刹那の空間と風呂場の牛乳-2
「ちゅーわけで、今からこの世界での戦法についてのクイズを出すことにしたけん。いや~、この漫画は面白いけんなぁ。」
服を着替え終わり、ロビーっぽい所に来た2人が目にしたのは昔のクイズ番組の様なスタジオと化した席に座るエストとドラッヘナー姉妹の2人だった。そこでアベルが司会者役を担当しており、レポーターなのかは分からないがバルボアとグラノアが少し大きめのテーブルの前に座っているのだった。
「いや~、風呂を作ったはえぇんやけどそこまで凝った物になってないと思ったんや。話を聞いてみるとあの馬車にある温泉はこことは比べもんにならんくらい豪華で種類も豊富やとな。」
「それはそうだけど……。」
「一応改装して機能性は高くするっちゅーても人払いも必要やし、こうしてクイズ大会しながらっちゅーのも悪くないと思ったんや。なんとこんなもんを手に入れてな。これを使えば豪華景品とか朝飯前で出来るで。」
そう言ってアベルが取り出したアイテムを見て、大橋達は微妙な気分になった。アベル曰く、これはボーナス問題の時にしか使わないと言うが、今回の夕食をそれで変更にされたくないと感じているようだ。
ちなみにアベルの持つアイテムはランダムに異世界の旅館またはホテルの食事を出すことが出来る物である。ただ、面倒な事に時間によってモーニング、ランチ、ディナーと変化するのでいつでも好きなように出せる訳では無い。それにビュッフェ形式のホテルが当たるとかなり厄介な事になるのだ。
しかしこのアイテムは食事のランクをある程度指定できる。とはいえ物凄い雑なのだが……ある意味正しいのかも知れない名称となっている。今回は順位に応じて以下の様なランクが設定される。ちなみにハンデとしてドラッヘナー姉妹は2人で1つの席を使用する為、4位までしか表示されない。
1位 大手企業社員旅行レベル
2位 高予算社員旅行レベル
3位 低予算修学旅行レベル
4位 低予算合宿レベル
「……たまに修学旅行や合宿で個室で食べた料理が不味いって書き込みみるからなんとなく嫌な予感がしますね……。」
「合宿も低予算だとおかわりしたくない大盛りが来るのよね…。知り合いの中に何人かそれを体験した人がいるらしいわ。」
「でも1番辛いのは……自分達が酷い宿に泊まって来年もそこかな?と思ったら後輩達は美味い物食べた事を聞かされる事ね。」
ただ、低予算で1番面倒なのはテレビが共通リモコンとなった旅館だろうと思える。これのせいで目当ての番組を見ている時に電源を切られたりチャンネルを変えられたりとストレスが溜まることとなったのだ。……これは後に被害者の心の中にチャンネル事件として語り継がれる事になるのだが……それはまた別の話だ。




