VSアルティメットゴブリン リューカ編
次にダンジョンに降りたのはドラッヘナー姉妹のリューカだった。彼女は槍刺股という壁が基盤となる武器を選んでいる。しかしフォークと言うよりは学校等で防犯用に使われる形であり、壁に挟み込む事以外にはまともな攻撃法が無いと思われていた。
新たに呼びだされたアルティメットゴブリンは武器を想像する。いや、武器と言うよりは鎧と言った方が良いかも知れない。ただ、先程までエストと闘っていたアルティメットゴブリンの死因の事も含めてこの形がベストだと感じたのだろう。
アルティメットゴブリンはミサイルやビーム砲が内蔵された鎧を装着し、首と心臓をガードするスタイルで闘うと挑発していた。その様子を見てリューカは少しだけむくれた顔を見せるが、すぐに本調子に戻っていた。
「……リューカの武器でどうやって鎧を打ち抜くのか……楽しみじゃのぉ。」
「鎧ごと貫けるかって所よね……。魔法を使ってはいけないから威力の上乗せは出来ない……本当にどうするつもりなのかしら?」
大橋達の心配を余所にリューカは早速攻めの体勢に入っていた。ただ、魔法以外の攻撃は禁止されていないという事から彼女が最初に行ったのはスライディングによる相手の転倒狙いの攻撃である。ただそれを予測していたのかアルティメットゴブリンは上空へと飛び上がり攻撃を回避する。……だが、アルティメットゴブリンは肝心な事を忘れていた。
まず、彼は上半身は鎧で覆っているが下半身は腰パン一枚である。また、天井にも限りがあり、強靱な脚力を持つアルティメットゴブリンは軽くジャンプしただけのつもりが天井で頭を撲ってしまうのも予想外だっただろう。
「よっし!喰らえ!触れれば鬼をも貫く!ゴールデン…」
この時点で大橋は消音ボタン的ななにかを押していた。まぁ、技名からして分かるようにリューカが使った技は槍刺股で相手の股間部分を貫くという技である。原理としては人間の最も繋がっている中でもっとも低い位置の左右対称の部分を突く事で真っ二つにするという技である。
アルティメットゴブリンの強靱な筋力に伴い高い数値を叩き出した体重や、鎧の重さ、リューカの突きの速さからアルティメットゴブリンの体は下方からの衝撃に耐えきれず槍に潰されるかのように真っ二つとなっていた。
「……エグいわね。」
「そうですね。でも私達はあれ以上の事をやらないと行けないわよ?」
「そうでしたね……。でもあれだけの事を考えつく思考力はまだ無いですよ?」
大橋と瑪瑙はそう話ながら、呆気なく終わったリューカの戦闘を見て自分達がやるのはなぁ……とため息を付くのだった。




