようだ。


髪は両方を結っていた。


俗に言う、"ツインテール”だ。


「お兄さん。目は覚めましたか?」


「あ、ああ……」



可愛い…………。



そう思った瞬間、俺の心臓がバクバク言ってきた。


すべてが可愛い女の子に今まで会ってきたことがない。



「というか、ここは………?」



辺りを見渡すと、可愛らしい西洋風の人形が置いてあったり、オルゴールがあったり、ソファーがあったりしていた。


___ところで、俺は何に寝てたんだ?



そう思い、起き上がるとふかふかのダブルベットだった。


「こ、ここは、どこなんだ?」


「ああ、ここは私の部屋です。兄と森に出かけていたら、貴方が倒れていたものですから、うちに運んだんです」


「そ、そうなのか……。ありがとう」


「いえ。助けるのは当たり前です。ところで、お腹はすきませんか?」


「そ、そういえば……」


確か、昨日食べたきり食べてなかったのを思い出す。


朝食前にあんな事が起きたから、気が動転して、すっかり腹が減った事など忘れてしまっていた。



グギュルルルルル………。


腹の虫が、とうとう鳴いてしまった。


顔が、少し赤く染まる。



「クスッ、ちょっと待っててくださいね。今、暖かい飲み物と食事を持ってきますから」


そう彼女は言って部屋を後にした。


彼女が出て行ってから暇だったので、窓から外の景色を覗こうと思い立ち、窓へと向かう。


カーテンがかかっていたため少しカーテンをずらし、外の景色を見た…………。



すると、そこは………………、西洋の景色が広がっていた。


時計塔らしき建物があったり、馬車があったり、日本にはないような景色が、そこにはあった。



もう、それはまさに、完全な異世界だった……………。



「はぁ……!?何だよ、これ………」


俺は少し動揺した。



___クラクラする………。何なんだよ、一体………!!


異世界に召喚された事への動揺、妹の行方の不安が一気に出た。


そんな時………、


「お待たせしました。お食事をお持ちしました!」


「ありがとう……」


彼女の声に、ふと我に返った。


彼女は、まるで天使みたいだ………。


俺はそう思った。



彼女が持ってきてくれたのは、湯気がたっている暖かいシチューと、暖かいミルクティーと、バターが塗ってある少し固めのパンだった。


「どうぞ、召し上がってください」


そう言って、ニコリと微笑む彼女。



前言撤回。


彼女は天使だ………!


俺はそう思い、彼女の厚意をありがたく受け取った。



テーブルに並べられてある皿の数々。


まずは、シチューから頂くことにした。



ズズっ…………。



「うまい!!」


野菜の甘味が生きていて、優しいミルクの味がマッチしていてうまい。


「本当ですか!?嬉しいです!」


彼女は、そう言ってニコリと微笑む。


俺は、ドキリとした………。



次は、バターが塗ってある固めのパンを食べることにした。


もちろんそのまま、という訳では無い。


パンを、シチューに浸して食べるという方法で食べる。



ヒタヒタ


パクッ………。


「うまいっ!!」


バターがとてもうまかった!シチューに最適なパンだった。


「嬉しいですっ!」


彼女はとても喜んでくれていた。


それが、俺にとっても嬉しかった。



次は、ミルクを頂いた。


コクリ……。


これは、とてもうますぎる。


「うまいっ!!!」


「えへへっ。誉められると嬉しいですね!」


彼女の笑顔が、俺をいっそう笑顔にさせた。



数分後、俺は、全部の皿を綺麗に空にした。


「ごちそうさまでした!」


「はいっ!」


ああ、幸せだ………!


こんな可愛い天使のような女の子と出逢えるなんて………。


案外、悪くないかもな!異世界は!


俺は、そんなことを思った。



「そういえば………」


彼女が突然、口を開き始めた。


「ん?どうしたんだ……?」


「『チョコ裁判』って、ご存知ですか?」


ドクンッ………………。


俺の表情が、少し真剣になる。


彼女の表情も先程までとは違い、真剣な表情だ。



チョコ裁判………。


異世界に召喚される前に、ニュースで流れていた言葉…。


「チョコ裁判、って、何なんだ………?」


俺は、意を決して聞いてみた………。


「教えましょう。きっと、知らないと後々困ることになるでしょうから」


彼女は、そう言って俺に一つの板チョコを目の前に見せた。


「チョコ。どこにでも売っていますよね?そして、誰でも買えるおいしい食べ物。それが、今では食べる事を禁じられてしまったのです。」


「えっ………!?」


チョコを食べられない国が存在するのか………!?


俺は、驚きに満ちていた。


「ご存知なかったとは………。もしかして、この国ではないところにお住みだったんですか?」


「ああ。俺、召喚されたんだ。テレビから」


「なるほど。それでは、女王の事も知りませんね」


「女王………?」


俺が頭に疑問符を浮かべると彼女の表情が、僅かだがキリッとなった。


「はい。このチョコ裁判を巻き起こす原因となったのが

彼女・クロエル・リーゼです」


彼女は真剣な面持ちで、そう言った。




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