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VSセバス-3

「……さて、そちらから来ないならばこちらから行きましょうか?」


ドラッヘナー姉妹が瞬殺された事から固まっていた大橋達三人はボーッとしてしまっていた体をどうにか覚醒させて後ろへ跳び距離を取った。これが負けイベントかつRTAだったならばとにかく突っ込めば良いがここは現実である。よって彼等はこのまま離脱する事しか選択肢が無い。ただその過程でセバスにダメージを負わせる事がファイズに何も言われないための条件ともなるのだが。


「……使い魔を出したとしても圧倒されるだけだろうな。これまで私は気絶する程の力で作り出した奴でも一段階前の【虚】を耐えきれなかったんだ。」

「格闘技でも勝てる気はしませんね~。三人同時に突っ込めば一撃くらいは当てられると思いますが。」

「無理よそんなの!あの人の技を受けきれる自信は……いや、でも壁になれれば……。」


大橋は自分とエストで壁になる事を瑪瑙に話した。少なくとも風を纏った状態の瑪瑙の攻撃を両手が塞がっている状態で受け流すのは無理だろうと大橋は思ったのだ。しかしここで問題となるのは三人がアイコンタクトでは無く、某狩りゲームの様に倒し方を敵の目の前で堂々と話していた事だろう。


「……それじゃあ……って、瑪瑙!どうしたの!」

「…これではせっかく手加減の練習をしている剣城お嬢様の努力が無駄になりますね。……今の貴方達の実力は……あまりに滑稽な程低いのですから。」

「大橋……エスト……逃げ……て……。」


2人でセバスに突っ込んでいこうとした瞬間に後ろにいた瑪瑙がセバスによって蹴り飛ばされていた。吹き飛ばしに威力を使うことによって威力を極限まで抑えているが瑪瑙が戦闘不能となり強制送還されるには十分な一撃を当てたセバスは、不適な笑みを見せる。


「第1の剣、ソニック!」


セバスが近くにいる事から慌てた様子で大橋は雷魔法を放った。だがセバスは小指を指切りをするような動きで軽々しくそれの軌道を変えた。その直後大橋はセバスの回し蹴りを腰に喰らわせられ、そのまま強制送還されたのだった。


「さて、最後は……誰ですかな?」

「名を教える程の余裕は無い!」

「そうですかな。では貴方が帰った後にあの肉を頂きましょうか。」

「へっ?」


セバスがエストから離れるように跳躍した直後、瑪瑙が吹っ飛ばされた方向から燃える炎の様な毛並みを持つトラックほどの大きさのイノシシがエストを襲う。このイノシシはボーボアと呼ばれる魔獣であり、加速する際に炎を身に纏う性質を持っている。そんなモンスターに突進されたエストの服は少し焦げてしまった。


「………せめてまともな攻撃で帰りたかった……。」


エストは自分だけセバスの攻撃では無くボーボアの突進で強制送還した事に色々と納得できそうに無いのだった。翌日、マツリカがボーボアの肉は美味いのになと責められた事で理不尽だと叫ぶエストの姿を見て、ファイズ達に説教された他の4人が憔悴しきった状態のまま慰めるのだった。

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