新生活の始まり-5
何回か深呼吸しても心が落ち着かない私は別のことを考えることにした。イライラしている事柄を考えないようにすれば段々と落ち着くという事は昔からのやり方だったのだけど、今回も役に立ってくれたらしい。
私が熱心にプレイしていた『グラントム・ボーイズ』というのは『グラントム・ガールズ』という人気ソーシャルゲームの女性向けゲームとして派生した物だ。………………いや、自称神の思惑は『ストライク・ドラゴンズ』とか『モン・パズ』などをタイムアタックのみに特化させた別アプリをインストールしていた人への救済措置だったのだろうから攻められないけどさ………。
それに、『グラントム・ガールズ』みたいに男性向けゲームから女性用ゲームが派生するのは少なくない。例えばアイドルをプロデュースする有名ゲームや、彼女かと思ったらまだ仮だったりとかというゲームに、吹奏楽っぼいフレーズがあるのに吹奏楽全く関係ないというゲームなど………………どれもこれも、失敗した事は無いのである。
……………………そう考えている内に段々と落ち着くことが出来たので、その思考を緩めた。しかし、今度は別のステータスについての事がドバドバと入ってくる。そのまま放置すると思考がパンクしそうだったので私はステータスの事に関しては後回しにしようと思ったのだった。
「………………ガチャの方は気にしない事にしても、気になることは増えるか…………。まぁ、ステータスではそこまで詳しいことは見れないからこのままガチャに向かおうかな………。」
気になる点は多いが、気にしていたら先に進めないため、私はステータスを閉じてからガチャに行こうとしたが、一端『帝高校チャット』のログを確認する。するとそこには非常に面倒なログが立っていた。……………それは自称神が提示した能力者のリストだ。もちろん、私もその中に書かれており、その関係で私が廃教会にいない事でパニックが起こったという記事があった。
パニックに関しては副会長が治めたらしいが、色々と面倒な事が始まろうとしていた為、どこかにトンズラしなければなぁ…………と思いながら私はガチャのアプリの方を表示した。すると、私の腰に刀が現れた。
………………どうやら、グラボーもといグラガルの主人公もプレイアブルキャラクターというのも反映してくれたらしい。私が主人公に使わせていた黒い刀が手元に来たため、私はそれを見て少しだけ嬉しいと思った。
…………………ただ、落ち着く為にその場に留まったせいで、面倒な人間に出会ってしまった。そいつは『能力を持っている奴らは俺達の世話をしろ!!』のログの中心人物達とは違い、勝手に私を搾取するべき相手と見ており……………私をとことん嫌っている相手だった。
「おい、妾の子…………………。お前の持っている能力と、その産物を全て寄越せ!!いいか?これは命令だ!!お前は俺によって生かされているだけなのだからな!!」
…………………こんな筋違いの発想ができるようになるほど糞親父に毒されているんだな……………と、私は異母兄弟である美華 結城を悲しい人を見る目で見るのだった。まぁ、本人はそれに気付いていないので、さっさと片付けようと思うのだった。